2015年9月12日土曜日

観光行政のうさん臭さ

 三重県(庁)が平成27年の夏休み期間中(7月18日から8月31日までの45日間)における、三重県内の主要観光施設(21施設)への観光入込客数(のべ数)を発表しました。(リンクはこちら
 これによると、入れ込み客数は600万2021人となり、昨年度と比較して72,183人、1.2%の増加となったそうです。たいへん明るいニュースだと言えるでしょう。
 ところで増加の理由として県は、
 官民あげた「三重県観光キャンぺーン~実はそれ、ぜんぶ三重なんです!~」の展開に加え、民間施設における、遊園地での新規アトラクションの導入、ファミリー層をターゲットにしたイベント開催など創意工夫された取組の実施や、県における「みえ旅プレミアム旅行券」の発行、インバウンドの推進などが、増加に寄与したと考えられます。
 と説明しています。
 つまり、官(要するに三重県庁)が主導している観光キャンペーンや、プレミアム旅行券、外国人観光客の誘致などを増加の大きな要因としていますが、これは本当でしょうか?



 普通に考えて、観光客の増加は大きく2つの要因が想像できます。
 一つは、天候が良いこと。
 あまりに猛暑だったり、荒天や雨天が続くと観光客の客足は遠のきます。温暖な天候が続けば増加します。これは当然です。
 もう一つは、観光客の消費マインドが高いこと。
 つまり、お金に余裕ができたので、たまには家族旅行しようとか、いい旅館に泊まってみよう、とかいった需要が生まれるのです。これも当然のことです。
 この2つの条件が成就して、はじめて観光キャンペーンだのの誘客要因が効果を発揮します。
 観光キャンペーンが目立つからとか、クーポン券が使えるから、という理由で需要は生まれません。(生まれてもごくわずかであるのは、わしも含め皆さんの生活実感だと思います。)

 では、平成27年は昨年と比べて天気が良かったのでしょうか。
 ネットで調べると、これは事実です。(ヤフー 天気・災害より)
 平成27年の7月18日から8月31日の45日間、津地方気象台が公表した津市の天気は、晴れ31日、曇り14日、というものでした。雨の日がまったくないのは腑に落ちませんが、これは一定の降雨量以下なら曇りとカウントするのかもしれません。
 では昨年、平成26年はどうか。7月19日から8月31日までの44日間を見ると、晴れが25日、曇りが16日、雨が3日。圧倒的に天候不順です。
 これで三重県の観光客数が増えた理由の大きな一つが天候のせいであったと推測できます。

 ではもう一つの消費マインドです。これはなかなかいいデータがなかったので、景気の目安となる日経平均株価で見てみました。

 
 すると、非常に興味深いことがわかります。というか、常識で考えて当たり前な事実が再認識できます。
 株価か高くなるにつれて、三重県の夏休みの観光客は増加しているのです。
 グラフを並べてみると、ほぼパラレルになっています。



 三重県の観光客数は平成25年に急激に増加していますが、これは伊勢神宮のいわゆる「遷宮効果」です。
 参拝客数が一挙に大幅増加したため、翌年は見かけ上大幅ダウンになっています。しかし、平成22年や平成23年ごろと比べると高い水準です。
 株価は、平成24年に発足した安倍内閣の経済政策、いわゆるアベノミクスの効果で上昇傾向となり、平成27年8月時点で1万8千円を超えていました。資産価値が増加したため高額消費とか高級旅行がある種のブームとなり、旅行大手JTBが今年の夏休み旅行動向について、過去2番目に多い前年比0.1%増の7816万人との見通しを発表したことは記憶に新しいところです。今年の夏休みは全国的に観光客が多く、過去最高だったという日本各地の観光施設はネットでいくつでも拾えます。
 つまり、消費者マインドも景気の好転によって引き上げられ、これが観光需要を押し上げたことは間違いありません。

 では、元に戻って、三重県が増加要因にあげている「三重県観光キャンぺーン~実はそれ、ぜんぶ三重なんです!~」や、県における「みえ旅プレミアム旅行券」の発行などは定数的にどれだけ効果を上げたのでしょうか。数字で証明してほしいものです。

 県が不誠実なのは ~というか、「頼りない」のは~ 、平成26年の夏休み、前年に比べて観光入れこみ客数が減少した理由を
「台風11号をはじめ休日に悪天候の日が多かったことや、昨年の伊勢神宮の遷宮の反動などが要因と考えられます」
 などと分析していることです。
 では昨年の観光キャンペーンは効果がなかったのでしょうか? 良い時は目いっぱい過大評価し、悪い時はまったく触れもしない。こんなデタラメな大本営発表を役所がやっているから、いわゆる「観光行政」とか、観光産業に対しては、うさんくさいイメージがぬぐえないのです。

 ちなみに、この調査の対象となっている21施設は以下のとおりです。
 ナガシマリゾート、御在所ロープウエイ、鈴鹿サーキット、津の海(阿漕浦、御殿場、贄崎海水浴場)、松阪農業公園ベルファーム、五桂池ふるさと村、奥伊勢フォレストピア、伊勢神宮(内宮・外宮)、おかげ横丁、鳥羽水族館、ミキモト真珠島、志摩スペイン村、伊勢・安土桃山文化村、伊賀上野城、モクモク手づくりファーム、伊賀流忍者博物館、赤目四十八滝、県立熊野古道センター、道の駅「紀伊長島マンボウ」、お綱茶屋、鬼ヶ城センター

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

日本全体の国内旅行者が増加しているので、これでは三重県が全国平均以上に入れ込み客が増えたのかさえわかりませんね。この発表に何の意味があるのでしょう。

半鷲(はんわし) さんのコメント...

 コメントありがとうございます。
 地方自治体が行う業務、特に振興行政と呼ばれる「地域おこし」とか「産業振興」「観光振興」などの分野の業務は、往々にして首長のトップダウンの恣意的な政策が多く、成果検証が行われていないか不十分な例が多いのです。
 この三重県の大本営発表もその典型かと思います。