2016年2月8日月曜日

日本初、再チャレンジ専門の投資ファンドが

 一般社団法人MAKOTO(仙台市)と福島銀行が、「再チャレンジ」に特化した日本初の投資ファンドである 福活(ふっかつ)ファンド を設立したことが関係者から注目を集めています。

 日本の経済は停滞していると言われて久しいのですが、その現れの一つが、地域にとって重要な経済セクターである中小企業、なかんずく、小規模企業と言われる従業員が少ない企業や個人経営、家族経営の事業体がどんどん減少していることです。
 小規模企業といえどもその経営者は良くも悪くも人の上に立つリーダーであり、地域経済に能動的に関わる立場にあります。その経営者が減ってしまうことは地域の経済活力を奪うことにつながります。日本では、戦後復興の時期から個人事業主が激増し、開業率(全事業体のうち新規起業・創業した割合)はバブル期までは6~7%もありました。しかしバブル崩壊とともに4~5%に低下し、同時に1990年代後半は戦後世代の創業者がリタイアする時期と重なって、廃業率が開業率を上回るようになってしまいました。
 情報通信分野を中心にベンチャーが勃興し、活力を取り戻していたアメリカを見習って、日本でもベンチャーなどへの起業支援、創業支援が盛んに行われるようになりました。
 しかし、これと並行して、もう一つの問題が頭をもたげてきました。一度起業にチャレンジし、不幸にして事業に行き詰ってしまい倒産や清算の憂き目にあった人が、もう一度新しいビジネスで起業しようとしても、金融機関から融資が受けられない、という問題です。

 これは日本的なメンタリティとしてはよく理解できます。
 日本は趣味でもスポーツでも、「道」(野球道とか)として精神性も含めた一つの道徳体系とか行動規範に昇華してしまう現象がよく見られます。
 これはビジネスでも同じで、事業は命懸けで取り組むべきもので、顧客の信頼を得るには経営者が会社の負債を個人保証するのも当然視されます。
 株式会社とか有限会社という仕組みは本来、「商人道」を実践して会社の損失が経営者や従業員にまで無限に広がっていくことを防ぐために考案されたものであって、出資者(株主)がその出資範囲に応じて損失を負担するリスクヘッジの仕組みです。
 これが常識である諸外国、たとえばアメリカでは、あるビジネスで失敗しても、また別のアイデアが浮かんで、しっかりした事業計画が作れれば、新たに出資や融資を受けることは意外に簡単だと聞きます。
 しかし日本は、経営に失敗した人は商人道を破門されたも同じなので、社会的信用が失われるだけでなく、経営者個人で連帯債務保証していた会社の損失を肩代わりするために家屋敷を失うことも珍しくはありません。ある意味でアクティブな人種である「経営者」に次のチャレンジの場を与えないことは、ひょっとすると新たなビジネスの芽を摘み、結果的に経済厚生に寄与するチャンスを失っているのかもしれません。
 
 福活ファンドのホームページによると、ファンド設立の趣旨は
・日本は、一度でも会社経営に失敗すると再チャレンジがしにくい社会だと言われており、多くの経営者が失敗からの再チャレンジの機会を得られず全国で埋没している。
・日本における起業率(はんわし注:開業率と同義)は低く、経営を担える人材はただでさえ少ない状況なのに、失敗経験を持つ経営者を見捨ててしまっては、日本全体として貴重な人材を使い捨てていることになる。
・失敗経験者こそ日本における未活用資源であり、その貴重な人材資源を何よりも求めているのが福島県である。
・福活ファンドは、起業家が何度でも復活できる環境を福島県に作ることで、全国から失敗経験のある起業家を招き入れ、国内随一のあきらめずにチャレンジする人間のフロンティアにしていく。
 というものだそうで、まさしく前々から問題視されており、かといって抜本的な対策がなかなか取られてこなかった課題へ真正面から取り組んだものと言えそうです。

 福活ファンドは、一般社団法人MAKOTOが無限責任組合員、福島銀行が有限責任組合員となる投資事業有限責任組合であり、
(1)倒産等の経験があり、これから再起を計画中の元経営者
(2)倒産等の経験があり、すでに再起業した経営者
(3)まだ倒産等をしてはいないが、企業が実質的に倒産状態であり、再起を計画中の経営者
のいずれかに当たる人が福島県内で新ビジネスを起業する場合、最大1億円を投資するというもの。
第二地方銀行協会ホームページより
昨年8月に制度がスタートしてから、約1か月間で30件以上のエントリーがあったとのことで、実際に投資決定された事例はまだ詳らかになっていないものの、福島県に限らず、同様の再チャレンジへのニーズが全国的に潜在しているものと考えられます。

 日銀の金融緩和はまだまだ続いていますが、なかなか必要な企業に資金が回らないという話はよく聞きます。再チャレンジも同様で、もう少し実態に合った仕組みを作らないと、真に企業家精神のある人たちを取りこぼしてしまうことになるのではないでしょうか。

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