2016年6月2日木曜日

なぜ三重県は飛ばされる

http://www.tokai-entre.jp/
 わしの職場に置かれていた2016東海若手起業塾のチラシをみて愕然としました。
 東海と銘打ったイベントで、募集説明会が愛知県では開催され、岐阜県でも開催される。しかし三重県はない・・・
 諸般の事情があったためこうなったもので、深い理由などないのかもしれませんが、このような典型的な「三重県飛ばし」を見ると、やはり内心穏やかではおられません。

 東海起業塾とは、起業(創業)したものの目の前の経営課題に手一杯で苦労している、とか、優先的に今取り組むべき経営課題がわからない・・・といった悩みを抱える若手経営者を対象に、先輩起業家やコンサルタントなどがチームとなって、ビジネスモデルの再検証や、経営戦略の組み立てなどをサポートするプログラムです。
 今年で9年目となり、今までに40名近くの起業家を支援した実績を重ねているほかに、ビジネスサポートを行うNPOと民間企業(ブラザー工業)とがタッグを組んで行っている「民民連携」の事例としても全国的に高く評価されている活動だと言えるでしょう。
 この素晴らしいプログラムに、なぜ三重県は飛ばされちゃうのでしょうか。


 その前に、そもそもなぜ「起業」を支援することが大事なのでしょうか。ネールサロンをやりたい、手打ちそば屋を始めたい、脱サラして保険代理業で独立したい、など新たにビジネスしたい人はきっといるはずだし、そんな人には勝手に起業してもらえばよく、まわりが支援する必要などないではないかという考えもきっとあると思います。

中小企業白書2005年版より
 これに対する答えの一つが、その地域での新規開業率は、経済成長率と相関関係がある、というものです。
 開業(起業、創業)する人がたくさんいる地域は、それだけ経済活動が活発で、経済成長率も高いという傾向があるのです。
 経済成長率が高い、すわなち地域住民の所得が相対的に高い、ということで困る人はあまりいないので、経済活動を盛んにするために多くの人に開業してもらい、その結果、競争が起こって生産性が低い商店や事業所、企業は市場から退出(=廃業)し、経済活力が一層高まる、という好循環が期待されているのです。

 もう一つは、単純に、商店にせよ事務所にせよ、その地域に根差すビジネスを行う経営者は意識の高い人々であって、このような経営者が多く生活している地域は、地域の祭りにせよ、イベントにせよ、PTA活動にせよ自治会活動にせよ、そういったコミュニティの活力が高まる、ということです。

 では、三重と愛知、岐阜の3県の経済成長率と開業率の関係はどうなっているのでしょうか。県の場合はGDPを「県民所得」と呼ぶので、各県庁が公表している平成25年度の県民経済計算と、平成26年度の中小企業白書にある都道府県別の小規模事業者開業率・廃業率(第3部第1章第3節 134ページ以下)をベースに比較してみると、

 愛知県  経済成長率 名目2.6%  実質1.5%  開業率8.3%  廃業率17.7%

 岐阜県  経済成長率 名目-0.3%  実質-0.3%  開業率5.7%  廃業率15.0%

 三重県  経済成長率 名目4.9%  実質4.9%  開業率6.0%  廃業率15.9%

 となります。
 愛知県はガリバーなので単純比較はできないものの開業率は突出して高く、経済成長率も国の平均(名目1.8%、実質2.1%)を名目で上回っています。
 対照的なのが岐阜県の不振です。平成25年度はマイナス成長だったのですね。
 三重県は製造業が大きく寄与している産業構造なので、アベノミクスで輸出型企業が好調になった平成25年度は大きく経済成長しています。これら単年度の数字を見る限り、定説とは異なって開業率と経済成長はあまり相関していません。

 だとすると、ますますなぜ東海起業塾は岐阜県で説明会をやるのか、が不可解ではあります。三重県には何が足りないのでしょうか・・・
 もちろん、長期的に見て開業率を高めることは三重県にとっても重要です。逆に言えば、経済的に好調である今、強く依存している自動車産業や電子産業が落ち込んだ時のために、いわばエコノミック・ガーデニングとして起業家の支援をすることの必要性は何ら変わらないものと思います。

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