2015年9月24日木曜日

中小企業支援をもっとビジネスに

 雑誌、新聞の無料閲覧に申し込むとか、通販で何か買ったとか、インターネット社会の宿命というべきか、わしには毎日ものすごい数のお知らせメールがやって来ます。
 ほとんどは読まずに削除していますが、ふと「補助金・助成金の自動診断ツールがついに登場!」というタイトルに目がとまり、開いてみました。
 東京に本社がある株式会社ライトアップが運営している Jマッチ というサイトです。
 中小企業に対して政府は、経営課題の解決を支援するために多額の金銭的な援助、すなわち「補助金」とか「助成金」のような資金交付を行っています。

 しかしJマッチによると、その種類は3000種類もあり、忙しい中小企業経営者は、そもそも自分の会社はいったいどんな補助金を使ったらよいのか、使えるのか、がわかっていません。
 また、書類作成や申請の手続きも煩雑なため、実態として、国の支援は必要なところに届いていないのです。
 支援制度のPRが不十分なことは国もよく理解しており、たとえば経済産業省(中小企業庁)は大手広告代理店に依頼して「ミラサポ」なる中小企業向けのポータルサイトを開設しています。
 しかし、そこにもたくさんの補助金・助成金が掲載されており、いかんせん「どれを使えばわからない」状態であることに変わりはありません。


 そこで、Jマッチでは、オンラインで自社が今抱えている課題を調査し、その課題を解決するために必要な具体的対策と、それらに必要な費用の概算を即座に中小企業に提示し、経営者が納得すれば補助金獲得支援を含めたコンサルティングに入っていく、というサービスを行っているそうです。
 わしは、ここで、このJマッチを推奨しようという意図はありません。わしは一介の公務員であって経営者でも自営業者でもないので、Jマッチのアンケート調査に回答することもできないし、コンサルティングを受けることもできないので、このサービスが本当に経営者の助けになるものかどうかは判断できないからです。

 ただ、興味深く思ったのは、中小企業向けの支援を有料で ~安価な価格設定にしているとはいえ~ 行うのは、まだまだ広く一般には浸透していないと思える中、このJマッチはたいへん意欲的なビジネス(=支援ビジネス)なのではないかということです。

 中小企業向けの公的な支援が非常に膨大で複雑なものであることは、このブログでもたびたび書いています。
 信用保証協会による債務保証や政府系金融機関による低利融資といった、「王道」とも言える支援制度がある一方、経営革新支援制度のような経営戦略の策定支援、「ものづくり・商業・サービス革新補助金」とか「小規模事業者持続化補助金」のような商品開発・営業強化のための補助金支援、「職場定着支援助成金」とか「トライアル雇用奨励金」のような人材確保・能力開発のための助成金、さらには認定制度や表彰制度、経営相談、経営セミナーなどなど、実にさまざまな支援策のがあり、各省庁にまたがったすべての支援制度の全貌を正確に把握している人は、専門家も含めて少数なのが現状ではないかと思います。
 このため、商工会議所などに相談に行っても、担当した相談員が融資制度には強いが技術開発系の支援制度には弱いとか、ITには強いが雇用保険や税制度には弱い、といったようにオールマイティーのアドバイザーがなかなかおらず、結局「支援組織に相談しても役に立たない」と思われてしまうことがよく起こりがちです。

 この解決には、それぞれ得意分野を持つ支援機関が相互連携することで、つまり、商工会議所、金融機関、都道府県の産業支援財団、大学、自治体、士業などが連携することで、中小企業に必要な支援を行うことが有用です。
 ただ、これはあくまでも「心がけ」レベルのものであり、所詮は公的な無料サービスなので、さまざまな制約があるのも事実です。公的無料サービスをどんどんきめ細かくやっていこうとすれば、膨大な行政コストがかかり、しかも成果検証も不十分になりがちです。「大きな政府」は得策ではないのです。
 根本的な解決のためには、民間の専門コンサルタントが、中小企業から対価ももらって、そのかわり、しっかりとした顧客満足が得られるようなコンサルティングを行う仕組みが浸透しなくてはいけません。

 今は、中小企業で専門のコンサルタントを抱えているところはごく少数に過ぎません。多くは税理士や社会保険労務士に経営の相談もしているのが現状ですし、これらの専門家も専門外のことに詳しいわけでは必ずしもありません。
 なので、民間の中小企業診断士なり経営コンサルタントがきちんと中小企業の経営者と関係を作り、経営支援にコミットしていく制度を民の力で充実させなくてはいけません。

 中小企業診断士にしろ、行政に補助金の申請書を作る行政書士にしろ、業務独占ではないので弁護士などと同じにはならないのはもちろんですが、対価を取って、業務として中小企業支援をやる。そのかわり、徹底的にやる。というスキーム作りに官民共同で着手すべきではないでしょうか。

 よろず支援拠点のように、行政がらみでないとできない中立的な無料支援というものもあることは否定しません。しかし、あるステージからは、有料の中小企業支援にバトンパスする仕組みは必要です。中小企業の活性化などが長年取り組まれながら、これといった決定的な成功例があまり生まれないのは、実は中小企業支援業界とは「副業」の集合体で、支援業界として自立していないからではないか、と思います。

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