2015年8月9日日曜日

せんとくんを彷彿とさせる碧志摩メグ問題

碧志摩メグ公式サイトより
 三重県志摩市が公認しているという、海女(あま)をモデルとしたご当地萌えキャラである 碧志摩(あおしま)メグ に批判が集まっています。
 このキャラクターは、志摩市の観光や海女文化をPRするため市と協会が企画会社にデザインを依頼。昨年11月に「碧志摩メグ」という名前を公募で決定しました。
 しかし17歳の海女だという碧志摩メグの磯着姿は「前裾がはだけ、胸の形もわかる」もので、市民の一部から「女性を蔑視するデザインだ」との声が上がっているとのこと。志摩市公認の撤回などを求めて署名運動を行っており、8月13日には約170人分の署名を市に提出する予定だそうです。
 反対する市民の中には現役の海女もおり、署名の発起人になった現役海女とその娘である主婦は「初めて見た時はびっくりした。若い女性の体だけをアピールしているポスターで不快だった。」と話しており、「伊勢志摩サミットで訪れる外国人に海女がこんな風だとは思ってほしくない。」と、署名運動を始めたということです。(YOMIURI ONLINEより。リンクはこちら
 海女の長い歴史を見ると、女性による素潜りという珍しい漁である ~世の殿方の関心をそそる面がある~ ことから、古来より一種の観光資源と捉えられてきたのは事実です。後継者がおらず消滅が危惧される海女文化を承継していくには、「産業観光」としての生き残りは避けられないことは、以前このブログにも書きました。(はんわしの評論家気取り 海女は文化財か、萌えキャラか 2014年11月12日


 萌えキャラは本質的には興味本位に作られるもので、モデルにされた側には必ず不本意なデフォルメが伴います。これは、やはり以前このブログにも書いた、平城遷都1300年祭の公式キャラクターであった「せんとくん」とも問題の根っこが共通しています。
 せんとくんは頭に鹿の角が生えている法体の童子という異形のキャラで、仏教を冒涜しているとの批判が奈良の仏教界から強く浴びせられ、社会問題にもなりました。
 しかし結果的に「せんとくん」の公認は撤回されず、プロモーションでの露出は続き、土産物などへのキャラクター使用承認が積極的に行われたこともあって、批判にもかかわらず経済効果などのビジネス的な成果は、むしろ大成功であった ~経済効果は225億円とも報道された~ ことは皮肉でした。
 
 署名活動などに対して志摩市は「反対の意見は制作会社に伝えており、一部デザインの変更につながっている。ただ、市が公認を撤回することはない。」と答えているのも、LINEスタンプなど一定の収益があり、知名度も上がってきている中で、少数意見として黙殺しようという、つまりは良くも悪くも「奈良方式」で乗り切ろうとしているものと見ていいのでしょう。

 ただ、この問題がややこしいのは、来年の伊勢志摩サミットが志摩市で開催されることから世界の(特に北米や西ヨーロッパ各国の)注目が集まることから、日本ではそれほどではないけれど、先進国では大きな政治問題であるフェミニズムとか、外国人労働者の人権問題などが大きく取り上げられる(と言うか、そっちに飛び火する)可能性が少なくないことです。

 クールジャパンなどと賞賛される日本のアニメ文化ではありますが、一部にややもすると見られる、女性(時として幼女)の身体性の不必要なまでの強調や、自我のなさ、あるいは男尊女卑の価値観などは、時おり海外からの批判の対象ともなっているようです。
 志摩市では隣接する鳥羽市と共同して、海女を世界遺産にしようという動きもあるのですが、このような文化的な取り組みと、萌えキャラとの両立は、ある意味で日本独特の足して二で割る論法であって、先進国的には理解が難しいことかもしれません。

 三重県内にも、里海文化とか海女文化とかの講演を各地で行っている研究者やエッセイストの先生がいるようですが、彼らはこの件についてどう考えているのかも、わし個人としては聞いてみたい気がします。

 さらに心配なのは、農水業、工業では多くの外国人研修生や外国人労働者が働いており、彼ら外国人の一部は、現場では長時間労働や賃金の不払い、社会保険への未加入などの労働問題が発生している、と主張していることです。
 志摩市を含む三重県は水産業や下請け型の製造業が盛んであり、正確にはわかりませんが少なくない外国人が就労しています。三重県内の事業所に限ってそのようなことはないと思いますが、サミットを契機として一般の日本人があまり関心を持たないこの種の課題が争点に浮上することも予想できなくはありません。

 まずは、いわゆる萌えキャラ問題(クールジャパン問題)に志摩市民や当の海女たち、そして有識者たちがどう対処していくのか、注目されます。
 

Mascot character,Shima City Hall is certified have attracted criticism from citizens. This character, 17-year-old girl named Aoshima Megu. She is one of the fisherwomen called Ama. Ama is a fisherwoman to perform the traditional diving fishing at the Shima region in Mie Prefecture Japan. Appearance of Aoshima Megu is too sexual. For this reason, actual Ama fisherwomen have criticized as an insult themselves. It is worried criticism comes out in G7 summit 2016 Japan (Ise-Shima Summit of 2016).

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

せんとくんは、観光客が増えることによって寺社も潤ったとは思いますが、このキャラクターで海女さんにメリットはあるのでしょうか?
色気で売るのであれば日活ロマンポルノの海女シリーズとどこが違うのかと言う気もしますが・・・
不快に思う海女さんがいるのも無理ないと思います。

匿名 さんのコメント...

流行りのアニメオタク、美少女オタク受けを狙ってみたのでしょうが、一般人の私からしたらこのビジュアルはちょっと理解できないかな…
お年寄を召された方は私以上に抵抗がありそうです。

匿名 さんのコメント...

せんと君は、単に、好き嫌いの問題のように思いますが、このキャラクターは男性の好みだけを特に意識している、と受け取られても仕方のない、偏ったデザインだと思います。女性の中に、そのように思い不快に感じる人が少なからずいるという一つの例が、海女さんサイドの訴えなのだと思います。具体的には、どうしても胸に目がいってしまうようなボディラインの表現です。
折角だから、広く、年齢層も性別も超えて親しまれるキャラクターを考えてほしいと思います。志摩が好きなので、尚更そのように考えてしまいます。

半鷲(はんわし) さんのコメント...

 コメントありがとうございます。
 新聞によると昨日(8月13日)、公認撤回要求署名(海女97名を含む309名分)が市に提出されたそうです。
 都会と違って地縁や血縁の濃い地方都市で、300名もの署名を集めたのは驚嘆すべきことです。一方で、志摩市が早くも「公認は外さない」などと表明しているのは拙速のように感じます。