2016年3月2日水曜日

小さな企業の経営革新

 JR津駅の北側では、今かなり広い範囲にわたって土地区画整理事業が行われています。新しく家が建ったり、道路ができたり、日々景色が変わって新しい街になっています。
 先日その一角を歩いていたら、歩道沿いにこのような折り畳み式のごみ集積装置が設置されているのを見つけました。


 これは津市にある浅野鉄工所の製品で、タタメールと名づけられています。
 このタタメール、ようするに鉄製の大きなカゴなのですが、浅野鉄工所のホームページによると、ごみ収集後は「スッキリ畳む」ことができ、しかも瞬時に「景観に溶け込む」という特長を持っており、折り畳みの仕組みに関して特許も取得しているとのことです。
 この浅野鉄工所は従業員が2名。まさに「鍛冶屋さん」と呼ぶのがふさわしいような小規模事業者が取り組んだ、タタメールの開発と事業化を後押ししたのが「経営革新支援制度」でした。



 経営革新支援制度については、何回もこのブログで紹介しています。
 中小企業新事業創出促進法に基づく公的な支援制度であり、新たな商品の開発やサービスの提供、新たな販売方式の導入といった、その企業にとって新たなチャレンジに、つまり経営革新(イノベーション)に取り組もうとする場合に、その企業が事業化を見据えて5年間(5期分)の経営計画を作成し、その内容が知事承認されれば、国から低利融資や信用保証特例、特許料の減免などの支援が受けられるというものです。
 この経営計画は、新たな事業によって付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)と経常利益が一定割合で向上するような内容でなくてはなりません。が、計画づくりに当たっては、商工会議所や商工会、銀行、税理士などの専門家による支援も受けることができます。
 往々にして経営者はアイデア先行や商品先行で新ビジネスを進めてしまいがちですが、5年に渡る計画を作ることで、冷静に事業の成否を考えることができます。

 タタメールの商品化も、ある大きなお寺の門前町の自治会から浅野鉄工所に「寺内町の景観を損なうことなく設置でき、かつ通行の妨げにならないようなゴミ箱を作ってもらえないか?」と相談があったことがきっかけだそうです。
 津商工会議所の経営指導員がたまたま同社を巡回訪問したことがきっかけとなり、新商品の経営革新計画づくりとマーケティングティング支援が始まりました。
 経営革新計画の承認後は、それがきっかけとなって全国紙や地元紙からの取材、NHKでの番組放送などにつながり、一気に商品知名度が向上しました。
 これがめぐりめぐって、新しく開通したばかりの街路でわしがタタメールを目にすることができたというわけです。

 国など行政による中小企業に対する経営支援策にはいろいろなものがあるのですが、この経営革新支援制度は一番有用なものだとわしは断言できます。

 よく中小企業の経営者から「経営革新の承認は難しい」とか「今まで経営計画など作ったことがない」という声を聞くことがありますが、経営革新計画を作ったり、知事承認を得ることは決して難しくありません。
 企業には必ず何かの強みがあるし、計画づくりの作業に慣れていないだけなので、商工会議所などの力を借りれば不可能なことではないのです。しかも承認後の支援策は充実しています。
 
 新しい事業展開にチャレンジしたいと漠然とでも考えている経営者の方は、ぜひ取引銀行にでも税理士にでもいいので、「うちって経営革新とれるかな?」と相談してみてください。経営者のイノベーションに向けた小さな一歩がすべての始まりになります。そして、実際の成功例がここにあるのです。

■はんわしの評論家気取り 地域の活力とは、企業の革新力である(2015年7月28日)

■浅野鉄工所  http://asanotekkosyo.sakura.ne.jp/

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