2015年11月18日水曜日

三重県中小企業のフェイズが変わってきた

 先日の日本経済新聞で、「地域経済500調査」の結果概要が公表されていました。これによると、地域企業(はんわし注:詳細は不明ですが首都圏以外の地域にある、いわゆる地方企業と同義だと思います。)の人手不足は深刻さを増しており、従業員数が「不足」していると回答した企業は40%にも達しています。
 地域別にみると、人手不足と答えた企業の割合は北海道が60%、次いで北陸が56%。理由(複数回答)としては「同業他社との採用競争」(44%)や「大手企業の採用増」(31%)、「他地域との採用競争」(28%)などの回答が多くなっています。
 また、「地域での労働人口減」を挙げる意見も目立ち、甲信越では69%、四国、北海道、東北でも5割を超えています。一方で、関東は11%、東海や近畿は25%程度にとどまっており、働き手の偏在ぶりがうかがえると日経は報じています。
 わしは商売柄、三重県内の中小企業経営者にお話を聞く機会が多いのですが、人手不足だという声は昨年、つまり平成26年の春先あたりから自動車関連の製造業を中心によく聞くようになり、昨年は業績が好調な自動車製造業を中心に、それに関連する、設備メンテ業、運送業などでも悲鳴に近い人手不足の声を聞くようになりました。
 数年前まで日本企業は、過剰在庫、過剰設備、過剰人材の三つの過剰がある、などと言われていたわけですから、がらっとフェイズが変わってしまったわけです。
 これは、厚生労働省三重労働局が毎月公表している労働市場月報を見ても裏付けられます。



 直近の平成27年11月に公表された、9月の労働市場月報によれば、三重県の有効求人倍率、すなわち「有効求人数」を「有効求職者数」で割った数字は1.31。求職者数に比べて求人の数が3割多い状態になっています。
 有効求人倍率を三重県内の9つのハローワークごとに算出すると、津 1.86 倍、四日市 1.36 倍、伊賀 1.34 倍、尾鷲 1.32 倍、桑名 1.16 倍、鈴鹿 1.13 倍、熊野 1.10 倍、松阪 1.09 倍、伊勢 1.08 倍となっています。
 サービス業が多い津と、製造業が多い四日市や伊賀は高い数値なのは理解できますが、意外にもと言うか、一般的に「仕事がない地域」と思われがちな、尾鷲や熊野でも有効求人倍率は1をはるかに上回っており、人手が足りない状態になっています。(ただし、季節的な変動要因はあるので、その考慮は必要です。)

 失業率の低下と、これと裏腹の関係にある有効求人倍率は平成21年から急回復しています。そろそろ限界点が見えてきた感があるアベノミクスですが、こと雇用に関しては明らかに効果があったと見るべきではないでしょうか。

 もっとも、求人の内容を見ると、4割近くはパートであり、正規雇用を望む求職者から見れば、本当に探している仕事ではないということになるかもしれません。グローバル競争の激化や、消費者の購買活動の伸び悩みなど、企業は相変わらずコストダウンが不可欠な状況であり、正規雇用の増加回復は厳しい見通しなのも確かであり、これは一つの大きな課題でもあります。

 しかしながら、「失われた20年」の間に、しっかりと深く我々の頭の中にこびりついてしまった、(三重県のような)地方には仕事がなくて人が余っている、とか、地方の企業が雇用を維持・増加させるように行政は支援しなくてはいけない、といったような政策課題は、完全にクリアーされたということはできるのではないでしょうか。
 もちろん、非正規雇用が相変わらず多い、このような雇用形態は望ましくない、という見方もあるし、それは一面正しいのですが、そもそも「仕事がなかった」状態から見れば今はまったく状況が変わっているのです。
 いまだに国や地方自治体が行っている雇用対策事業には、数年前の状況を前提に、企業への雇用者確保の補助金とか、官営の就職相談会などの事業に巨額の予算が投じられています。これはそろそろ見直すべきではないでしょうか。


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