2015年10月4日日曜日

ロバート・オウエン賞って何だ?

 朝日新聞の三重版に「現代のロバート・オウエン賞に餃子店経営の執行氏」という記事が載っていました。(10月4日付け)
 わしはこのロバート・オウエン賞なるものをまったく知らなかったので、三重県の企業がそんな賞を受賞したのかと思って読み進めていくと、どうもそうではなく、この賞を授与する団体の代表を、伊勢市にある皇學館大学の先生が務めている、ということで掲載されたようです。

 しかし、このロバート・オウエン賞はなかなか興味深い表彰制度です。
 ひょっとするとトレンドが変わりつつある、閉塞した日本の「地方」の中小企業にとっての指針となるのかもしれません。

 ロバート・オウエンとは19世紀前半、産業革命期のイギリスで活躍した人物の名前です。資本家として工場を経営していましたが、,当時は常識であった児童労働を問題視し、就学前の子供の教育の必要性を提唱して、今でいう,保育所の原型となるような施設を創設しました。さらに工場労働者が学習できる夜間学校を世界ではじめて創設した人物でもあります。
 このような精神を受け継ぎ、企業の社会的責務を考え、情愛に基づいて自前で社会福祉施設や少年院退所者を雇用する、人間性溢れる優しき経営者を表彰する目的で、平成24年に「現代のロバート・オウエンを探す会」(代表:皇學館大学教育学部 吉田明弘准教授)が創設したのが「現代のロバート・オウエン賞」だということです。

 朝日新聞の記事などによると、今回受賞するのは福岡市で餃子専門店黒兵衛を経営する「いづみカンパニー」代表取締役の執行(しぎょう)泉さん。
 執行さんは、自らも発達障害を抱えていますが、ある企業の人から「障がい者はまともに働けない」と言われたことが忘れられず、働けることを証明したいとの思いを抱いていたそうです。
 餃子を作る作業は障害者に向いていると考え、平成15年から障がい者の実習を受け入れ、現在では従業員8人のうち3人が障がい者とのことです。
 これらの姿勢が認められ、同社は第10回精神障害者自立支援活動賞(リリー賞)も受賞しています。非常に素晴らしい会社のようです。

■(株)いづみカンパニー ホームページ   http://izumicompany.com/index.html

 障がい者福祉の一環として、就労の必要性は長らく指摘され続けてきましたが、様々な課題が横たわり、なかなか雇用が拡大しないのが現状です。この事態を性急に解決しようとするあまり、行政が雇用を創出し、障がい者を雇用せよ(あるいは雇用を創出した企業に補助金を出せ)という議論は、確かに一理ありますが、しかし雇用が継続するためには、その事業がビジネスとして持続しなければいけません。つまり、最低限の利益は上げないといけないのです。
 行政による障がい者雇用創造はその点のポリシーが曖昧で、しかも、多くの事業はサンセット方式なので、事業が始まって数年で「所定の目的は達した」、「財政状況が厳しくなった」などの理由で支援が打ち切られてしまうこともしばしばです。
 ここをどうビジネスで乗り切ったのかは、非常に興味深いところでもあるし、おそらく非常に高邁な経営哲学や強靭な経営理念、高度なノウハウが凝縮している世界だと思います。

 「現代のロバート・オウエン賞」の授賞式は10月10日(土)午後1時~2時半、皇學館大7号館722教室で開かれるとのことですが、当日は第1回の受賞者で、非行少年を100人以上雇用してきた有限会社野口石油(北九州市)代表取締役の野口義弘さんと、同賞の選考委員長で朝日新聞編集委員の中島隆氏、そして吉田准教授の3人によるパネルディスカッションもあるとのことです。

■朝日新聞デジタル 現代のロバート・オウエン賞に餃子店経営の執行氏

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