2015年9月26日土曜日

クアイグニス多気が2019年に開業へ

 三重県菰野町で温泉リゾート施設を運営している(株)アクアイグニスが、同県多気町内で建設を計画している (仮称)AQUA×IGNIS 多気(アクアイグニスたき)の概要が公表されました。
 多気町内には、高速道路である伊勢自動車道と紀勢自動車道の分岐点「勢和多気ジャンクション」がありますが、アクアイグニス多気はこの勢和多気IC周辺の約115ヘクタールの山林を開発して建設されるものです。
 健康は日々の食事によって作られるものであるという「医食同源」をコンセプトにし、教育、環境、漢方・薬膳、スポーツなどの多様な切り口から「心と体の健康を提供する滞在型複合施設」になるそうで、具体的には、有名パティシエである辻口博啓さんのスイーツ店、有名シェフの奥田政行さんらによる薬膳レストラン、キッチンスタジアム、温泉や薬草湯を備えた温浴施設、約50室を擁する宿泊施設、地元農水産物の産直市場、木質バイオマス・コージェネレーションシステムなど、20棟、11施設が建設されます。
 平成31年オープンの予定で、総事業費は約70億円。年間目標来場者は800万人、目標売上は300億円だとのことで、滞在型複合施設としては国内最大級。
 三重県内でも、リゾート施設としてはおそらく平成6年に志摩市にオープンした志摩スペイン村(総事業費約600億円)に次ぐ超大型案件になるものと思われます。



 わしは、今年5月に三重県中小企業家同友会のセミナーで、アクアイグニスの立花社長からアクアイグニス多気の計画についても大まかな内容は聞いていました。(リンクはこちら
 しかし、そのセミナーでは出なかった話で今回の発表で初めて分かったのは、この計画はアクアイグニス単独の事業ではなく、同社と、イオンタウン(株)、ファーストブラザーズ(株)、ロート製薬(株)の4社が主体となる事業であるということです。
 さらに、三重県、多気町、三重大学、三重県立相可高等学校も協力し、「地方創生」を目的にして産学官連携で行われる事業となることも明らかとなっています。
 食や健康がテーマとなる以上、医学部を持つ三重大学や、高校生レストランで非常に有名な相可高校(この学校は多気町内にあります)、さらには製薬会社などが関わるであろうことは想像できましたが、 投資会社であるファーストブラザーズとかショッピングモール事業者のイオンタウンが参画することで、わしのアタマの中ではこのアクアイグニス多気、なかなか具体像が結べない感じになってきました。さすがスケールの大きな立花社長だと言うことなのでしょうが。

 気になるのは、プレーヤーが多くなると、良い意味で起業家精神が横溢しているアクアイグニスが守りに回ってしまわないかということ。
 また、色々な事業がてんこ盛りになりすぎて、テーマ性のない、つまりは菰野町(湯の山温泉)のアクアイグニスのようにオシャレではない施設になってしまわないか、も心配です。特に、わしが知る限り、三重大学医学部が監修しているレストランでビジネス的に成功しているところはほとんどないので、そのへんはネーミングを押し出すのもほどほどにし、あくまで辻口さん、奥田さんの感性に任せるべきではないかということは老婆心ながら願わずにはおれません。

 また、「地方創生」というキーワードが乗っかってくるのも要注意です。
 資本主義社会において、事業は利益を生むために行われるものです。行政から補助金をもらうような場合は、ビジネスは儲かるためにやりますなどと言ったら身もふたもないので、大義名分として「地域貢献」とか「地方創生」とかが必要になってくるのです。
 もちろん、経営者は利益だけを追い求めているのでなく、顧客や社会にも貢献する「三方よし」を経営哲学にしている企業が多いこともよく承知しています。しかし、妙なところで行政が絡んでくると、建て前に引きずられて企業本来の機動性が発揮できないことも往々にしてあるので、この点は、「行政は金は出すが、口や人は出さない」ことは徹底させるべきと思います。
 
 三重県でも人口減少が目立つ南部地域では、過去から地域活性化のため官製の(第三セクターなどによる)ビジネスが数多く作られましたが、やはりその多くは失敗しています。このことは教訓とすべきで、間違っても同じ失敗を絶対に繰り返してはいけません。まあもちろん釈迦に説法でしょうが。

■はんわしの評論家気取り アクアイグニス立花社長の戦略を聞く(2015年5月29日)

■はんわしの評論家気取り ゆめまぼろしの如く(2013年7月7日)
 

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