2015年7月7日火曜日

梅余りで農家に打撃・・・

 京都新聞によると、梅の産地として知られる京都府城陽市では、特産品種「城州白(じょうしゅうはく)」が収穫期終盤を迎えていますが、近年の梅酒ブームが落ち着いたことにより大口取引先である地元の酒造会社が入荷量を減らしたため、昨年から梅が余る状況となっており生産農家に打撃を与えているとのことです。(7月3日付け リンクはこちら
 城陽市では農地20ヘクタールで約50軒が年120トンほどの梅を生産しており、このうち城州白が半分ほどを占めています。大粒で香りがいいことから、梅酒を製造する同市内の城陽酒造が、平成20年ごろから毎年30~40トンほどを仕入れていました。
 しかし、梅酒ブームが一服したことから貯蔵や仕込みタンクがいっぱいの状況となり、昨年は20トン、今年は15トンと仕入れを控えたとのこと。同社の社長は「仕入れ量を減らしたのは申し訳ない。他でも利用されて知名度をより広めてほしい」と話しています。
 実は、この梅酒のような「地域特産品開発」は行政の主導により全国各地で行われています。(城陽市の例がそうだという訳ではありません。あくまでたとえです。)
 そのツールの一つに、農家が酒造業者のような商工業者と有機的に連携して商品を開発し、その販路開拓を支援する「農商工連携」という仕組みがあります。



 厳密に言うと、この梅酒の例は、第1次産業(梅農家)と第2~3事業者(梅酒の製販業者)は単なる仕入関係に過ぎず、有機的な連携とは言えないかもしれません。
 しかしいずれにしろ、農家はひたすら生産するだけで農産物は農協に出荷し、価格は卸売市場のセリで決まり ~つまり農家自身は決められず~、代金は農協経由で支払ってもらう、という従来の農業の商慣行ではなく、農家と農協は市場のニーズをマーケティングし、ユーザーが求めている農産品を生産し、それによって価格決定権を農家サイドが持つようにする、という戦略は、多くの地域産業振興の現場で推奨されてきた方法です。

 しかし、城陽の梅の場合は地元大口ユーザーへの1社依存となってしまい、そこが商品を捌けなくなると、たちまち生産した梅の行き場がなくなってしまうという皮肉な結果になってしまったのです。これがもともと生産規模が小さく、かつ、あくまで地場の原材料にこだわることで付加価値を生み出している地域特産品業界の難しいところです。農家のほとんどは小規模な家族経営だと思われるので、「選択と集中」が裏目に出た時の打撃が少なくないのです。
 京都新聞の記事に取り上げられた農家は、昨年は梅干しなどに加工することで出荷減をしのいだが、今年は不作にもかかわらず余った梅を畑に捨てているそうです。高齢の農家では(栽培を)やめるしかないと言う人もいるそうなので、影響はかなり深刻なようです。

 もちろん、農家側も手をこまねいていたわけではありません。JA京都やましろ城陽支店は、新たに食品加工会社への出荷を行っているほか東京市場への試験的な出荷にも着手しました。しかし、量が限られており、しかも出荷前加工が必要であったり、収穫時期の調整などの課題も浮かび上がったとのこと。
 もちろん、この方向性は解決法としては正しく、時間はかかってもこの市場を拡大するとともに、梅酒や梅干しの他に新しい梅の商品を開発することも必要になるでしょう。

 冒頭に書いたように、地方による地域特産品開発を政府が支援するため、地域資源活用促進法や農商工連携促進法が施行されて、7~8年となります。
 この間、着実に地域経済強化のための取り組みは広がり、数多くの成功例が生まれていますが、同時に今回のような課題も孕んでいることは地域振興や地域経済活性化に従事する関係者全員が再認識すべきことかと思います。

<参考動画> Youtube 京都・城陽市特産の梅「城州白」の収穫がピーク(朝日新聞社)

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