2015年11月2日月曜日

水産高校実習船しろちどりに乗ってみた

 三重県志摩市にある三重県立水産高校の実習船「しろちどり」の一般公開があったので行ってみました。伊勢市をメイン会場に開かれていた第25回全国産業教育フェア三重大会の一環として行われたものです。
 「水産高校」とは一般になじみがありませんが、漁業者を養成するための職業高校で、三重県だけでなく海岸を持つ都道府県にはだいたい一校程度設置されています。(海洋高校という名称だったりもします。)


 「しろちどり」は全長62m、総トン数は499トン。三重県の県鳥から命名され、現船で三代目となります。21世紀の水産業界、海運界を担う後継者を育成する目的で建造され、漁業教育実習をはじめ国際化への対応や、水産資源の調査・研究を満足する最新鋭のものとなっているそうです。



 しろちどりの見学会場は、鳥羽市の中之郷港です。伊勢湾フェリーのターミナルや、海上保安庁の巡視船がある、すぐ近くに停泊していました。

 受付で名前を書いて、パンフレットをもらい、はしごを渡って乗船します。しろちどりは実習船で、正確に言えば純粋な遠洋漁業船ではないわけですが、それでもこれほど大きな漁船(仕様の船)に乗るのはわしにとって初めてでした。


 まず船首のほうに誘導され、「ホールド」という釣った魚を冷凍保存する穴倉を見せてもらいました。


 説明してくれるのは、担当の生徒さんたちです。中を覗くと、冷蔵庫の裏側にあるみたいなぐにゃぐにゃ曲がったパイプがびっしり貼られています。かなりの深さです。
 
 船首部分です。10年前だったら「タイタニック」のマネでもしたかもしれません。


 船首から操舵室のある船橋部分をふりかえって見ると、こんな感じ。イカリを巻き上げる装置や、救命ボートなど見学コースが続きます。


 次に、船内の階段を上り、操舵室に入れてもらいました。
 レーダー画面やメーター類がずらりと並んでいます。最近は船も電子化しているようで、パソコンもいっぱい置かれていました。


 今度は船橋部の階段をどんどん降りて、実習航海中に生徒さんが寝泊まりする「上甲板」というスペースに案内されました。
 やはりというか、廊下も部屋もかなり狭く、ここで長い期間にわたって集団生活するのはかなりキツイのではないかと、率直に思います。しかも外洋ではめちゃめちゃに揺れることでしょうし。

 ここは「教室」というスペースです。生徒用の食堂も兼ねており、船内で一番広い部屋のようです。(この写真は全体の4分の1くらいが写っています)


 ここでは、しろちどりの実習の中心であるカツオの一本釣りについて、使っている疑似餌の展示とか、釣りの作業中の様子のビデオ上映、さらには同校で加工したとい缶詰の展示などがされていました。
 ここの説明も生徒さんたちがしてくれたのですが、やはり航海実習はなかなか大変なようです。
 船内の生活は、毎朝6時起床。必ず体温と血圧を測定し、異状がなければ6時半にラジオ体操を行って一日が始まるそうです。就寝は午後9時ごろだそうです。海の上の生活でのんびりしているのかと思ったらまったくそうではなく、色々な作業がびっしりと組み込まれていて、すぐに一日が終わってしまうとのこと。
 しろちどりも忙しい船で、この一般公開が終わると、すぐに神戸港に向けて出航し、その後に太平洋上に約2週間の漁業実習に向かいます。それが終わると那覇港に入港し、一旦水産高校に帰港したあと、松阪港に行って他校との交流行事があるとのこと。予定表が2か月先までいっぱいになっていました。


 約30分の見学でしたが、教員、生徒とも受け入れにはかなりの準備をされていたようです。この場を借りて感謝申し上げます。

 一か月ほど前、朝日新聞に「水産高実習船、曲がり角 1隻15~20億円、自治体財政に重荷」という記事が載っていました。実習船は水産高校にとって欠かせない教材ですが、大型実習船は多額の建造費と維持費が必要で、県によっては財政難や漁業者の減少などもあって、老朽船の更新を止めたり、香川と大分のように共同で運航を始めたところも出てきているとのこと。
 この、しろちどりは平成12年3月の竣工でそうで、わしには船の寿命の知識はないので何とも言えませんが、早晩更新の時期がくるのでしょうから、財政難で「箱モノ」の新規着工は当面中止する方針を先日表明した三重県(庁)の現状を見ると、若干の不安はなしとはしません。

■三重県立水産高校公式ホームページ  http://www.mie-c.ed.jp/hsuisa/HP/index.html
 

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