2016年9月28日水曜日

田舎役人は騙される

THE HUFFINGTONPOST より
 鹿児島県志布志市役所が9月21日に動画サイトで公開したふるさと納税のPR動画が、女性差別だとの非難を受けて1週間後の26日には閉鎖に追い込まれたことが話題になっています。
 この動画は「少女U」というタイトルの2分間のショートムービーで、真夏のプールでスクール水着姿の美少女がある男性に「養って」と訴えるシーンから始まります。
 「その日から、彼女との不思議な暮らしが始まった」とナレーションが入り、男性は少女に食事や住環境を提供。翌年の夏、少女は「さよなら」と別れを告げて、プールに飛び込んでいくのですが、その時、姿が一匹のウナギに変わっていました。彼女こそ「うな子」というウナギだった、という内容だったそうです。
 ハフィントンポストなどによると、ウナギを少女に擬人化して飼育するというストーリーに対して、ネット上では「児童ポルノのように見える」「女性差別的な内容ではないか?」などと批判的な意見が出ていました。(9月27日付け)


 さらに、批判は国内だけでなく、三重県志摩市の公認キャラクター(はんわし注:現在は公認を撤回)「碧志摩メグ」や、旅行会社大手のH.I.Sが企画した「東大美女図鑑」など「多発する日本の女性差別の例」として欧米メディアも続々と取り上げるという事態になってきています。

 9月28日付けのハフポスによると、
・フランスのAFP通信は、「日本の自治体が女性を貶めたとみなされる広告を作成し、炎上するのは初めてではない」と紹介。胸が強調された17歳の海女の萌えキャラで、反対署名を受けて撤回された、三重県志摩市の公認キャラクター「碧志摩(あおしま)メグ」騒動を紹介している。
・英ガーディアンは同様に「碧志摩メグ」やH.I.Sの「東大美女図鑑」の広告に言及。
・BBCでは乳牛になった少女が卒業式を迎えるというAGFの製品「ブレンディ」の広告を取り上げている。
・米外交専門誌のフォーリンポリシーのサイトまでもが、「性差別ホラー映画」とのタイトルで取り上げ、「誘拐監禁された少女を想起させる」というツイッターユーザーの声を紹介。「史上初めての野党第1党の女性代表が誕生したにもかかわらず、この国は「まだ」女性の社会進出にモタついている」と厳しく批判。動画で少女が「養って」と発言するような、性別役割分業的な発想が背景にあることを示唆した。
 とのことです。

 まさに国恥状態と言えそうですが、志布志市ふるさと納税推進室の女性担当者はハフポスの電話インタビューに対して
 志布志の天然水でうなぎを大切に育ていることを伝えるのが目的であり、女性差別の意図は決してなかった。
 と答えており、
 (動画製作にあたって)女性職員からの批判的な意見も一部では出たが、担当部署の総合的な判断で掲載を決めた。
 とも正直に答えています。

 志布志市に限らないでしょうが、日本の地方には男尊女卑的な価値観が抜きがたく存在していることが垣間見えるようです。

 しかし、わしはこうも思うのです。
 市の担当者は善意だったに違いありません。おらが街を全国にPRしたい、ふるさと納税のお客を増やしたいという純粋な気持ちだったと思うのです。
 今、全国の地方自治体には政府が強力に進める地方創生政策のおかげで、産業振興や若者の定住、子育て支援などに対しては多額の交付金が助成されます。
 時代のせいでどんなジイさんでもフェイスブックとかユーチューブなどの言葉くらいは知っているので、「SNSや動画投稿サイトを使って我が町をPRすべし」という意見はすぐに合意が形成されますし、簡単に事業予算が付きます。
 こういった甘っちょろい考えに付け込むのが、地方創生を一大ビジネスチャンスととらえている広告代理店や地域活性化コンサルタントなどです。
 彼らは一つのノウハウを全国で市町村名だけ変えて使いまわせばいいので、市役所や役場を訪問し、うちはよその県や市でもたくさん広告を作った実績があります。書類もきちんと書けますし、お金もちゃんと管理できます。何よりも、うちのPR広告で何組もの若い夫婦が東京からUターンしてきました、などと言われると、人の好い田舎公務員はコロッと騙されてしまうのです。

 今回の志布志市の動画を制作したのは大手広告代理店の博報堂。おそらく製作費は1千万円を下らないでしょう。1週間で火だるまになった動画などまったくの「死にガネ」ですが、博報堂はもちろん何ら痛痒を感じないでしょうし ~営業マンが今日もどこかの田舎役場のドアをたたいているはずです~ 、ほぼ全額が地方創生交付金で賄われている志布志市もほとんど財政的な痛みはありません。
 すべてが何もないように済んでしまうのです。そしてまた明日、今日と同じように太陽は昇るのでしょう。
 

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