2016年1月23日土曜日

自殺防止相談員の人手不足が深刻

 先日の中部経済新聞に 自殺相談 人手不足が深刻 という記事が載っていました。(1月19日付け)
 自殺の恐れがある人たちから電話で相談を受ける「自殺防止センター」や「いのちの電話」などを運営する団体の多くでは、相談員の確保が困難となっており、運営資金も不足がちで、閉鎖を決めたセンターもあらわれ始めた、という内容です。
 記事の中で紹介されている、大阪市のNPOが運営する大阪自殺防止センターの業務は、確かに大変ハードなものです。
 電話の受け付けは金曜日の13時から日曜日の10時までの57時間、約40人の相談員が交代で担当します。かつては24時間無休で受け付けていましたが、人手不足のため現在の時間だけになりました。毎月約6千件もの電話がかかってくるそうですが、実際に相談員が対応できるのはこのうちの500件ほどに過ぎません。
 1回の相談が2時間近くに及ぶ場合、話を聞いても相談者の気持ちが変わらない場合もあります。相談した結果、死ぬのをやめたと解決することはむしろ少なく、相談員にとっても応対には心理的な負担が非常に大きいものだそうです。



 これらの相談員は、かつてはその多くが専業主婦でした。しかし働く女性が増えたことや、さまざまなボランティア活動を行うNPOなども増加し、その人のライフスタイルに合った社会貢献ができるようになり、ストレスも大きい自殺防止の相談員へのなり手が減少しているのです。
 実際に大阪自殺防止センターで昨秋行った相談員の募集では、期間を延長してやっと4名が集まりました。しかし最終的に相談員になれるのはそのうちの2~3割程度だそうです。やはり人による向き不向きもあるのでしょう。

 人手不足は、「いのちの電話」を運営する一般社団法人日本いのちの電話連盟でも同じで、この10年間でボランティア相談員は1000人近くも減少していますが、新たな確保が難しくなっているそうです。
 この状況は地方に行くとより深刻で、熊野市では任意団体が運営している熊野自殺防止センターが3月に閉鎖されることが決まりました。(現在すでに相談受け付けは終了)
 このセンターの所長は、「都会とは違う悩みを抱える地方にこそ自殺防止の支援団体が必要だった」と残念がっておられます。

 我が国では、長らく3万2千人近かった年間自殺者の数が減少傾向となっており、平成26年には25427人にまで減少しました。これはもちろん喜ぶべきことですが、それにしても死因の絶対数としてはまだまだ多いと思わざるを得ません。引き続き防止のための対策は講じるべきです。
 自殺相談に対応できるような相談員は、医療や福祉の専門家というよりも、相談の内容に耳を傾けて相談者に同感・共感する姿勢が大切なのかもしれません。それには社会人として十分な生活経験を有する人のほうが向いていると思われ、この意味では、一定程度、ボランティアが中心となって運営していかざるを得ないとは思います。
 しかし、現在の相談員の負担を軽減するためにも新たな相談員の確保は必須といってよく、行政や企業をはじめ、社会の関心を高めていく必要がありそうです。

 先日には、志摩市で開かれるG7(主要国首脳会議)で、各国から取材に来るマスコミ関係者に道案内や観光案内をする通訳ボランティアの募集に対して、応募が殺到していることが報じられていました。このような簡単な手伝いと自殺防止相談とはもちろん重要性がまったく違うわけですが、一般市民のボランティアへの関心は着実に強まっている一方で、本当に必要な分野では人手の確保もままならない、この厳しい現実を、わしも再認識せざるを得ないのでした。
 
■三重いのちの電話協会   http://www.jona.or.jp/~mie-inochi/

4 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

いつも勉強させていただいています。
平成26年の自殺者数が1万人多く表記されています。m(_ _)m

半鷲(はんわし) さんのコメント...

匿名様
 ご指摘いただきありがとうございました。修正しました。
 ×35472人 → ○25472人

一県民 さんのコメント...

伊勢志摩サミットには4億円寄付が集まったなどと聞くといっそう複雑な気持ちにさせられます

半鷲(はんわし) さんのコメント...

一県民さま
 あるところにはある、としか言いようがないですね。自殺問題にももう少し社会の関心が高まると良いですね。