2016年8月1日月曜日

「石神さん」がますます聖地化していた件

 お盆の時期に迫ってきた、鳥羽駅ボランティアガイド(駅ボラ)の事前研修として、鳥羽市相差(おうさつ)町にある 石神さん に行ってきました。
 この「石神さん」は通称で、正式には石神社といいます。相差町にある神明神社(アマテラスを祀る、日本で最も一般的な神社の一つ)の境内にあり、玉依姫命(タマヨリヒメノミコト)を祭神とする小さな祠があります。
 もともとここ相差町は海女が多い地域であり、この石神さんも身一つで海に潜る海女たちの崇敬を集めていた土着信仰の一つだったようなのですが、このことに着目した鳥羽市役所や鳥羽商工会議所などが数年前から観光キャンペーンをはじめ、今では「女性の願いを1つだけ叶えてくれる神社」として全国的に有名になっています。
 実はわし、6年前にこのブログに石神さんの訪問記を書き、その後も何度か来てはいたのですがいたのですが、今回、2年ぶりくらいに再訪し、良くも悪くも「聖地化」が進んでいたのでメモしておきます。(はんわしの評論家気取り 「女の願いを一つだけ叶えてくれるという鳥羽の石神さんに行ってみた」 2010年11月21日

 石神さんは、相差町の中心地にあるバス停から歩いて数分の距離にあります。(付近には10台くらい停められる無料駐車場もあります。)


 参道は本通りの脇道といった感じの、住宅や民宿などが立ち並ぶ小道ですが、石神さんブームとなった5年前には「海女の家五佐屋」なる土産物屋ができ、小さな土産物店も何店か新規オープンしていました。なにせ、ひっきりなしに参拝客が行き来しています。

 神明神社の石造りの鳥居をくぐると、周囲は木立になっており、本殿である神明社に至る途中、参道の右側に、稲荷神社と石神社(石神さん)の祠が並んで立っています。


 石神さんの周りには、「慈母石神」と染められたノボリが何本もたっており、ここで願をかけている多数の参拝者が列をなしています。ほとんどが女性グループ、夫婦、若いカップルであり、男性グループや男性の単独者は全く見かけません。
 石神さんの周りには、参詣者が奉納するために願いを書く願書の記入用テーブルがいくつも並んでおり、たくさんの女性たちが熱心に願い事を書いています。

 しかし、ものの順序から言って、石神さんの前に主神である神明神社をまずはお参りすべきなので、参拝のために手水場に行くと、こんな看板が。


 前回は見かけなかったもので、なんと英語表記です。外国人の参詣も多いのでしょうか。(この時は、それと見てわかる外国人は全くいませんでした。)
 神明神社の本殿は最近、新しく建て替えられたばかりで、真新しく、ほのかにヒノキの香りがする荘厳な雰囲気がありました。
 ここを参ってから、あらためて石神さんに戻ると、途中でこんなふうな看板を見かけました。


 天照大神(アマテラス)と玉依姫命、そしてその子供である神武天皇の紹介です。イラストというのか、アニメというのか。これも前回訪問時には見かけなかったので、割と最近設置されたものだと思います。

 石神さんの前には、玉依姫命のさらに詳しいイラスト入り説明看板がありました。
 これによれば、
・玉依姫命は海の神様である綿津見神(ワダツミノカミ)の娘。
・うみさち、やまさちの神話で有名な山幸彦(ヤマサチヒコ)の子、鵜葺草葺不合命(ウガフキアエズノミコト)と結婚した。ちなみに夫である鵜葺草葺不合命の母は、玉依姫命の姉に当たる、豊玉毘売命(トヨタマヒメノミコト)。
・玉依姫命と鵜葺草葺不合命の間に生まれたのが神日本磐余彦尊(カムヤマトイワレヒメノミコト)であり、これが後の神武天皇である。
・海の女神、そして初代天皇の母である玉依姫命は、女性の願いを叶えてくれる美しい神様である。
 とのことです。
 なお、この説明看板にも書かれていますが、タマヨリヒメという名は魂が憑る(=たましいがよる)女性いう意味で、一般的な巫女という意味も表わす場合があります。例えば、京都の下賀茂神社の祭神(賀茂別雷神)を生んだタマヨリヒメ(玉依比売)とは別人 ~別神と言うべきか~ です。

 まあ、有名な神社にお参りには来るけれど、ここにどんな神様が祀られているのかも知らない人が意外に多いようなので、そのような不敬がないように、若者にもわかりやすい形で説明することは必要なのだろうと思います。

 ただ、何というか、わしらの年配の表現を使えば「世俗化」の匂いが漂ってこなくはありません。本来は、身一つで荒海に潜り、肉体の限界ともいえる水深、息継ぎ時間の中で作業をする、非常にタフで危険で、実際に不幸な事故も多い「海女」という仕事であるがゆえに、彼女らの石神さんへの願いは素朴ながら熱烈なものがあったことは想像に難くありません。
 それが今は、おそらく大きく変質し、願い事も現代的な、そしてある意味で贅沢な悩みが数多くなっていることでしょう。
 このまま、ますます聖地化するのか、そしてそれが神様や地元氏子のみなさんにとって幸せなことなのか・・・には思いを馳せずにおられなかったのでした。

石神さん 神明神社 アクセス 行き方 (伊勢神宮宿泊アクセス完全ガイドより)

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