2016年6月14日火曜日

熊野古道が世界遺産の追加登録へ

朝日新聞(6月12日付け)より転載
 平成16年にユネスコの世界遺産に登録された熊野古道(紀伊山地の霊場と参詣道)について、新たに和歌山県内の22か所、合計40.1kmの区間が追加登録される見通しとなったことを各紙が報じています。

 追加されるのは熊野古道の中辺路(なかへち)、大辺路(おおへち)の部分や、高野山の参詣道であり、これらは近年の調査で見つかった山中の区間とか、保全体制が整った神社の敷地などの部分だとのこと。
 追加登録は政府が今年1月に申請しており、7月にトルコ・イスタンブールで開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式決定される見通しだそうです。

 熊野古道については、おもに三重県内を通っている伊勢路(いせじ。伊勢神宮~熊野三山)の来訪者数(推計値)は約35万人で、これは熊野古道世界遺産登録10周年目であった平成26年に比べて2割近く減少していますが、それにしても三重県内で観光資源として一定の存在感は確立したと言っていいと思います。


 しかし実態として、熊野古道と聞いて一般的に思い浮かべるのは京大坂から熊野に至る紀伊路のほうであり、紀伊半島南部にとって貴重な熊野古道の維持管理や観光プロモーションは、和歌山県、三重県、奈良県の三県で協力して当たっていくべきでしょう。
 平成26度、27年度については、三重県でG7先進国首脳会議が開催されることが決まっていたことから、3県の知事による合同会議(紀伊半島知事会)ではサミット開催をインバウンド誘客の好機と捉え、紀伊半島3県が連携して誘客促進に取組むことで合意したとされたものの、結果的に三重県はサミットの事前準備に忙殺されて伊勢志摩PRのみに専念したため、他の2県の無関心もあって一体化したプロモーションなどまったくできていない状況でした。

 この間に和歌山県は、平成27年の観光入れ込み客総数が調査開始以来最高の3334万5千人になったと発表しています。(平成27年和歌山県観光客動態調査結果速報 平成28年3月29日
 この理由として、平成27年は高野山開創1200年であり、平成25年の伊勢神宮式年遷宮、翌26年の熊野古道世界遺産登録10周年と連続して大きなトピックがあった「ゴールデンイヤー」であったことや、京阪奈自動車道など3路線の高速道路が延伸したことなどのほかに、和歌山県独自の情報発信や観光キャンペーンを効果的に実施したことを挙げています。
 行政機関が発表する成果は往々にしてお手盛りであり、実際には好天とか景況の回復が主要因なのですが、それはさておいて、奈良県、三重県も和歌山県と連携すれば、より相乗効果は生まれたと思えるので、なんにせよ現状の三県連携は改善の余地が大いにあると感じます。

 よく、伊勢神宮は日本の精神文化の中心だと言われますが、これには疑義があって、神と仏が峻別されるようになったのは明治以降のことであり、江戸時代まで一般の人民は神と仏は同じものであるという神仏習合(本地垂迹説)が主流でした。
 つまり、熊野三山や高野山の修験道にみられるように、自然崇拝としての神道と、教義化され体系化された宗教としての仏教(そして仏教が伝来する過程で取り込んだバラモン教や道教の神々)が混然一体となった精神世界が日本文化の本質であると言えます。
 この点を、特に海外からの観光客に知ってもらうのは非常に重要なことです。日本人の持つ古来からの精神性を理解できる良いテキストが熊野古道なのであり、温泉や旅館といったハードと、グルメや接客といったソフトの質の向上は、大本がしっかりしていてこそ魅力を放つものだと思います。

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