2016年4月8日金曜日

地方創生カレッジが年内開講へ

 時事通信社による地方公務員向けのネット配信「官庁速報」によると、政府(内閣府地方創生推進室)はこのたび、地域活性化を志す人向けに、インターネットを使って行う育成プログラム 地方創生カレッジ を年内に開講するとのことです。(地方創生カレッジ、年内に開校=専門人材500人以上育成へ―政府 2016年4月8日) 
 市町村レベルによる地方創生の取り組みは、市町村版の地方創生戦略である、いわゆる「地方版総合戦略」の策定がほぼ出そろった今年度から、本格的にスタートすることになります。
 これらの事業の安定運営には、首長(市町村長)の補佐役や、事業プロデューサーといった専門性を有する人材が必要になりますが、地方ではそういった人材が不足しているという現状認識のもと、地方創生に関わる第一人者らが主にオンライン上の動画で講義する ~俗にいうEラーニング~ 形式のカレッジを開講して、人材の育成を図ろうというものです。
 今後2~3年で1万人の受講者を見込んでおり、専門性を身に付けた人材を5年以内に500人以上養成することが目標。これにかかる予算は10億円で、カリキュラムの作成とカレッジの運営は政府から業務委託された日本生産性本部が実施します。
 詳細は今後詰っていくのでしょうが、政府が業務の委託を告知したウエブサイトに例示されているカリキュラムの内容イメージは次のようなものです。


●自治体業務に携わる上で必要となる、法令、公会計等にかかる高度な知識
 地方自治制度、人材マネジメントと地方公務員制度、地方自治体の税財政制度等、公会計制度、事業実施における資金調達、地方公務員のためのコンプライアンス

●施策を事業として展開できる経営力
 政策形成の手続と自治体経営戦略、事業・組織マネジメント、地域におけるマーケティング戦略、
新規事業開発・ビジネスモデル策定

●関係者間の合意形成や議会対応など、政策を実際に推進していく上で必要となるノウハウ
 住民協働、事業推進におけるICTの活用、各種統計情報の活用

●地方創生の深化のための個別分野
 ローカルイノベーション、ローカルブランディング、DMO、CCRC、少子化と働き方改革、小さな拠点、コンパクトシティ

 これらのカリキュラムを見る限り、地方創生に必要となる知識を広く学べる内容となるようです。地方活性化の議論においては、必ずと言っていいほど「ICTを活用した」、「双方向性のネット大学」を若者流出に悩む山間地や離島に設けるべきだ、という意見が出てきます。
 この点は、実はすでに放送大学のような通信制の準公立大学はとっくにあるし、今ではMOOCのような大学レベルの無料オンライン講座も充実してきました。
 そのような中で、いわば実務教育としての「地方創生カレッジ」が、ネット活用によって本当に勉強が必要な人のもとに届くようになることは大変良いことだし、ある意味で時代の必然とも言えるでしょう。

 以前、このブログにも書いたように、かつて地域おこしや地域産業活性化で定説として流布していた(ひょっとすると今でもそう信じている人は少なくない)、「よそ者、若者、ばか者論」というものがありました。
 これは、地域おこしのごくごく初期の段階においては、火付け役、焚きつけ役として存在意義もあったのでしょうが、それらの活動が安定期に入り、成長期、拡大期にさしかかると、よそ者やばか者はかえって組織に邪魔であり、経営センスや人徳、そして知識を持っているマネジメント人材が必要になるのは自明のことです。
 古くは大分県の一村一品運動のように、地域おこし、地域産業活性化そのものには長い歴史と大きな地域差があります。先進地において競争の軸は、いかに優秀な経営人材を地域に根付かせるかに移ってきており、国主導の地方創生が全国で一気に進んだこの1~2年で、やはり多くの地域にとって高度なマネジメント人材の必要性が再認識されてきたということなのでしょう。

 もちろん、真に能力の高い地方創生人材は一朝一夕には育つはずがありません。長い時間と現場経験が必要ですが、まずはその一助として地方創生カレッジに期待したいと思います。

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