2015年10月26日月曜日

やっぱり怖い暫定二車線

 毎日新聞によると、高速道路などで将来の4車線化を前提にして、中央分離帯を設けないまま暫定的に2車線(片側1車線)で開通している、いわゆる「暫定2車線区間」において、事故が多発していることから、会計検査院が国土交通省や高速道路各社に対して中央分離帯の設置などの安全対策を検討するよう提言するそうです。(10月24日付け)

 全国の高速道路や自動車専用道のうち、暫定2車線区間は20路線255区間2423.8キロあり、その7割に当たる1752キロは中央分離帯がない対面通行となっており、軟らかい樹脂製のポールや縁石で簡易的に仕切られています。

 会計検査院は、平成16年から27年の10年間に2車線の高速道路などの対面通行区間で発生した事故について調査しました。すると、走行中の車が対向車線にはみ出した事故2208件のうち人身事故は677件で、119人が死亡、1281人が負傷していました。
 相手が対向車線からはみ出してきた「もらい事故」で死亡した人は28人。事故のほとんどは暫定2車線に集中しており、同じ時期に中央分離帯がある区間で起きた人身事故は7件しかありませんでした。圧倒的な差です。


 暫定2車線区間のうち4車線化のめどが立っていない区間は2264.2キロ(93.4%)もあり、このうち17路線132区間の1316.9キロ(58.1%)は供用開始から10年以上経過していました。このほとんどは交通量が少ない地方路線であり、4車線化の目安である「1日当たりの交通量が1万台以上」という要件をクリアしていたのは8路線20区間の161.2キロにとどまったとのことです。

 会計検査院は、対面通行による経済的な損失についても調査結果を公表しています。
 NHKニュースウェブによると、対面通行区間で起きた677件の死傷事故について、経済的な損失額を内閣府の基準に沿って計算したところ、死傷者の人的な損失、車や道路の補修などの物的な損失、それに交通渋滞による損失が約58億円。
 さらに、被害者の肉体的な痛みや苦しみなどを金額に換算すると、およそ256億円となり、合わせて314億円の損失となるとのことです。
 経済的損失は追い越しができないという速度規制によっても生じています。暫定2車線区間は、ポールなどで車線を区切っている対面通行区間は最高速度が70キロ、中央分離帯が設置ある区間は80キロです。
 この10キロの速度差によって物流の遅れなどで生じる損失を国土交通省のマニュアルに基づいて昨年度の交通量で計算したところ、1年間で175億円もの損失にのぼりました。

 三重県でも、長らく久居IC以南の高速道路は対面通行でした。
 現在でも、勢和多気JCT以南の紀勢自動車道、尾鷲市~熊野市間の自動車専用道路「熊野尾鷲道路」、伊勢市~鳥羽市間の自動車専用道路「伊勢二見鳥羽ライン」は大部分の区間が対面通行です。
 わしはこれらの道路をよく使いますが、やはり通常の高速道路や自動車専用道路に比べると怖い思いをする回数は多いような気がします。特にほとんどが盛土や高架で、トンネル区間が非常に長い紀勢自動車道は、どうしても運転が単調になるため、わしが居眠りしてしまいそうになることもあるし、逆に、対向車が居眠りしていている可能性も高いのではないかと心配です。
 さらに、追い越しができないので、マナーの悪い車が車間距離を異常に詰めてくる、いわゆる「あおり運転」も多く、これも追突事故を誘発する原因なのではないかと思います。

 NHKニュースウェブによると、暫定2車線区間が多い日本の道路は、国際的には特殊な構造だそうであり、ドイツ、フランス、韓国ではほぼ100%が4車線以上あります。
 交通政策に詳しい専門家は、「日本では限られたコストのなかで、できるだけ早くネットワークを広げようと暫定2車線という方式をとってきた。しかし、追い越しができず、安全性でも課題があるため、作り替えて質を上げる時代に入ってきている。」と述べており、交通量が多い区間は車線を増やす検討も必要だが、少ないところは2車線のまま安全性を向上させるというように、地域の事情でタイプを分けて戦略的に進めることが重要だと指摘していますが、まさに至言です。

 わしが思うに、みみっちい話かもしれませんが、都市部と地方(田舎)の格差を感じる点は生活していてさまざまありますが、高速が対面通行だというのは典型的な地域格差の実例です。
 高速道路を開通させるのに、さまざまな困難の克服と巨額の建設費がかかったのは事実で、その結果、大きく生活利便性は向上しました。それは確かにそうですが、しかし同時に、紀勢自動車道が将来4車線になることは現実問題として考えにくく、今後人口は確実に減少していくことを前提に、高速道路の安全対策も講じていくことが必要と思います。

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