2016年4月13日水曜日

「タクシーおもてなし総選挙」結果発表

 伊勢商工会議所が 伊勢のタクシーおもてなし総選挙 の結果を発表しました。
 観光などで伊勢市内のタクシーを利用した客が、接客態度などが優秀だったタクシーを選び、顕彰するもので、最優秀ドライバーには三交タクシーの中川昌彦さんが、最優秀事業所には三交タクシー伊勢営業所がそれぞれ選出されました。
 この総選挙は伊勢商工会議所がタクシー関係者の「おもてなし」意識向上につなげようと企画したもので、伊勢市内のタクシー会社9社の、約300人のドライバーを対象に行われました。
 昨年12月から今年2月にかけて、利用客が印象の良かったドライバー名とタクシー会社名、あいさつ、応対、運転技術などを評価し、専用のハガキで投票する方式で実施され、395通の投票があったそうです。
 表彰状を授与した伊勢商工会議所の濱田典保副会頭は、「タクシーはもてなしの最前線。これからも安全第一で観光の質を高めてほしい」とコメントしたそうです。(中日新聞記事より)
 この伊勢のタクシーおもてなし総選挙については、以前もこのブログで取りあげました。濱田副会頭の言われることはまったくその通りで、タクシーのサービス水準とその地域の観光力は正比例していると思います。

 産業としての観光がこれからの日本経済をけん引していくのは間違いないし、そのポテンシャルも大きいと思います。行政が「成長戦略」と位置付けて、積極的に支援していくことも近年の地方創生ブームの中でよく目につくようになってきました。
 しかし、はるか昔(大正、明治の時代から)、観光振興は地方にとって大きなテーマでしたし、観光指南の冊子を作ったり、地図を作ったり、ポスターや絵はがきを作ることは行政主導で営々と続けられてきました。今はネット社会なのでウエブサイトを作ったり、SNSを活用したり、とメディアは変遷しましたが、基本的には同じことを繰り返しているだけです。
 悪いことに、その「同じこと」を全国ほぼすべての地方自治体(都道府県、市町村)が横並びで繰り広げているために、結局は何ら差別化要因のない、そして終わりもない、チキンレースに陥っています。自治体によっては地方創生の交付金を使って「旅行クーポン」を発行していますが、これは国税や国債を財源にして自分の地域の魅力をディスカウントしているだけなので、そもそも制度に持続性はないし、クーポン終了後に正規の料金がお客から取れるようになる保証もありません。

 わしは、行政の役割は、こういった観光プロモーションではなく、「調査」と「評価」だと思います。観光業は観光業者が一生懸命やるのですから、行政が取り組むべきなのは、自分の地域にやって来た旅行客の属性、興味や関心、行動パターン、消費額などの調査であり、あるいは主要な観光地、観光施設の来客数、属性などの統計調査です。観光業は、商業や製造業以上に勘と経験と度胸(KKD)で経営が行われている産業ですが、行政がこれを「近代化」したり「高度化」することは、設備プラス個人サービスという、複雑な変数を持つ方程式であるために、画一的な対処方法がないのです。
 行政の役割は、観光事業者が新しいサービスを開発したり、新しい方法で提供したり、新しい市場を開拓したり、といった創新(イノベーション)を起こすための基盤を整備することが本来だし、それしかできないのです。
 このためには正確で豊富なデータが必要です。地域全体にわたるデータや、近隣の地域も含めた広域のデータは行政しか取りようがないので、これを構築できれば、それを基にした新しいビジネスが生まれる可能性が広がります。

 もう一つの役割が「評価」で、ミシュランのように有名な民間の評価もありますが、それができない分野、典型的にこの 伊勢のタクシーおもてなし総選挙 のような公共交通機関のサービス水準であるとか、飲食店、宿泊施設観光施設などが観光客から求めている水準に達しているのかどうかを客観的に評価することで、やる気のあるところは一層奮起するでしょうし、ないところは退場するでしょう。市場の新陳代謝が進み、観光業界全体としては強くなっていくのです。

 先ほどから行政の役割、と書いていますが、それは商工会議所のような、公共的な性格が強い業界団体でも可能なものはあるはずです。同じ地域ゆえに、お互いを批判しにくい風土があるのは全国共通ですが、それをしいて打ち破って、顧客本位の評価ができるかどうかが観光地の真の競争要因になるのではないかと思います。

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