2015年9月4日金曜日

日立の新型冷蔵庫に三重県企業の技術が

日立アプライアンスHPより
 日立アプライアンス株式会社は今年8月から、大容量冷蔵庫「真空チルド」シリーズ12機種を発売開始しました。
 容積(730L)は業界最大の定格内容積であるとともに、野菜室まるごと、野菜の栄養素やみずみずしさを守る「新鮮スリープ野菜室」を備えていることが大きな特長です。

 この新鮮スリープ野菜室は庫内に「プラチナ触媒」が設置されています。

 野菜は、呼吸によって炭酸ガスやエチレンガスを放出しますが、このエチレンは野菜の鮮度を落とす作用があるため、庫内からエチレンを除去すれば鮮度を保持できることは原理的に解明されていました。

 この日立の新型冷蔵庫では、メソポーラスシリカなどのナノ空間材料を担体とした、低温でも効率よく働くプラチナ触媒によって、エチレンガスを分解することができます。野菜室の炭酸ガス濃度を高めると野菜は気孔が閉じて呼吸活動が低下します。いわば「眠り」につくのです。こうすれば栄養素の消費を抑えて野菜を長持ちさせることができるとのことです。

 このように驚異的なテクノロジーである「プラチナ触媒」は、北海道大学が開発したものですが、この触媒を実現化したナノ空間材料「メソポーラスシリカ」は三重県四日市市にある食品メーカー、太陽化学株式会社が開発したものです。

北海道大学HPより
ガラスの原料であるケイ素(シリカ)の非常に微細なもの(直径1.5~7 nm)で、蜂の巣のような形、いわゆるハニカム構造です。
 多孔体のため表面積が多く、化学反応を起こしやすい材質だということです。

 太陽化学はこのメソポーラスシリカの量産技術を確立しており、北海道大学で種々の触媒を使って試験を重ねた結果、メソポーラスシリカの中に固定化した白金(プラチナ)の微粒子が、非常に高い効率でエチレンを除去する触媒として機能することを見出しました。

 従来のプラチナ触媒は、高温でないと効果が発揮できませんでしたが、北大と太陽化学が共同研究により開発したプラチナ触媒は、冷蔵庫のような低温環境でもエチレンガスを炭酸ガスに効率的に分解できることから、日立において冷蔵庫への搭載に採用されたものです。

 大容量冷蔵庫「真空チルド」シリーズの実勢価格は40万円~50万円とかなり高価ですが、生鮮食品の廃棄ロスが激減することや、省エネ性能も高まっていることから、新規購入の際には十分に検討対象に値するものと思われます。

 太陽化学は、緑茶カテキンなどを製造している日本では代表的な食品添加物メーカーです。
(JR山手線の浜松町駅近くの線路沿いに「おいしさ科学館」というビルがあることをご存知の方も多いと思いますが、ここは太陽化学が「おいしさ」を客観的に判断するため、感性と科学の両面から解析するための研究施設です。)
 このような三重県企業が研究開発に取り組んだ成果によってまったく新しい製品 ~イノベーション~ を生み出したのは喜ばしく、誇らしいことだと思います。

■太陽化学株式会社ホームページ  http://www.taiyokagaku.com/

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