2016年6月21日火曜日

なんちゃって地域おこし

 週刊朝日(6月24日号)の記事 若者食いつぶす“ブラック自治体” 地域おこし協力隊のトンデモ実態 が関係者の間で評判になっています。
 地域おこし協力隊とは、市町村などの地方自治体による地域おこしの支援制度で、志願者が都市部から過疎地などの条件不利地域に転居することを条件に「地域おこし協⼒隊員」に委嘱します。隊員は原則として3年間、その地域に住みつき、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PRといった地域おこしの支援や、農林⽔産業への従事、住⺠の⽣活⽀援などの地域協⼒活動を⾏い、最終的にはその地域へ定住・定着を目論む事業です。
 平成21年度の制度創設以来、7年間で200億円(!)という巨費が国から地方自治体に交付されており、平成27年度は全国673の自治体で2625人の隊員が従事しています。
 この「地域おこし協力隊」の制度は、無策なカネのバラマキがほとんどの国の地方創生支援の中でも比較的成果を生んでいるものとされており、政府は隊員を4000人にまで増員する計画を立てているほどです。それが「トンデモ」な状態とはどういうことなのでしょうか。


 週刊朝日の記事によれば、

・当初は観光施設での接客とPRの業務で地域おこし協力隊員を委嘱されたはずが、施設内の掃除はもちろん、職員用トイレの便器磨きなど次から次へと雑用を押し付けられ、実態は「ただのブラック企業だった」事例(滋賀県内)

・離島の魅力を発信したいという思いで就任したが、用意された住居は痛んでいて住める状況でない、活動予算獲得のための見積りの締切り日すら教えてくれない、最初は月イチであった隊員から市に要望を伝える場もいつの間にかなくなった、など完全に放置状態。任期を終える時に市長にも思いをぶつけたが、最後まで何の反応もなかった事例(長崎市内)

・せっかくアイデアを企画書にまとめても、担当者のところでストップしたままで反応がない。実際は会議すら参加させてもらえなかった。“出る杭は打たれる”的な空気だった事例(高知県内)

 などが元隊員たち自身の証言で紹介されています。(リンクはこちら

 あまりにオカバな地方自治体側の対応には呆れますが、この原因は有識者が指摘するように
・自治体に地域をどうしたいというビジョンがなく、臨時のお手伝いさん感覚で協力隊員を受け入れる例が多い。
・人件費など費用は国が負担してくれるし、人手が足りないから、とりあえず隊員で賄おうとする地域が多い。本来は地域内でやるべきことを、よそ者に押し付けており、任期が終わればポイ捨てしている。
 ということかと思います。
 つまり、多くの地方創生策に共通しているように、本当の当事者があまりに無責任なのです。

 わしも次の2点を補足しておきます。

その1 地方自治体側には、隊員に志願してくるような人物に対して抜きがたい見下し感がある。定職もなく都会でフラフラしていた者が、田舎に憧れて勝手にやって来て、それを役場が面倒見ているのだから、「田舎エリート」たる役場職員に使い倒されても当然である、という感覚がある。

その2 自治体はもちろん地域の住民自身が、衰退している理由を直視しようとしないし、その対策を考えて、考えて、考え抜くことをしない。基本方針たるべき「地方版 まち・ひと・しごと創生戦略」は作りはするが、これはあくまで国から交付金をもらうための方便なので、美辞麗句が並んでいるだけで内容は支離滅裂だし、だれも真剣に読んでおらず実行する気もない。

 もちろん、自分探しの延長で隊員になってしまったような人物がいることをわしも聞き及んでいますが、同時に、実際に隊員が地域おこしの核となり、推進エンジンになっている成功事例も少なからず知っているので、最大の被害者は使命感に燃え、熱意を持ってこんな地域に来てしまった隊員たちです。

 このミスマッチ解消の責任が自治体でなく、地域住民自身であることは言うを待たないでしょう。住民たちが冷静に議論もできない、意見もまとめられないような地域を振興する必要性はないし、今の日本にとってはムダ遣いなのです。(おカネの浪費と、真面目な隊員という人材の浪費という意味で。)
 三重県にも多くの隊員が来ていますが、このブログを読んでいるあなた。
 あなたの街に来ている隊員の名前を知っていますか? どんな仕事に従事しているのか、そしてあなたはそれを応援するためにどう行動すべきなのか、知っていますか?

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