2015年7月29日水曜日

ETICの地域イノベーター留学に尾鷲が

 NPO法人ETIC(エティック)が現在、「地域イノベーター留学」の参加者を公募しています。
 地域イノベーター留学とは、人口減少や産業構造の変化などによって活力の低下が課題となっている「地方」において、その地域の新たな可能性を把握したうえで、その場所に合った手法によって新たな仕事を創り出す人材や、すでに地域で変革に挑んでいる先駆的リーダーの右腕にあたる人材の育成・輩出を目的とする5か月間の短期実践型プログラムです。
 現場(全国の7つの地域)での「フィールドワーク」と、東京での「講義&ワークショップ」を組み合わせた構成で、この両者を繰り返すことによって地域課題の解決手法や、ビジネスシーズを活かした実行可能なプロジェクトの立案の流れを経験することができます。
 参加対象は「地域活性のスキルを身につけ、3年以内には地域で仕事を創り出したい」とか、「将来、地域で革新的な仕事に取り組む存在になりたい」という人であり、プログラム終了後は、さらに長期間にわたって地域に入り込むインターンシッププログラムや、起業に向けたサポートプログラムを用意されているとのことであり、参加者、及びフィールドワーク受入れ地域の双方にとって期待が持てる内容だと感じます。
 参加しようかどうか、あるいは、フィールドワークをどこでしようかと迷っている方もいるかと思いますので、今回の地域イノベーター留学の受け入れ先の一つ、三重県尾鷲市で2年間暮らしたわしの、「勝手に尾鷲を応援」的な、アドバイスめいた雑感をメモしておきます。



 尾鷲市の概要は、地域イノベーター留学のホームページにあるとおりなので、まずはこちらをお読みいただきたいのですが、わしが特に共感するのは次の部分です。

 過疎高齢化、人口減少、一次産業の衰退(林業・漁業)、後継者問題、空き家問題、獣害問題…など、尾鷲市には現在日本国内にあるほとんどの地域課題があると考えています。そんな状況の中でも、底抜けに明るく、楽しそうに暮らすスタイルは、尾鷲の大きな魅力でもあると同時に、もっとも大きな地域課題であると考えています。
 「なんもないから、若い子らが出て行ってもしゃーない」
 「もうからん仕事やから、後継いでもしゃーない」
 まちが少しずつ静かになって行く事に寂しさを感じながらも、どうすることもできないと「あきらめる」ことで楽しくその日を暮らす。本当は寂しい、どうにかしたいと、心の底にある「悲しみ」を共有し、ともに行動できる仲間がいないこと、それが最も大きな地域問題であると考えています。

 農林水産業がかつて(尾鷲市の第一次産業の最盛期は昭和30年代)のように復権することは、おそらくもはやない。夢よもう一度という気持ちは忘れられない。しかし、今のままでは衰退していくばかりなこともわかっている。わかっているが自分達ではどうしようもできない。
 このような背反した、懐かしさとあきらめが入り混じった感情は、おそらく尾鷲だけでなく、第一次産業が主産業だった地域 ~おそらく全国いたるところの~ に広く共通しています。

 農林水産業は、その地域の地勢や自然(気候・風土)に即して成り立っている産業 ~と言うより「生業」、もっと言えば「生活そのもの」)です。地域に家族親戚と共に住み、その地域で採れるもので暮らすことがいかに人間らしい営みかは、誰もが容易に想像ができることです。
 しかしその一方で、昔のように、生産するだけ、漁獲するだけ、という、素材としての提供だけを続けるスタイルはもはや成り立ちません。かつての農林水産業は基本的にモノが不足している、日本全体が貧しかった時代に確立した供給サイドのビジネスモデルなので、輸入品のような安価な競合品の出現や、消費者の嗜好・生活様式の多様化が進む中では、もはや通用しないからです。

 このような現状を何とかするために、行政や多くの住民が選んだ対処方法は、第一次産業を「保護」することでした。しかし矛盾は一向に改善しません。生産品の付加価値が向上しないやり方では、生活水準がどんどん向上していく世の中では置いてけぼりを食うだけだったのです。
 現状維持ではなく、第一次産業や、地場産業といわれる地域の資源を活用した産業を活性化するには、新しい商品(製品やサービス)の開発、新しい市場の開拓、新しい生産方式の開発といった「革新」=イノベーションを起こすことしか方法はありません。それによって農林水産物に新しい価値を付け、より高価に販売でき、より多くの利益を生み出すしか対処のしようはないのです。
 しかし、革新にはリスクが伴います。厳しい自己責任が問われる世界です。
 生活場面の「和」が都市部以上に重視される「地域」においては、そもそもイノベーションが生まれる条件が非常に低かったのです。

 ではどうすればいいか。

 間違いなくその方法の一つは、地域活性化の志を持つ人(地域外の人もいれば、地域内の人もいます)が相互刺激し合い、革新を創発する環境を人為的に作ることです。
 地域イノベーター留学もそのきっかけ作りこそが大きな目的であり、往々にして孤立しがちな潜在的イノベーター(革新者)を発掘して同じステージに混ぜ込み、化学変化を起こすことが狙いなのだろうをわしは思います。

 この意味で、尾鷲市の早田(はいだ)地区は、その土壌が整いつつある地域だと感じます。
 冒頭の話に戻れば、地域イノベーター留学への参加やフィールドワーク地選びに迷っている方には、ぜひ尾鷲市での参加をお薦めしたいと思います。ご検討ください。

■地域イノベーター留学  http://academy.etic.or.jp/
 

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