2016年8月28日日曜日

グローバル競争下に置かれているということ

 豊田合成という会社はトヨタ自動車と関連の深い、いわゆるトヨタファミリーの一員である企業ですが、平成26年にノーベル物理学賞を受賞した赤崎勇氏らなどと青色発光ダイオード(LED)の研究開発に取り組み、世界に先駆けて量産化に成功した企業として有名です。
 その豊田合成のLED生産拠点の一つである佐賀工場(佐賀県武雄市)が縮小され、LEDの生産を終了して愛知県稲沢市の工場などに集約することが公表されました。
 豊田合成としてもLEDの生産量を約3割も削減することになり、佐賀工場の従業員約100名は福岡県内の自動車部品工場に配置転換になるそうです。
 佐賀工場は平成21年には自動車不況のあおりで部品製造部門すべてが福岡工場に移り、平成22年に豊田合成としては初のLED専用工場としてリニューアルされた経緯があります。今回の事態を受けて、佐賀工場は来年度さらに自動車部品に製造品目を切り替えて存続するそうであり、工場が立地する地元武雄市の雇用などへの影響は最小限にとどまるようなのが不幸中の幸いと言えると思います。
 改めて考えざるを得ないのが、わしらは ~三重県であろうと佐賀県であろうと~ グローバル経済の競争の中に身を置いており、望むと望まざるとにかかわらず、その影響から逃れることはできないということです。



 (株)富士キメラ総研の「2016 LED関連市場総調査」(平成28年2月)によると

・2015年の白色LEDパッケージ市場は二大用途であるバックライト用と照明用の出荷数量において、バックライト用が減少、照明用が大きく拡大という結果となった。
・バックライト用では、TV・PCモニター向け出荷数量が減少し、中小型LCD向け出荷数量が横ばいから微減。
・照明用の大幅増加は、先進国だけでなく新興国でもLED照明が普及し始めたことが要因。また、照明用を手掛ける中国のLEDパッケージメーカーが激しい低価格攻勢を仕掛けたことも増加の要因。
・中国メーカーが大規模投資で価格競争力を得ると同時に、さらなるシェア獲得のために攻勢を強めた結果、白色LEDパッケージの製品価格は大きく下落。その影響により、韓国、台湾の中小LEDパッケージメーカーの淘汰が始まっている。
・日本では、高品質なものが求められる独自の市場が形成されており、当面は中国メーカーの低価格製品の影響は少ない。また、バックライトや照明に代わる用途として自動車用が、白色LEDパッケージに代わる製品として紫外光LEDパッケージが、新規事業領域として参入が本格化している。

 というようなことらしいのですが、中日新聞の記事(8月27日付け)によると、LED価格競争の激化により豊田合成のLED事業の売り上げはピーク時の平成25年3月期には548億円にも上りましたが、今年3月期は347億円に落ち込んでいました。

 このように、後発の国、つまりオーナー企業が多く巨額投資がトップの瞬時に経営判断で決まる韓国や、自国に超巨大市場を持つ中国が、当初は遥かに先行していた日本の技術に次第に追いつき、大量生産と低価格で圧倒して、急拡大局面での世界市場でシェアを奪ってしまうのは、液晶や太陽電池などでも見られた現象です。

 こういった設備投資にせよ瞬時の経営判断は、オーナーではなく社員出身の社長が多く、意思決定が合議(稟議)制である日本企業は苦手とされているところでもあります。
 
 工場が立地する地方は、こういったグローバル競争を指をくわえてみているしかありません。
 少なくとも、地域経済の振興策として「企業誘致」しか念頭にないような地域は、このようなヤキモキから解放されることはありません。ここは発想の切り替え、そして戦略の切り替えが求められます。
 新規企業誘致だけに注力するのでなく、今すでにある地域の企業、過去から地域に根差している企業の経営革新を促進させ、新製品や新サービスの開発、新規販路の開拓などを支援すること、そして、起業や創業を促進して経済活動の新たな担い手を生み出すこと、が地方自治体にとってますます重要になってくるでしょう。
 

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