2016年7月7日木曜日

京都は人が多すぎる

京都市「京都観光総合調査2014」
 アメリカの旅行雑誌「トラベル・アンド・レジャー(「Travel+Leisure)」が、世界の人気観光都市ランキングである ワールドベストアワード2016 を発表しました。
 日本国内では京都市が、このランキングで2014、2015年と連続で第1位に輝いていましたが、今年は6位に転落。
 その理由について、京都市役所の担当者は「京都の人気が上がり、有名な観光地が混雑していることが影響したと思う。」と語っていることを京都新聞が報じています。

 IRORIO によれば、京都市を訪れる観光客は年々増加の傾向であり、平成25年には過去最高の5000万人を突破。トラベル・アンド・レジャー誌で1位に選出された影響もあって外国人宿泊者数も大幅に増加し、平成26年には183万人とやはり過去最高となっています。
 平成27年は円安と観光ビザの発給緩和などで外国人宿泊客が全国的に激増し、京都も前年比35%増となりましたが、今回のワールドベストアワードからの首位転落がどう影響するのか注目されるところです。


 IRORIOの記事では、京都市の調査によると、日本人観光客の5割もが「京都観光で残念なことがあった」と回答しており、その最も多かった理由は「電車・バスなどの公共交通機関への不満」と「人が多い・混雑」というものです。
 同様に、外国人観光客への調査ではで「残念なことがあった」と回答した人は1割にとどまったものの、「公共交通機関に外国語表記がない」、「交通機関が複雑」など不満の声はあり、「人が多い・混雑」という回答割合も平成25年には2.5%程度だったものが、平成26年に3倍の7.8%に増加しています。
 日本人はもともと、混雑には慣れていますし、特に京都は有名観光地で混雑しているのも仕方がないといったコンセンサスはあるように思います。
 しかし外国人には異常に思えるかもしれませんし、情報の拡散が早い時代、混雑といういう理由で、京都がさらに順位を落とす心配も少なからずあるでしょう。

 わしは、この京都の例は非常に示唆的だと思います。

 インバウンドはここ数年で完全に全国の観光プロモーションの重要なターゲットになりました。地方自治体が作る観光振興計画とか観光振興ビジョンにインバウンド増加を目標に盛り込まないところはありませんし、インバウンド対策を講じていないところもないでしょう。観光客増と観光消費増に大きな期待をもって外国人客を呼び込もうとしているのです。

 このブームは今、中国経済の減速やイギリスのEU離脱決定による円高によって陰りが見えてきました。しかし全国の自治体はいやおうなく競争に巻きこまれているので、いまさらインバウンド獲得競争から降りることもできず、走りながら様子を見ているような、奇妙なフェーズになってきています。実際に、外国人観光客は増えても観光消費は伸びないとか、そもそも外国人がまったく来ない、という「負け組」自治体も次々と発生しています。

 観光を産業として捉えれば、宿泊にしろ食事にしろ、オプションツアーにしろ土産物消費にしろ、外国人がおカネを落とすような仕組みが必要なのは当然ですし、その前提として交通や宿泊のインフラが整ってなければ、単なる集客(プロモーション)にほとんど意味はありません。
 観光計画やビジョンとかが、そういったインフラ整備とリンクして練り上げられている地方自治体が、いったいどれくらいあるのでしょうか。
 国際観光都市・京都ですら苦労しているのですから、地方都市はその何倍も努力しなくてはいけないのでしょう。
 

2 件のコメント:

matu さんのコメント...

はんわしさんのブログ興味深く拝見させてもらってます
現在私は大学で着地型の地域観光の研究をしていて出身県である三重を取り上げたいと思っているのですが県の主導する「美し国おこし計画」や「南部地域活性化推進」は行動・目標・期日などまったく具体性がないため参考になりません
はんわしさんの「経済発展に戦略性は関係ない」で述べられていたことは私が感じたことに近く、三重は景観や食材に恵まれてきたがために観光客を呼び込む努力を怠っているように思えます
そこで地元住民や自治体が地域を魅力あるものにする為行っている体験・交流の活動等ありましたら教えていただけませんか?
一応メールアドレスです

半鷲(はんわし) さんのコメント...

matuさま、はんわしです。
 コメントを公開していいのかどうかわかりませんのでとりあえず保留とし、先に回答をさせていただきます。
 ざっと思い浮かぶのは
1)せいわの里 まめや(多気町勢和地区)
2)穂積製材所プロジェクト(伊賀市島ヶ原地区)
3)天満浦百人会による天満荘の運営(尾鷲市)
 などですが、他にもいろいろありますし、全体では膨大な数になるでしょう。問題なのは何をもって「取り組み」というのかです。単なる補助金の消化とか、ボランティア活動的なものでなく、経営として持続可能なビジネスモデルが成り立っている例はさほど多くない気はします。
 要確認事項なのは、あなたがいう「住民」には企業も入るのかということです。(企業が主導して行政や住民を巻き込み成功したのが伊勢市宇治の「おはらい町」です。)