2016年1月20日水曜日

プレミアム商品券はサンバレーを救えない

 ちょうど1か月前にこのブログで書いた、イオン津南ショッピングセンター、通称サンバレーの閉店に関する記事が、多くのアクセスを集めています。(はんわしの評論家気取り 津サンバレーが閉店へ 2015年12月19日

 昭和53年にオープンしたサンバレーは、三重県の津市周辺地域、いわゆる中勢地域での郊外型大型ショッピングセンターの第一号だったと言ってよく、長らく高茶屋地区のランドマークでした。市民にとって閉店は非常にショッキングなニュースであったのだと思います。

 しかし、わしも含めて多くの一般消費者にとって気が重いのは、このような郊外型、大型のショッピングセンター、一般的には総合スーパー(GMS)と呼ばれる業態は、地方都市において今後ますます淘汰が進み、この春以降は全国で閉店ラッシュになるのがほぼ確実であるということです。


 三重県になじみが深いユニーは経営不振から50店舗を閉鎖することが決定しており、イトーヨーカドー、そしてイオンも、不採算GMSの大量閉店を進める方針を明らかにしています。
 コンビニの浸透、ユニクロやしまむらといった専門店の台頭、さらに近年はネット通販の普及もあって、GMSの経営立て直しは非常に難しい状況です。
 市場の成熟化が都会以上に進む地方都市では、GMSのスケールメリットはもはや優位性ではありません。田舎に住む人間は、自宅そばの馴染みの大型店が突然閉店しないか、当分の間は戦々恐々と過ごすことになりそうです。

 それにしてもわしが不思議だったのは、あれだけ大ブームだった「プレミアム商品券」の効果がなぜ ~少なくともサンバレーに関しては~ 生まれなかったのか、ということです。
 政府が主導する地方創生の一環として、地方自治体などが消費喚起のために発行する商品券に対して交付金(地域住民生活等緊急支援交付金/地域消費喚起・生活支援型)が財源充当可能とされると、ただちに全国の地方自治体の97%にもあたる1700の道府県・市町村が、実際の購入額よりも多くの金額の買い物ができる「プレミアム商品券」の発行を行いました。これらプレミアム商品券事業の総事業費は2500億円にも達します。

 一方で、肝心の消費喚起効果のほうはあまり明らかになってはいません。発行したほとんどの自治体、特に市町村レベルではそもそも発行しっぱなしであり、事後の効果検証を行って公表しているところがほとんどありません。
 道府県や特別区、政令市などでは検証を公表している例がありますが、商品券によってその自治体内で新たな消費がどれだけ生み出されたかを表す「消費喚起額」とか、どれだけの生産につながったかを示す「生産誘発額」が公表されるのがせいぜいで、それよりさらに踏み込んで、では一時的に増えた消費の反動減はどれだけだったのかとか、生産誘発によって税収がどれだけ増えたかという検証をほとんどの自治体は行っていません。

 消費活動がどれだけ活発化を示す指標はいろいろありますが、代表的なものが総務省による家計調査(消費支出)と、内閣府による国民経済計算(個人消費)の2つです。
 この数字を見ると、個人消費は平成26年の消費増税によって急激に落ち込み、その後徐々に回復してきましたが、平成27年については一進一退で、消費増税前で駆け込み需要が起きる前の水準に比べてもまだ下回っている状況です。

 津市でも購入価格1万円で、12000円分の買い物ができる津市プレミアム商品券を15億6千万円分も発行しました。これは市内の商店街はもちろん、農協やGMSのような大型店でも使用可能であり、予定数がほとんど完売したほどに好評だったようです。
 しかし、津市の小売業年間販売額は2400億円近くもあります。単純計算ではプレミアム商品券はその0.6%ほどであって、市全体の消費を押し上げる規模ではなさそうなことは何となく感じます。
 これも推測ですが、おそらく多くの人は買い物が便利な全国チェーンのスーパーや量販店で商品券を使ったと思われます。しかし、それはサンバレーのようなライバル店に比べ競争力が低下してきたGMSを救えるほどの消費喚起力を持たなかったのです。

■日本経済新聞 エコノ探偵団 プレミアム商品券 地方消費の呼び水か、ばらまきか(2015/2/10)
 http://www.nikkei.com/article/DGXKZO83010010Z00C15A2TJP001/

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