2016年1月12日火曜日

「“ちいさな企業”交流キャラバン」が尾鷲市で

 経済産業省(中小企業庁)は、厳しい経営環境の中で地域の“ちいさな企業”が持続的に発展していくため、「何が本当の課題か」、「今求められている対策は何か」について、地域の事業者と交流・対話を行う一環として “ちいさな企業”交流キャラバン を開催することとしています。
 全国を8ブロックに分けて1カ所ずつ開催していますが、中部地域においては平成28年3月14日(月)、三重県尾鷲市で開かれることが公表されました。(会場や開催時間は未定です。中小企業庁ホームページへのリンクはこちら
 この、経産省による「ちいさな企業」うんぬんという一連の施策は、平成24年ごろ、いよいよ日本経済の長期低迷が「失われた20年」となるのが確実となり、あらためて地域の経済や雇用を支えている中小企業、なかんずく小規模な企業や個人事業主を支援することで経済再生に取り組もうという機運が高まってきたことから生まれたものです。
 中小企業庁の幹部が、小規模企業の経営者や、商工会議所とか金融機関で支援の第一線にいる人々とひざを交え、率直に意見交換することはそれまでほとんど見られなかったことでした。
 全国各地で「ちいさな企業未来会議」などと命名されたミーティングが重ねられた結果、小規模企業振興基本法や小規模事業者支援法など、製造業であれば従業員20名以下、商業・サービス業であれば5人以下くらいの規模の ~しかし、このような小規模事業者は国全体の7割くらいある~ 企業や個人事業主に対する支援措置、具体的には経営計画の策定支援、補助金、低利融資、販路開拓支援などが講じられるようになりました。
 3月に尾鷲市で開かれる “ちいさな企業”交流キャラバン でも、どのような意見交換がなされるのか興味があるところではあります。


 ただ、問題なのは、尾鷲市は三重県の中でも少子化・高齢化が進む東紀州地域(三重県南部の、尾鷲市、熊野市、紀北町、御浜町、紀宝町の2市3町からなる地域)において、比較的、地域産業の活性化や地域特産品の開発などに熱心に取り組んできていることは間違いないものの、残念ながら人口の減少は止まらず、市産業の生産額、出荷額は相変わらず漸減傾向であることです。
 つまり、ちいさな企業の支援とか、地域産業活性化のための支援を、何を目的に行うのか、その目標設定次第という部分はあるにせよ、必ずしも国や県による支援は地域の活性化に結びついていないのです。

 尾鷲市の一つの「先進的な」例として、尾鷲市は地域産業活性化法(別名、企業誘致促進法)が制定された早々、基本計画を策定して国の承認を得、海洋深層水を活用した特産品づくりや、企業誘致などに取り組みました。
 農商工連携促進法が制定された早々にも、市特産の夏みかんを使った連携事例で、三重県内で第一号の国認定を取得しています。
 このように国の支援策を矢継ぎ早に積極活用することがめでたく覚えられたのか、平成19年10月には、中部経済産業局、東海農政局、中部地方整備局、中部運輸局、三重労働局の5省庁の出先機関が横断的に連携して尾鷲の産業活性化に取り組むという、全国でも珍しいと言われたモデルケースさえ立ち上がったのです。

 しかし、その後、尾鷲市の経済がV字回復することはありませんでした。尾鷲だけでなく、多くの日本の地域は産業構造の変化やグローバル競争の激化に着いていくことができず、低迷を続けたままです。
 その原因を作った一つは間違いなく国政ですから、国が地方を支援するのも当然とは言えます。しかし、その支援策を使って頑張っても、かつての繁栄は遠のいていくばかりです。
 このような比較はあまりにも乱暴ですが、ヘタに国の支援を受けたりせず、地元の経済団体(商工会)が積極的に活動している紀北町とか、市が前面に出て観光拠点づくりと観光客誘致、特産品の開発と販売に乗り出している熊野市のほうが、何だか元気がある ~ように見える~ のは、わしとしては複雑な気持ちにさせられます。

 なので、“ちいさな企業”交流キャラバン で話し合われるべきなのは、
1)今まで国が講じてきた地域産業活性化施策、中小企業・小規模企業支援策の評価と反省、課題の抽出
2)皆が合意できる、地域として目指すべき経済活性化の目標の設定
 の2点です。
 そのうえで国の予算や支援策の説明があって、尾鷲ならではの課題にどう国の支援を絡ませていくのか、の立てつけを議論しなくてはいけません。
 これまでの、ちいさな企業未来会議とか、ちいさな企業支援会議などでは、往々にして上記の1と2の議論がなく、過去の積み重ねがないまま来年度予算の説明や支援策の紹介などうわすべった話に終始していました。
 そろそろこのやり方は変えなくてはいけません。

 

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