2016年9月10日土曜日

三重県が財政再建に向けた指針策定へ

 三重県が、深刻さを増している県財政の再建に向けた「県財政の健全化に向けた集中取組」の素案をまとめたことが報道されています。
 三重県の財政が深刻な状況であることは今年度(平成28年度)の予算編成時に表面化し、公債費や人件費、社会保障関係経費などの義務的経費の増加によって歳出額が増加する一方、県税や地方交付税交付金などをあわせた歳入(一般財源)はほぼ横ばいであるため、当初予算の要求状況公表時には247億円もの財源不足に陥りました。
 歳出予定額の精査や、財政調整基金の取崩しなどを行ったほか、企業会計(県営の水道や発電事業の内部留保金)からの借り入れという奇策によってやっと辻褄を合わせた状態です。
 今後もこのような厳しい財政運営が予想されることから、根本的な見直しが不可欠として、財政健全化に向けた今後の方針と具体的な方策を素案としてまとめたものです。
 県ではこの素案について、本年度内に最終案を取りまとめ、県議会の了承を得たのち、平成29年度から31年度までの3年間に集中して実行することとしているそうです。

 中日新聞の記事(9月10日付け)によると、この素案では3つの数値目標が設定されています。

1)「経常収支適正度」という県独自の目安を新設し、現在約110%であるこの割合を、平成31年度までに100%以下にする。
2)「経常収支比率」については、企業会計からの借り入れなどをせずに予算が組むことが可能だった平成26年度の数値(95.8%)を、31年度の段階で上回らないようにする。その後は3年以内に93%以下に下げる。
3)「実質公債費比率」は、現在14.7%であるところ、31年度までに26年度の全国中位に当たる14.1%以下に下げ、その後も1ポイント以上低くする。
 というものです
 経常収支適正度というものが不分明ですが、財政の弾力度を示す経常収支比率が96%近く、全国38位(47都道府県中)という状態なのは、歳出の6割ほどを占める人件費と公債費(箱モノの建設などに使われる)が主な原因であるため、この抑制を数値化するという内容だと推測されます。

 同時に、具体的な方策として以下のような概要を示しています。

1)歳出
基本方針・・・経常的支出を段階的に引き下げ、当面は投資的経費など臨時的支出も抑制する
具体策
①箱モノの建設、建て替えの新規着手の見合わせ
②県債の返済金を適度な範囲で延長
③県単独補助金の見直し(交付額100万円未満の市長向け補助金の見直し。新設の補助金は補助率1/3、最長3年間とする)
④社会保障関係経費の見直し(県による国補への上乗せ補助や利用実績が少ない補助、期限の定めがない補助などの縮小・廃止)
⑤総人件費の抑制
⑥維持管理費の抑制
⑦事務費の節約

2)歳入
基本方針・・・歳入確保への一層の取り組み
具体策
①使用料・手数料の見直し(現在無料のものの新規徴収も含む)
②施設命名権の拡大
③未利用財産の売却
④企業版ふるさと納税制度の活用

 しかしながら、中日新聞も指摘するように、これらのうち単独で抜本的な改革に結び付くような「打ち出の小づち」的な即効策は見当たりません。福祉や医療も含め ~たとえば男性不妊治療への助成など三重県が国に上乗せして独自で助成しているような~ 多くの補助金は廃止、縮小せざるを得ないでしょうし、民間に比べて安い各種の県施設の使用料金や県立学校の授業料なども引き上げは避けられません。県の出先機関の整理統合や外郭団体の統合廃止も不可避になるのはおそらく時間の問題です。

 わしらにとっては、人件費の抑制が気になるところですが、以前このブログにも書いたように客観的な情勢としてこれは避けられないことであり、あとはトップがどれだけの突破力、政治力を持つかだけが問題です。この点、三重県に関しては見通しは明るくないというのが ~残念ですが~ わしの見立てです。
 重要なのは、何のために財政を再建するのか、なぜしなくてはいけないのか、について県民の合意を得ることです。いざとなったら国が助けてくれるに違いないと思っているうちは各自の利害が噴出して収拾がつかないでしょうし、夕張市のように国の管理下に置かれることが視野に入ってくるほど深刻化すれば、犯人捜しで県政は大混乱するでしょう。

5 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

自身の給料と退職金をふやして、職員は給料カット
こうですか、わかりません(>_<)

匿名 さんのコメント...

企業会計からの繰り入れが悪いことみたいに思われているが、使う当てもない金が企業庁に豚積みされていただけで、これを使わないほうがおかしい。

半鷲(はんわし) さんのコメント...

 コメントありがとうございます。
・小池東京都知事の給与半減によって、全国で知事の給与適正化は新年度予算の争点になるでしょうね。しかし、三重県の場合は実質的に職員給与には手が付けられないので、勧奨退職の促進で人件費総額を若干削減という形になると思います。
・企業会計からの繰り入れは「極めて異例ではあるが違法ではない」という最近よく聞く理屈で押し通されてしまいました。しかしこれ、利息を付けて返済することが借り入れ時の条件なので、結局は一般会計の一時的な資金繰りにしかならないわけです。

匿名 さんのコメント...

周りを見渡せば人件費の高い「使えない」主幹がいるでしょ。
そういう人間の首を切ればいいだけ。

匿名 さんのコメント...

実現可能性の低いことを言っても意味がないですが、主幹に限らず公務員の身分に胡坐をかいている無能は少なからずいるわけです。
ではその連中が財政危機を引き起こしたかといえば、そういうわけでもない。
組織のトップであったり、政治家による支持者・地域への利益誘導だったり、政治の無能こそが追及されるべきだと思いますが、政治家の能力が低く、人材難の三重県では代わりがいないという悩みもあります。