2016年7月23日土曜日

経営力向上計画認定がもの補の加点対象に

★★★マニアックな内容です★★★

 国(経済産業省)による「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」(略称:ものづくり補助金)の第2次公募が始まっています。
 中小企業が取り組もうとする、
①革新的なサービスの創出・サービス提供プロセスの改善であって、3~5年間の計画で付加価値額を年率3%、及び経常利益を年率1%向上させる計画に基づく事業【革新的サービス型】
 もしくは
②「特定ものづくり基盤技術」を活用した革新的な試作品開発・生産プロセスの改善で、生産性を向上させる計画(3~5年で付加価値額と経常利益を増大させるものであること)に基づく事業【ものづくり技術型】
 に対して、補助率2/3、会社規模に応じ1000万円~500万円を上限額として、審査に採択された企業に補助金が交付されるものです。
 この「ものづくり補助金」は平成21年の麻生政権時代に、製造業の中小企業の設備投資促進を目的に始まった補助金制度であり、野党・民主党は当初、「露骨な選挙対策」「典型的なばら撒き」などと攻撃していました。ところが中小企業側からたいへん好評だった ~わしから見ても、補助対象が広く、補助率も高い、異例ずくめの厚遇補助だった~ ために自らが政権を取った後も止めることができず、むしろ拡充されて、政権交代後も継続され、毎年数千社の製造業、商業、サービス業の中小企業に対して補助金が交付されています。

 平成28年度も、平成27年度補正予算事業として実施されましたが、第1次公募で予算が余ったため今回の2次募集になったもので、8月24日が募集締め切り、採択予定件数は全国で100件の予定だそうです。

 この第2次募集、実はこれまでの「ものづくり補助金」と大きな違いがあります。
 それは、申請する中小企業が、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定事業者である場合などに審査上の加点が行われることです。

  「経営力向上計画」については、以前このブログでも取り上げたことがあります。
 少子高齢化や国際競争の激化などにより、中小企業が事業拡大を図るには、生産性の向上や海外展開が重要であるという問題意識の下、自社の商品・サービスの見直しや人材育成、ICT活用などを通じて、経営力を向上させるための事業計画(「経営力向上計画」)の作成を推奨し、計画に従って戦略的に事業に取り組む中小企業には固定資産税の軽減や低利融資などの支援措置を行おうというものです。
 この考え方は方向性としては正しいものですが、実は同様に、経営の効率化や生産性向上を支援する制度として「経営革新支援」という制度がすでにあり、新しく創設される「経営力向上計画」のほうは、経営革新計画が作れないような規模の小規模企業が多く対象になると思われることから、どのようにこれを普及させていくのかが問題になっていました。

 今回のものづくり補助金第2次公募における加点は、そのインセンティブとなるものであり、これによって補助金を活用しようと考えている中小企業が「経営力向上計画」の策定に目を向けるきっかけになるでしょう。

 中小企業に対する補助金は、資金力の弱い中小企業にとって有用なものです。これは確かにその通りです。しかし悪く言えば麻薬のようなもので、これに慣れてしまうと、安易に採算のあいまいな事業に取り組んでしまったり、補助金を目当てに国や自治体の政策の後追いばかりをする補助金ハンターを増やしたりする、大きな社会的副作用があります。

 このため、徐々に国も工夫を凝らすようになっており、ものづくり補助金にしても、中小企業持続化補助金にしても、申請書の作成に商工会議所や金融機関、士業などの介在させるようにし、経営者の単なる思い付きや独りよがりによる申請内容はブラッシュアップされるようになっていますし ~もっとも、その制度がうまく機能しているかは別問題~、「経営力向上計画」にインセンティブが与えられるのもその一環ということになります。

 言い方を変えると、補助金というわかりやすいエサがないと、中小企業は真剣に生産性の向上などには取り組まないと国や自治体は考えているとも見ることができるでしょう。
 「経営力向上計画」と同様に、賃上げ等に取り組む企業とか、TPP加盟国等への海外展開により海外市場の新たな獲得を目指す企業、経営革新計画の承認を受けている(申請中を含む)企業も加点の対象なので、補助金をエサに促進しているとも見ることができます。
 もっとすごいのは、ものづくり補助金の「小規模型」(はんわし注:補助上限500万円のもの)に応募するときは、小規模企業者(はんわし注:従業員が20名以下の製造業や、5名以下の小売・サービス業の中小企業)であるだけで加点されることです。
 これは、やはり小規模企業もエサが必要という認識なのでしょう。

 繰り返しますが、わしはこのことを一概に非難・批判するわけではありません。補助金獲得は競争なので、少しでも有利な条件があれば利用すべきでしょう。
 要は、その企業としての経営理念や経営方針、そして戦略と戦術を明確にすべきなのは補助金うんぬんとは関係のない、本来どの企業でも必要なものであること、そして、補助金獲得はあくまで手段であって、それが目的ではなく、できる限り早く縁を切ったほうがいい世界であることは経営者が自覚しておくべきことと思います。

0 件のコメント: