2016年6月26日日曜日

本当の話し相手は

 人口約2900人の南山城村は京都府でただ一つの「村」だそうです。この村を含む相楽郡など京都府の最南部では過疎化や高齢化が進んでおり、高齢者は日常の買い物をするのにも難儀している現状があるそうです。
 このため、南山城村では東京のいわゆるICTベンチャーである(株)エルブスと協定を結び、人との対話能力を持つ人工知能(AI)によって、買い物の注文を代行させるシステムの開発に取り組むことになったと各紙が報じています。8月末には村内の高齢者数名にタブレット端末を配布し、実証実験を行う予定とのことです。
 南山城村のような買い物難民問題は全国各地で発生しています。携帯電話やスマートフォンを使って注文を受け付け、商品を宅配するサービスは現在もうすでに数多くあって、ビジネスモデル自体の新規性はさほどありませんが、ポイントは今流行の「AI」を活用すると触れ込んでいることかと思います。
 記事によると、エルブスが村内で55歳以上の女性約40人を調査したところ、8割弱はスマートフォンを持っており、知人との連絡にはLINEを使っていることが判明したとのこと。


 実はわし、この手の無料通話アプリを使っていないヒトなので、これだけでも少なからずびっくりなのですが、この調査ではさらに、ネット上でクレジット決済をする通販サイトやネットスーパーの利用者が少ないことも探索しました。
 この理由は、手続きが面倒だからなのか、生鮮食品などは店頭で実物を見て買いたいと思う人が多いのか判然としません。わしとしてはスマホは持っているのに通販を使わない理由が知りたいところです。記事を読むとわざわざ「クレジット決済をする」とあるので、クレジットカードを使うことに抵抗があるのかもしれません。
 
産経フォトより
とにかく、この調査の結果、エルブスはスマホやタブレット端末での対話アプリを使った買い物支援策を考案しました。
 試作したシステムでは高齢者が「しょうゆが欲しい」とアプリでつぶやいた際に、話し相手であるAIの店員が「注文します」と応答。実際の店舗に自動的に情報が送られ、確認電話があった後に商品が配達される仕組みです。代金は配達時に支払うそうです。
 また、買い物の注文だけでなくAIと日常会話も楽しむことができ、高齢者の孤独感を解消する効果も期待されるそうです。

 ただ、何度も引っかかって申し訳ないのですが、アプリでつぶやいたら自動的に注文される、っていうのが本当に便利なのかどうなのか、正直なところわしにはわかりません。本人はつぶやいただけであって、注文について明確に意思表示しているわけではないのだから、本当はしょうゆなどいらないかもしれないし、そんな中途半端な状態で注文を受けるお店側のほうにも不安は残るのではないでしょうか。(注文を受けた時点でお店から本人に確認電話をするとのことですが。)

 また、もうひとつ気になるのは、高齢者が本当にAIと会話など楽しめるのかということです。ロボットのペッパーとか、スマホのSiriなども日常会話ができるという触れ込みではあり、まあそこそこ無理なく会話が展開することも確かですが、実際には会話がかみ合わないとか、まったく的外れな関係ない返答をよこしてくることはままあり、AIの日常会話技術が実用化水準とはまだまだ言えない
状況です。
 お年寄りが本当に求めている話し相手はAIではなく、家族であり、昔からの友人であり、顔なじみのご近所さんであったりするはずです。日常の話し相手のようなきわめて精神的な作用はAIに代替させるべきでなく、基本的には人間が対応すべきで、その話し相手となるべき人間の事務作業や雑用の低減のためにこそAIは使われるべきなのではないか、などと思ったりもします。

 もっとも、そう何もかも一挙に解決するはずもないので、地域振興に関心がある一人として、南山城村のこのチャレンジは注視していきたいと思います。

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