2016年8月2日火曜日

地方消滅の「消滅」

 東京都知事選は、事前の大方の予想がそうであったように小池百合子氏が圧勝しました。東京オリンピック・パラリンピックといったビッグプロジェクトや、急速に進む高齢化、喫緊の課題と言える子育て支援、などなど課題が山積していますが、ぜひ手腕を発揮されることを ~わしはまったく関係ないけど~ 期待したい気持ちでいっぱいです。
 今の日本、とっくに「成長」の時代は終わり、成熟社会に入っています。一定の経済成長がどうしても必要なのは当然ですが、むしろ、身の丈に合った緩やかな成長、あるいは後退・縮小という状況に応じた社会の仕組みを構築しなおすことが急務だと思います。
 わしが注目しているのは、なんだかここ数年ですっかり元気がなくなってしまった、行財政改革とか、それにまつわる財政の健全化、官と民の役割分担、といった課題に、小池都知事が率先してどこまで取り組むかという点です。
 知事報酬を削減することは公約しているようなので、まず模範を示し、自ら先頭に立って、安易な「拡大」政策から、真の政治力、決断力、そして人望が求められる「縮小」の課題に取り組んでいただきたいものです。
 しかし実は、わしが都知事選以後で最も関心を持つのは、増田寛也氏の落選とその後についてです。



 岩手県知事を務め、いわゆる改革派知事の旗手として構造改革や地域活性化に成功した(?)と高い評価を得ている人物。その後国政に転身して総務大臣も務め、最近では例の、日本創成会議「人口減少問題検討分科会」が提言し、全国の「地方」を震撼せしめ、流行語にもなった 地方消滅 を発信した政治評論家として、地域活性化業界、わしらのような地方公務員業界ではカリスマ的な人気がある人物でもありました。

 総務大臣時代に、東京など大都市の法人事業税の一部を、地方に再分配するという「地方法人特別税」という制度を作って東京を痛めてきたヒトが、今度は都知事選に出馬するのもわかりにくい行動ではありますが、往々にして頭のいい人はそういう所作をとるようなので、政治家としては許容範囲なのかもしれませんが、現在の安倍内閣の「地方創生」政策を理論的に補完しているのが増田氏らの唱えた「地方消滅論」です。

 その内容にここでは触れませんし、多くの肯定論、批判論があり、さまざまな論争があるわけですが、とにかくこの4文字が危機感をあおったおかげで、地方創生のための具体的施策の一丁目一番地に当たる国の「まち・ひと・しごと創生戦略」や、その地方版のほとんどは、この地方消滅論に立脚しているといってよく、今回の増田氏の落選がこれらの一連の流れにどれほど影響があるのか、という興味がわいてくるのです。

 現実問題として、選挙に落選した人は1~2年は人前には出てこられませんし、仮に政治評論家やコメンテーターとして復権するにしても、「落選」というレッテルは、有権者の支持を集められなかった人、それが飛躍して、言っていること、唱えている論も果たして本当に正しいのかどうか疑わしい・・・という偏見とか先入観から逃れることは極めて難しいといえます。

 地方消滅論の真偽はともかく、主張していた本人が落選してしまったことで、イメージとして、これは実は正しくないのではないか、という見方が、地方、地方自治体に浸透していくのは避けられないでしょう。地方消滅ブームの消滅です。ではその次に、どんな理論が出てくるのかはわかりません。


■はんわしの評論家気取り 「地方消滅」まとめ

 30年後、500余りの自治体は消滅!?(2014年5月8日)
 
 地方間格差と見るか、地方の個性と見るか(2015年3月23日)

 あの本は、やはり岩手県で売れていた(2015年3月24日)

 消滅可能性都市と無投票当選(2015年4月4日)

 地域活性化に関する大きな誤解(2015年12月30日)

 無理に人口を増やすことなどできない(2016年6月27日) 


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