2015年10月7日水曜日

東紀州の高速道路整備で観光客数が劇的に増加

 三重県東紀州地域の5市町域(紀北町・尾鷲市・熊野市・御浜町・紀宝町)と国土交通省などで構成する東紀州地域高速道路整備効果検討会が、平成26年3月に全通した紀勢自動車道と、熊野尾鷲道路に関して、全線開通から1年半を迎え、観光面でのストック効果(中長期的に継続し続ける経済効果)が現れているとの調査結果を公表しました。

 これによると
1)観光入込客数の増加
・平成24年以降3年連続で増加(特に平成26年は過去最高を記録)
・高速道路未整備時(平成17年)と全線開通後(平成26年)では約1.4倍に増加
2)日帰り観光圏域の拡大
・夏期観光期における観光客の日帰り滞在時間、観光客1人当たりの消費額がともに約1.4倍に増加(消費額は約8億円増加)
3)観光施設の入込客数 伸び率ランキング
・第1位は紀北町の「キャンプ inn 海山」で伸び率約1.5倍(入込客数は過去最高を記録)
・IC周辺の観光施設で大きな伸び率を記録したほか、開通に合わせてオープン・リニューアルした施設に多くの観光客が訪れ、賑わいを創出
 と総括できるとのことです。

  非常に興味深い資料であり、かつ、大変見やすい体裁で国交省紀勢国道事務所のホームページで公開されているので、関心がある方はぜひご覧ください。





紀勢自動車道と熊野尾鷲道路の全通により、それまでは交通不便地であった東紀州地域は、名古屋市などの各地域と高速ネットワークが形成されるに至りました。わしなども体感しているわけですが、全通前と全通後では、所要時間の短縮はもちろんのこと、従来の幹線である国道42号が急な上り下りやカーブが連続するものであったのに対して、クリアランスの大きな高規格で整備された道路なので運転がたいへんに楽であることも顕著です。まさに交通革命と呼ぶにふさわしい環境変化でした。

 それゆえに、観光需要に弾みがついたのは確かだと思います。東紀州の観光入れ込み客数は平成26年には194万人と過去最高になりました。観光客数の伸び率も三重県の他地域と比べて2割近く高く、農林水産業や建設業といった地場産業が不振の中、観光産業が東紀州の主力産業になり得ることが、地域内でも実感されてきたように感じます。
 
 ただ、問題も明らかになっています。

その1
 東紀州地域の観光施設の入込客数伸び率ベスト10を見ると、1位がキャンプinn海山(紀北町)、2位がお綱茶屋(熊野市)、3位がおわせお魚いちばおとと(尾鷲市)となっています。
 ランクインした多くの施設は、開通に合わせてリニューアルしたところも多いので、その効果ももちろんあるのでしょう。しかしやはり「インターから近い」ことが集客の大きな要因となっていることは認めざるを得ません。
 最寄りインターから30km以上離れてもランクインした湯元湯ノ口温泉の例もありますが、インターに近いところと遠いところの優劣が明確に見え始めてきたことは新たな課題に繋がりそうです。

その2
 日帰り観光圏域の拡大に伴って、日帰り滞在時間と日帰り客の消費額の増加が顕著になっていることは喜ばしいことです。しかし、問題は、日帰り客よりもさらに消費金額が大きい宿泊客をいかに増やしていくかということです。このためには質の高い宿泊施設の整備はもちろん、滞在してまでも訪れたい、体験したいと思わせる観光資源やコンテンツの整備が必須です。
 はっきり言ってこの点が、熊野三山やレジャー施設、温泉が多い和歌山県との宿泊客数の圧倒的な差につながっています。

その3
 この調査を取りまとめた東紀州地域高速道路整備効果検討会は、道路整備を促進した側の行政機関の連合体なので当然と言えば当然ですが、この調査で公表されたのは「メリット」の部分だけです。
 実際には、利便性が高まったことで、東紀州地域からの人口流出や、地域外から東紀州への単身・家族赴任者の減少(=通勤可能となるため)などのマイナスも発生しているはずですが、こうしたストロー効果のような、いわば都合の悪い側面にはメスが入れられません。
 地域づくりのためには正負の両面から冷静に事実を見ることが必要であり、人口流出や事業所流出についても近い時期に調査を行うことは絶対に必要です。
 そのうえで、プラスとマイナスを比較し、マイナスを減らすにはどうすればよいかの検討をすればよいのです。そういった客観的な姿勢は、東紀州の地域振興に関わる全ての方にせひ持ち続けてほしいと思います。

■紀勢国道事務所 記者発表資料(PDF) 平成27年9月24日
  http://www.cbr.mlit.go.jp/kisei/news/assets/pdf/press/150924.pdf

 

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

宿泊客に触れていないデータなので、移動時間が短縮したため宿泊していた層が日帰り客になって日帰り客が増えたのでは?と疑ってしまいます。
この8月で簡保の宿熊野が閉鎖してしまいましたし・・・

半鷲(はんわし) さんのコメント...

 そうですね。熊野市などは積極的な観光キャンペーンを行っていると思いますが、宿泊施設はオーバーキャパシティ状態なのですね。