2015年7月23日木曜日

むべなるかなYH激減

 朝日新聞に、国内のユースホステルが施設数、登録会員数とも全盛時に比べて激減しているという記事が載っていました。(7月19日付け リンクはこちら
 ユースホステル(YH)とは、会員登録すると、全国各地にある宿泊施設に安く泊まることができるというサービスです。もともとはヨーロッパが発祥だそうで、青少年を健全育成する一環として、清潔で安全な宿を安価に提供する、という理念のもとに運営されています。
 わしも大学生~社会人になって結婚するまでくらいの十数年間は本当によく利用しており、多い年には年間で20泊ぐらいしていました。わしと同じくらいの世代の人なら、そのような経験を持つ方は少なくないと思います。
 しかしこのYHは、1974年末の587棟をピークに現在は220棟にまで減少。73年には341万人いた利用客数は、昨年には38万7千人に減少。何と9割近くも減っています。
 そもそもYH会員数も激減しており、72年末の63万4千人が昨年は3万5千人と、95%近くも減少しています。朝日新聞が言うように、まさに「受難の時代」を迎えていると言えそうです。
 ただ、この記事はYH衰退の原因を、最近の客層は他の客との交流を望みつつ、プライバシーを重視する傾向が高くなったのが背景にある、と書いていますが、これはちょっと違うのではないか?とわしは思います。

 わしがYHをよく利用していた30年近く前、実はYHの最盛期は終わっており、若者のYH離れが言われていました。わしは大阪ユースホステル協会の職員の方と個人的に親しかったのですが、協会の喫緊の課題は減少が止まらないYH会員をV字回復させることだ、と言っていました。
 そして、昭和40年代くらいまではYH宿泊者に半強制的に参加が課せられていた夜のミーティング(だったか)とかレクリエーションも、昭和50年代後半には「最近の若者には受けが悪い」ということで、徐々に強制ではなくなったり、廃止されてしまったりして、なるべく束縛はなくす、という運営方針だったのです。

 ではなぜ当時からYHの衰退がはじまっていたのか。

 わしが思うに、大きな理由の一つは、そもそもYHの立地が悪かったことです。YHは、交通至便地や市街地にあることは少なく、町はずれに建っているとか、広い緑地公園の中に公共施設として建っているとか、辺鄙な場所にあるお寺がYHを併設しているといったようなところが多かったのです。
 スマホや携帯など(当然ながら)ない時代。地図を片手に不慣れな田舎道を探しながら歩くのに不安を感じたものでした。もちろん、そうやってやっと探しだし、辿り着いたYHゆえに、温かくもてなしてくれると大変感激したのも確かですが。

 ちなみに、YHでは宿泊や食事の世話をしてくれるスタッフを「ペアレント」と言って、困ったことは何でも ~旅の行程の相談から、人生の悩みまで~ 話を聞いてくれる親のような存在とされており、実際にそういった、いい意味でお節介な人も多かった気はします。
 しかし、圧倒的に場所は不便でした。特にライダーのように自前の移動手段がなく、列車やバスを乗り継いでやってきた旅人は、夜真っ暗になってもYHの場所がわからず、途方に暮れることも多かったのです。

 大きな理由のもう一つは、やはり運営が画一的で、融通が利かなかったことです。
 YHはあくまで青少年の娯楽施設(教育施設?)であって、サービス業ではなかったのです。予定時間より到着が遅くなると、夕食はもう提供が終わっていて、その夜はメシ抜き、なんてこともありました。言うまでもなく昭和60年ごろは、田舎にコンビニなどまったくなかったからです。
 お風呂もそう。門限もそう。カップルなら相部屋を希望したいこともあるでしょうが、もちろん、男女相部屋は家族でも厳禁でした。
 これらの運用については、ある程度柔軟に対応するYHもあったみたいで、今はどうか知りませんが、京都の東山YHなんかはYH会員以外の一般観光客も多く繁盛しているところでした。ここなんかは「サービス業」に徹していたのだと思います。

 朝日新聞の記事では、日本ユースホステル協会の広報担当者によるYH苦戦の理由を
(1)安い宿全体の数が増えた
(2)インターネットの普及で安い宿探しが容易になりネットワークを持つYHが必ずしも有利ではなくなった
(3)YHの建物が老朽化した
(4)運営側が高齢化し後継者も不足している
の4点を主な理由としているそうで、YH側も多様化する若者ニーズに対応するため、比較的小さな4人部屋を単一グループで使ってもらうなどの工夫を重ねているとのことですが、やはり立地の不便さと自由度の低さはいかんともしがたいのではないでしょうか。
 仮に、これから外国人観光客の利用を増やすというのであれば、道案内などは今以上に充実させるべきでしょう。
 ただ、わし個人としては、YHに泊まったことがない人には、話のタネに一度利用してみてもいいのではないか、とおススメはします。案外、ハマるかもしれませんし。

■日本ユースホステル協会   http://www.jyh.or.jp/

■三重県ユースホステル協会   http://www.amigo.ne.jp/~iseshima/
 

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