2016年8月29日月曜日

若者のくだもの離れが加速

 8月28日付けの日経新聞朝刊 かれんとスコープ「果物、国内産崖っぷち? シルバー消費頼み限界」という記事は、特に地方の農業関係者には大変深刻なニュースと言えるかもしれません。(リンクはこちら
 果物の消費量は、キウイのように「美容と健康によい」イメージが定着したことで人気を高めているアイテムもあるものの、全体で見ると消費額は伸び悩んでいます。総務省の調査では昨年の一世帯当たりの果物への年間支出額は約3万3千円であり、近年上向き傾向であるものの10年前の水準には届いていません。国民一人当たりの果物摂取量も減少傾向で、平成26年度の一日当たりの摂取量は99.5gであり政府が健康の目安として示す目標の半分以下です。
 実は、消費者のくだもの離れが深刻であることは、このブログでも取り上げたことがあります。(はんわしの評論家気取り 消費者のくだもの離れが深刻だそうな 2010年5月29日
 この時も原因ははっきりと究明されておらず、わしは消費者の高齢化で皮をむくのが面倒とか、果糖の接種を控えている、というような理由を想像しました。
 しかし、事態はさらに深刻になっているのです。日本園芸農業協同組合連合会(日園連)の関係者は、「日本人全体の果物摂取量を増やさないと国内の果実産業が先細りになる」と危機感を示しています。
 今回の日経の記事には、関係者によるくだもの離れの理由の考察があります。


・個人消費の動向に詳しい専門家は「食の安全や品質を重視し、価格が上昇しても質を維持したいと考える人が増えてきたが、まだ一部の動き」と分析する。
・高級果物店の千疋屋総本店(東京)常務は「高級な果物を求める人と、そうでない人の二極化が進んでいる」とみる。
・JC総研が昨年夏に行ったインターネット調査によると、「果物をほぼ毎日食べる」人は70歳代以上で49%なのに対し、20歳代以下は約9%。年齢層が高いほど果物を食べる回数が多い傾向が年々顕著になっている。(下のグラフ参照)
などなどです。

日本経済新聞(平成28年8月28日 朝刊)より
このデータを見る限り、若者のくだもの離れは相当深刻と見なければいけません。そもそも若者は相対的に人口が少ないので、JC総研もいうように、このままでは国内の消費市場は極端に縮小し、残りもキウイやバナナのような安価な輸入フルーツに席巻されてしまうでしょう。

 関係者も手をこまねいているわけではありません。
 日園連は、社会人を対象にした啓発活動「デスクdeみかん」運動を全国のミカン産地と一体となって展開するほか、果物研究家らを講師とする小学生向け出前授業や、ラジオ番組を通じたPRなどにも取り組んでいます。
 国内の果実栽培の生産調整などを行っている中央果実協会は、各種アンケートで「果物を全く食べない」との回答が目立つ「20~40歳代の未婚男性」をターゲットに「コーヒーや紅茶に合うフルーツスイーツを開発し、コーヒー休憩のタイミングで買ってもらえるようにする」「居酒屋でのデザートメニューに果物を加えて、アルコール摂取への罪悪感がある中で果物摂取でさっぱりするきっかけを提供する」といった対策を示しているそうです。

 全国各地で過去から営々と取り組まれている地域経済活性化の一般的な手法が、地域の特産品や農産物を定め、それを都会の市場に売り込んだり、新しい消費者を獲得するためにライフスタイルや嗜好に沿った新商品を開発するものです。
 しかし、これは最近特に地方創生のブームで補助金などの支援策が手厚く措置されているせいもあって過当競争で、ほとんど差別化ができていません。プロモーションの方法も「甘くておいしい」「大きくてみずみずしい」といった、健康志向や核家族化の現状を直視しないものばかりです。

 迂遠かもしれませんが、中央果実協会が提唱する ~この場合ならフルーツメニューの開発~ ような、①生産者による消費者のターゲティング②そのマーケットの嗜好や消費動向、経済力等の詳細な調査、そして③それらに応じた対応策の実行、という定石を踏むしかありません。
 消費者サイドの変化や世の中の動きを、まだまだ産地側(生産者、農業団体、行政)は見ていないのではないでしょうか。若い世代の意見も聞いて、関連商品開発や低価格化など、工夫をこらしてほしいと思います。

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