2016年9月25日日曜日

知名度って、まあこんなもの

 9月23日から今日にかけて、伊賀市のスパーク阿山で 伊賀焼陶器まつり が開催されていたのですが、今年もまたスカジュールが合わず、行くことができなかったのが残念でした。
 以前もこのブログに書きましたが、伊賀焼まつりは数年前は盛夏の7月に開かれていました。(伊賀焼陶器まつりに行った 2011年7月30日
 しかし来場者の便宜を考えて、暑さがやや凌ぎやすくなる9月下旬に変更されたとのことです。
 伊賀地域は、信じがたいことですが数百万年前には琵琶湖の湖底だったものが隆起して生まれた土地です。草木が腐敗して湖底に沈殿し、長い年月をかけて堆積した地層は、土の中に無数の微細な有機物が含まれているため、焼き物(陶器)にすると保温性が良い製品ができるとのことで、現在でも伊賀焼の土鍋は高級品から普及品まで幅広い製品群を有していますし、歴史を振り返ると戦国時代の「古伊賀」と呼ばれる花器や茶器は武将の間で珍重され、国宝も輩出しています。
 というわけで、わしはかつて地場産業担当者で伊賀焼の窯元も相当見学させてもらったのでどんどんマニアックな話になっていくのですが、こういったように、陶磁器好き、美術品趣味の人はもちろん、「鑑定なんでも探偵団」をよく見ているといったわしのようなレベルの人でも伊賀焼は非常に有名だと思うのですが、たまたま偶然にも、これに冷や水をかけられるような体験をしました。


 といっても、簡単な話です。
 愛知県内のある総合スーパーの売り場をぶらぶら歩いていた時のこと。わしは時間があると、地域によって品ぞろえがかなり異なる食品コーナーとか、陶磁器などの食器コーナーを覗いてみるのですが、この時は秋の深まりに備えてか、土鍋の特設売場があったのでふと見ると。こんな商品がありました。


 この写真、三重県の焼き物業界に知識がある方ならすぐに間違いが分かると思います。
 伊賀(焼)ご飯鍋と書かれた表示の上に置かれているのは、やはり三重県北勢地域の地場産業である「萬古焼」(ばんこやき)の土鍋なのです。わしはどこのメーカーかも見たらわかりますが、これは本論と関係ないので触れません。

 なぜこんな間違いが起こったのか定かではありません。土鍋を仕入れた商社さんの商品説明が間違っていたのか、陳列する際にスーパーの売り場担当者が置き間違えたのか。いずれにせよ この表示ミスは、まずはお客さんに対する正しい商品説明になっていない点で改められるべきです。
 しかし、少なくともわしにとって、全然違う分野、全く別物と言っていいほどに個性が異なる、伊賀焼と萬古焼が反対に間違えられているというのは信じがたいことではありますが、世間一般の消費者から見ると、こんなの土鍋に変わりはないのだから別にどっちでもよく、それよりも値段は張るが品質が確実な国産製か、リーズナブルな海外製か、といったほうが選択肢としてはるかに重要なのでしょう。

 わしのように地域産業振興に携わっていると、三重県の地場産品の一つ一つにはモノガタリがあるし背景がある、じゃによって他産地の陶磁器とはひと味もふた味も違うのだ、と理解しています。
 このことを消費者にも知ってほしい、いや、消費者は知るべきだと信じています。
 ましてや伊賀焼も萬古焼も国が指定する伝統的工芸品なのです。知名度もそこそこ高いはずだと考えています。

 ところが現実はこうなのです。これは受け止めるしかありません。
 このことは産地を貶めるといった意味では全然なく、生産者や関係者は自分の製品は素晴らしいし知名度も高いを思い込んでいるけれど、そうではなく、プロの流通関係者ですら区別はあいまいなものである。ましてや消費者にはどうでもいいことである。それを客観的に認識しなくてはいけないということが言いたいのです。 

3 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

流通業社について思うことを
彼らは自らを完璧な理解者と考えており、顧客情報を最も知る存在だと自惚れていますが、誤りです。
はんわしさんも御存知かと思いますが、スーパーの棚に何を並べるかは、その店を担当するメーカーの中でも信頼のおける(店側にとって都合のよい)セールスに任せていたりします。

結局、売れりゃいいわけでどこの何かまでしっかりと理解しているようには思えません。
県民としてこのような明らかな間違いを放置させることも嫌ですが、こういった明らかな誤りをただしていく役割を公的機関にお願いしたいものです。

まろ さんのコメント...

同じような表示で売っているのを見たことがあります。
本当の商品名は。三○陶器(萬古焼)の伊賀風ご飯土鍋ですね。
萬古と伊賀をよくわからず混同したか、
意図的に伊賀焼のように表記した方が高く売れるのを狙ったか。いずれにしても景品表示上紛らわしいです。食品と違いなかなか取り締まりされるものでないとは思いますが・・。

匿名 さんのコメント...

店頭表示の修正すら公的機関に頼る発想って、、