2015年12月2日水曜日

日経ヒット商品番付2015に想う

日経Web版より
 日本経済新聞社が毎年この時期に発表している新商品番付が日経MJに大きく載っていました。
 今年はこれらが流行したりブームになったということなのですが、残念ながらわしが購入したりとか体験したりしたことがあるものは数えるほどしかありません。半分以上は聞いたこともないか、意味さえ分かりません。年を取るのは悲しいことです。
 今年のランキングについて、MJ紙は「デフレ型のサービスが完全にランキングから姿を消して」おり、ただ単に安いだけではなく、高い付加価値も兼ね備えていなくては生き残れず、来年はさらにその傾向が強まるだろう、みたいな分析をしていました。
 これは確かにごもっともですが、しかしわしの身の回りを見てみると、まだまだデフレモデルが幅を利かせています。
 安値の魅力が消費者から見放されることも、ここ当分はないのではないかと思います。

 デフレとは、物価が継続的に低下していくことです。実は消費者にとってデフレは悪いことでは決してなく、商品(製品やサービス)が安く買えて、相対的に自分の持っているお金の価値が上がる(=モノやコトの値段が下がっていく)という意味ではむしろメリットが大きいものです。


 ただしデフレでは商品の値段が下がり続けるので、消費者は買うのを先に延ばせばもっと安く買える、という期待を抱くようになります。結果的にこれが買い控えとなり、消費が冷え込むにつれて生産も停滞し、経済活動全般が縮まってしまうことになります。
 消費者の多くは同時に経済活動に従事して収入を得ている生産者なので、生産が停滞すると流通も停滞し、つまりは不景気となって、自分たちの賃下げや、最悪の場合は倒産・失業につながってしまいます。

 日本ではここ10年以上デフレが続いていたので、ファストフードのような外食産業とか、ファストファッションと呼ばれる衣料・ファッション産業などが典型的なように、「激安」を提供し続けないと企業は消費者から選ばれない状態になってしまいました。
 デフレからの脱却を唱えるアベノミクスですが、デフレの目安となる消費者物価は決して大幅には好転していません。(なので、日本は本当にデフレを脱却したかどうかは専門家の間でも見方が分かれています。)

 わしの身近な例では、この写真のような紳士服は完璧にデフレモデルが維持されていると思います。
 我が家に送られて来たのはスーツ半額券のDMです。
 半額とか50%ディスカウントなどとは、まあ通常の商品ではなかなか考えにくい値引きです。
 しかし、洋服の青なんとかいう量販店からは、毎週のように創業記念祭だの閉店セールだの何とかセールだののDMが送られてきます。
 それぞれが、購入2着目からは半額になる、とかの驚くような特典が付いていますが、とうとうこの時期になって「1着でも半額」になると言うのです。
 ならば、買うのを今まで待っていた人が一番得をしたことになります。
 ひょっとすればクリスマスまで待ったら、いや、年明けの初売りまで待ったら、もっと安く買えるかもしれません。
 ビジネススーツにも流行はあるし、服の機能性も年々向上はしてきますが、それにしても、そのことが購入動機の大部分を占めるほどとも思えません。いわばコモディティ化している(=どのビジネススーツであってもデザインや機能に大差はない)ので、「安い」ということにしか差別化要因がないのです。

 考えてみれば、デフレという生活感覚は、特に物心ついた時からそのことが当たり前の環境で育った若い世代には染みついているのではないでしょうか。
 若者たちは背伸びして高いものを買うのではなく、最低限の機能とセンスを備えていれば価格が最も訴求要因になるのです。メイドインジャパンの高品質低価格がそれを助長しています。これを払拭することは、実際問題として容易ではないでしょう。
 消費が伸び悩んでいることは、節約志向が行き過ぎているわけでは必ずしもなく、日本の経済が成熟してきた証拠と考えるべきです。人口は減少し、モノやサービスは溢れています。
 むしろこのヒット番付にランクインされているもののほうが、どことなく無理をした、ブームの作為感のようなものをわしは感じるのですが。

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