2015年11月23日月曜日

音のUD「おもてなしガイド」

おもてなしガイドHPより
 阪神・阪急・京阪・近鉄・南海の関西5私鉄が、音響・楽器大手のヤマハとコラボして、音のユニバーサルデザイン化支援システムである 「おもてなしガイド」を活用した実証実験に取り組むと発表しました。

 ここで言う「おもてなしガイド」とは、観光客を案内するとかの一般的な意味ではありません。
 アナウンスやナレーションなどが伝わりにくい状況 ~たとえば、アナウンスが聞き取りにくいとか、外国人で日本語のアナウンスがわからない、など~ において、アナウンスの内容を文字にしてスマートフォンで確認できるようになるというシステムです。

 自動放送によるアナウンスでも、肉声によるアナウンスでも、日本人には日本語、外国人には翻訳された外国語の文字が表示されるというから画期的で、まさに「音のユニバーサルデザイン」ということができるでしょう。
 関西5私鉄では今年11月中旬から来年3月末まで、各社の駅や車両で順次実験を行うとのことです。


  ユーザーはまずスマートフォンに、専用アプリをダウンロードしておきます。「おもてなしガイド」のシステムが導入されている駅や施設でアナウンスが流れたら、ユーザーはアプリを開くと、アナウンスされている内容が日本語や外国語で表示されます。
 「おもてなしガイド」はすでに成田国際空港、関西国際空港、イオンモール幕張新都心などで導入されており、関西5私鉄では以下の駅などでサービスの実証実験が行われます。

・阪神 神戸三宮駅での沿線情報のアナウンス
・阪急 京都河原町駅のホームで放送される自動アナウンス、「京とれいん」の列車内自動アナウンス
・京阪 交野線または宇治線の車両(1編成)の列車内自動アナウンス
・近鉄 大阪難波駅のホームで放送される自動アナウンス、特急(伊勢志摩ライナー)の列車内自動アナウンス
・南海 特急ラピート(1編成)の列車内自動アナウンス

 さらにこの実証実験では、駅員や車掌による肉声アナウンスを収集して、話し方や表現の特徴分析もを行なわれます。
 この分析をもとに、肉声の日本語アナウンスの内容をリアルタイムに文字としてスマートフォンに提供する機能や、日本語アナウンスに続けて外国語アナウンスを自動的に放送できる機能を開発していく予定とのことです。

 近年、国内各地で外国人観光客、いわゆるインバウンドが増加しています。彼らに正確な音声情報を提供することは、観光関係者にとって共通の大きな課題になっており、ボランティアガイドの育成に取り組む地域も多いようです。
 しかし、インバウンド・バリアフリー施策として、何カ国語ものアナウンスを連続して流したり、映像ディスプレイ等で字幕表示する方法は、時間や費用、スペース上の制約があります。
 もちろん、外国人に限らず日本人であっても、高齢者や聴覚障がい者などの利便性を高めることはたいへん重要です。

 「おもてなしガイド」は、対応言語数に制限がない(=何か国語でも対応可能)、導入にあたっては既存のスピーカーやアンプなどの音響設備がそのまま利用できる、インターネット環境(Wi-Fiなど)が不要、肉声アナウンスでも対応可能、などの優れた利点を持っています。
 実証実験によって、大型店や空港ロビーよりももっと騒々しいと思われる鉄道の駅や車両内で、実際にきちんと稼働するかが判明するでしょう。もし良好な結果であれば、もっとさまざまな場所や地域で利活用していく可能性が開けることになります。

 問題なのは、システムを導入するために、施設管理する側(今回なら鉄道会社)はいったいどれくらいの経費がかかるのかということです。
 初期費用はもちろんですが、ICTシステムの常としてバージョンアップは欠かせなくなるはずなので、運営経費も気になるところです。

 余談ですが、「おもてなしガイド」という名前はすでにヤマハによって商標が出願されています。電子通信機器とICT技術により施設で情報提供を行う際は、類似の名称をシステムやサービスに命名することは商標権侵害となる可能性がありますのでご注意を。(特に地方自治体の方、安易なネーミングは止めましょう。)
 

0 件のコメント: