2016年1月5日火曜日

JR東海・名松線が3月26日から運行再開へ

 平成21年10月の台風18号によって、線路への土砂流入、盛土流出、橋台背面流出など甚大な被害を受け、不通となっていた名松線(めいしょうせん)の家城(いえき)駅~伊勢奥津(いせおきつ)駅間17.7kmが復旧し、平成28年3月26日から運行を再開するとJR東海が発表しました。
 現在、同区間は代行バスが1日11便(上り5便、下り6便)運転されていますが、線路復旧後は15便(上り7便、下り8便)に列車本数が増えることになります。
 交通運輸関係のニュースサイト「レスポンス」によると、災害によって不通となった鉄道が運行再開した例では、山田線(岩手県)の平津戸~腹帯間、摩耶ケーブル線(兵庫県)が、それぞれ6年2ケ月間不通となった後に再開したことがあるそうです。名松線は平成21年10月から平成28年3月まで不通だったため6年5ケ月ぶりの再開となる見込みであり、少なくとも戦後最長の復旧例となるそうです。
 
 地方ローカル鉄道線の廃止が全国で相次ぐ中、また、JR東海もあまりの被害の甚大さから当初は同区間を路線廃止する方針を示していた中、三重県や津市など沿線自治体が復旧工事を行うことなどの条件で、ひとまず運行再開に至ったのは喜ばしいことと言えるでしょう。


 しかし問題は、名松線の沿線は過疎化が進んでおり、また、鉄道と並行する道路の整備も進んだため、昭和50年ごろをピークに利用者が減少の一途だったということです。
 この環境は何ら変化していない、いやむしろ人口減少はますます進んでいることから、今後も旅客が増加するとは考えられません。運行再開に果たしてどれだけの社会的なメリットがあるのかは、客観的に考えると不透明と言わざるを得ないのです。
 
JR東海HPより
 三重県には、名松線のような盲腸線、あるいは地方都市間を結ぶローカル線が数多くあります。しかし、近鉄養老線、近鉄伊賀線、近鉄日永・西日野線はそれぞれ近鉄から経営が切り離されて第三セクターとなり、三岐鉄道北勢線も沿線自治体の強力な財政支援でかろうじて命脈を保っているような状況です。
 名松線もJR東海という盤石な基盤の会社が経営している限り、当面は赤字の影響をまともに被ることはないかもしれませんが、10年後、20年後を考えた時、相当な知恵と工夫とおカネを出さないと、路線維持が難しくなることも容易に想像できます。

 幸いにも、名松線沿線では地元の住民が中心となって、地域での観光開発と一体化した名松線誘客促進の取り組みなども生まれているようです。
 地域の生活の足として鉄道の役割が重要なのはもちろんですが、観光目的に大胆に軸足を移し、路線の活用と存続を図っていく方針は正しいのだと思います。
 ななつ星のような高級観光列車を次々生み出しているJR九州とか、京都郊外などでトロッコ列車を運行しているJR西日本などに比べて、JR東海は在来線の観光活用が著しく遅れています。乗客がわくわくするような遊びゴコロが、そもそも社風にないのかもしれませんが残念なことです。
 名松線を観光路線に特化して、たとえば清流の雲出川の景観を楽しめる列車とか、SLを運行するとかいった取り組みのリーディングケースにできないのでしょうか。

■JR東海 平成28年3月ダイヤ改正について

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