2016年3月11日金曜日

言うたんといたげーな

 週末なので、今週、県庁内に走った軽いパニックについて書き置かざるを得ません。
 日経ビジネスオンラインの鶴野充茂氏による連載コラム 金曜動画ショーの2016年3月4日号に掲載された 

伊勢志摩サミットのPRは「見ていられない」 見れば見るほど不安になる 

が、あまりに辛辣、かつ的を射ているので、言葉にならない衝撃とある種の感動が県庁内に広がったのです。

 鶴野さんの主題は、地方行政機関による広報や情報発信には、内容が見ている人に伝わらないダメな例が多い、ということなのですが、その「理想的にダメな例」がG7サミット(いわゆる伊勢志摩サミット)が開催される三重県が行っている情報発信であり、あまりのナンセンスぶりで、見ていられないレベルになっています。とまで評されています。
 三重県内では異常なほどに高まっているサミットムードですが、USJのリボーンだの、北海道新幹線の開通だの、京都鉄道博物館の開館だの、全国各地で新しく魅力的な観光資源の開発にしのぎが削られている中で、残念ながら埋没気味なのが客観的事実ではないかと思います。


 三重県民の多くも ~伊勢志摩で観光産業に従事している人などは除いて~ うすうすはそのことに勘付いてきており、県としてもいっそうのテコ入れを図るべく、知事自らがプレゼンするほどにチカラを入れてリリースした「三重県PR動画」なる動画が、鶴野さんによると
・県庁の告知ページにリンクが貼られていらず、見ることができない
・知事自身が語っている内容が意味不明で、何も伝わってこない
・画面の説明欄に「伊勢志摩サミット三重県民会議作成」とあるが、この会議についての説明がない
 とダメ出しの連続なのです。
(はんわし注:このうち、1番目のリンクについてはコラム発表後に直ちに修正され、現在は直リンクで動画を見ることができます。)

 知っている人は知っているでしょうが、知事は大きな声ではっきりと、何事につけ断定口調で喋るヒトです。大変に元気がある、精悍な印象を与えます。
 しかしよく、言語明瞭・意味不明瞭という比喩が用いられるように、論理が飛躍して、聞いているうちに結局何の話だったかがよくわからない、ということがままあります。
 この動画もその典型で、正直、関係者の誰も言えなかったことを鶴野さんはよく言ってくれた、という感じかもしれません。

 しかし、大学で心理学や国際広報を修めた、コミュニケーションの専門家だという鶴野さんの本質的なダメ出しは、そこではありません。
 この動画を公開している三重県(庁)や伊勢志摩サミット三重県民会議のホームページが、ほとんど日本語のページオンリーであって多言語対応しておらず、海外に対する発信力はゼロだということ。
 もう一つは、この動画の中で三重県の魅力として一押しされている伊勢神宮が、おそらく三重県民にとっては重要な資産であり、定番キーワードなのかもしれないとしても、世界の人々にとっては耳目を引くような旬のキーワードではなく、ニュースのキーワードでもない、ということです。

 PRという観点から世間に発信するメッセージとして何を題材に選ぶべきかを考える時には、海外も含めて多くの人が、三重県について、伊勢志摩について、何を詳しく知りたいのかを考え、見聞きしたくなるような「ニュースなキーワード」を提供しなくてはいけません。そして、それは伊勢神宮なのでは決してないと鶴野さんは言います。
 それでは、三重県が世界中の注目を集められるような「ニュースなキーワード」とは何か?
 鶴野さんの提案するキーワードには正直驚かされますが、くわしくはぜひ日経ビジネスオンラインをご覧ください。(リンクはこちら。無料で読めますが、あらかじめ会員登録が必要です。)

 断っておきますが、わしは鶴野さんの指摘はもっともだと思う反面、サミットという本来は国の外交行事であり、政府、外務省と、地元開催市、住民との間に入って山積みする調整事項に忙殺されているであろう伊勢志摩サミット三重県民会議のスタッフたちの苦労を思うと「そこまで言うたんといたげーな!」と思う部分もあります。
 もともと、サミットで注目すべきなのは主要国の首脳たちが戦争や難民、経済、人権といった問題をどう話し合い、どのような解決に導くかの、全人類に共通する問題であるはずです。その会議にあやかって観光客を呼ぼう、などとは、そもそも底の浅い、枝葉の話に過ぎないと思うからです。

7 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

総理にしてからが、日本の伝統や精神性を各国首脳に紹介(自慢?)したいと言う気持ちが先に立っているようですし、三重県知事は金儲けの種を持ってきた自分の実績アピール。
サミット関連のロゴが3つもあって混乱するとか、同床異夢が過ぎるのではないかと思います。
意義のある会議だから多少の不便は我慢して協力してと言うことと、これを機会に国際問題について興味を持ってみましょうと言うことを宣伝すべきではないでしょうかね。
大元の方向がおかしいから宣伝も意味不明になってしまいますよ。

半鷲(はんわし) さんのコメント...

 会場が三重県(伊勢志摩)に選ばれた理由は賢島が警備しやすいからと当初は説明されていたのに、実は入り江が多くてテロリストが隠れやすい、などと今になって言い出しました。わけがわかりません。

匿名 さんのコメント...

ニューズウィーク日本版では外交評論家の冷泉彰彦氏が「伊勢志摩サミット、日本文化の真髄として伊勢神宮の紹介を」とコラムで書いています。専門家の間でも評価が分かれる問題なのでしょう。 

匿名 さんのコメント...

ぜひお友達紹介で就任している広報アドバイザーとやらに何千万円も払っている件と絡めて論評してほしかったです。

半鷲(はんわし) さんのコメント...

 コメントありがとうございます。冷泉さんのニューズウイークのコラムのうち、2015年6月10日掲載の『伊勢志摩サミット、首脳のパートナーの「外交」に何を求めるか』については、以前このブログでも紹介しました。
http://hanwashi.blogspot.jp/2015/06/blog-post_13.html

匿名 さんのコメント...

これは知りたいですね。
はんわしさん、ぜひ

半鷲(はんわし) さんのコメント...

 広報アドバイザーという方が就任されているのはもちろん知っているのですが、わしは仕事で関わったことがなく、幸か不幸か書きようがないのです。