2016年1月27日水曜日

中部地区のインバウンド消費は伸び悩み

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングによると、平成27年に日本にやって来た外国人による消費(インバウンド消費)額は対前年比が71.5%の増となり、中部地区(愛知、静岡、岐阜、三重、福井)でも30.7%の増となっていますが、これを外国人客一人あたりの個人消費額でみると、全国が16.5%の増(伸び)なのに対し、中部は逆に-12.4%と減少に転じているとのことです。
 この調査は「2015年のインバウンド消費」というレポートで、日本政府観光の「訪日外客数・出国日本人数」と、国交省観光庁の「訪日外国人消費動向調査」を基に推計したもの。
 各紙が報じている内容は以下のようなものです。(カッコ内は対前年比)
   
     訪日外国人数    インバウンド消費額     一人当たり消費額

全国 1973.7万人(47.1%)     3兆4771億円(71.5%)         17.6万円(16.5%)

関東 1139.7万人(48.3%)       1兆9173億円(68.5%)         16.8万円(68.5%)

中部 294.4万人(49.1%)            1734億円(30.7%)           5.9万円(-12.4%)

関西 789.9万人(64.8%)            6950億円(68.0%)           8.8万円( 1.9%)

 これを見る限り、ビジネスにしろ観光にしろ来訪者の多くは関東と関西に集中しています。インバウンド消費額に至っては関東の一人勝ちで、関西ですら1/3程度、中部地域は関東の1割にしかすぎません。
 一人当たり消費額は消費総額を訪日外国人数で割ったもので、上述のように中部は絶対額も少ないうえに前年度より下がっている有様です。

 実は三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、平成27年8月に公表した「中部地域におけるインバウンド消費の現状と今後の見通し」という調査レポートの中で、「2015年に中部地域を訪れる訪日外国人は285万人となり、インバウンド消費は1829億円となる見通しである。」との見込みを示していました。結果的に、訪日人数は予想を上回ったものの、消費額は見込みを下回ってしまったことになります。

 この理由としては、よく言われるように、中部地区に宿泊した訪日外国人の訪日目的の約半分がビジネス目的であり「爆買い」のような消費行動に結びつきにくい属性であることが考えられます。また、免税店の数が首都圏や関西圏に比べて少ないこと、さらに、買い物の多くは出国場所(最終日の宿泊地や出発飛行場のある場所)で行われるため、多くの外国人観光客が集中する東京~大阪のいわゆる「ゴールデンルート」上にあっても、名古屋などの中部地区は通過点となっていて、多くのインバウンド消費が見込めない現状であることがあげられるでしょう。

 国内消費に今一つ力強さが感じられない中、外国人による「爆買い」が消費を押し上げている面は確かにあり、全国各地で爆買いにあやかろうと外国人観光客の誘致や売り場の拡充などが進んでいます。乗り遅れまいとするブームになっていると言っていいでしょう。
 しかし実際には爆買いには非常に地域差があり、商業集積が集中する首都圏や関西、名古屋圏以外は爆買い効果を取り込めていない地域がほとんどです。
 これも当然のことですが、「外国人」をひとくくりにするのではなく、もっと言えば「中国人」「ベトナム人」「韓国人」などと一つの国の国民をひとくくりにするのでもなく、性別や年齢、所得、嗜好などのきめ細かいターゲット設定が必要になるのだと思います。
 また、爆買いの効果が直結する「買い物」だけでなく、宿泊費やレジャー費、食事代などもトータルな消費と捉え、いかに長期滞在してもらうか、また、物見遊山的な観光だけでなく、アクティビティを充実させるか、という多面的な戦略が必要です。
 もうすでに少なくない関係者が、中国の景気減速を受けて中国人の爆買いは近いうちに収斂するのではないかとの見通しを示しており、「ポスト爆買い」とも言うべき、次の仕掛けづくりの地域競争は、もう水面下では始まっていると見るべきかもしれません。

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