2016年9月29日木曜日

熊野尾鷲道路「尾鷲北トンネル」が着工

国土交通省中部地方整備局HPより
 現在工事が進められている国道42号熊野尾鷲道路(Ⅱ期)で、尾鷲北トンネルの工事安全祈願祭が9月22日に行われたことを紀南新聞ONLINEが報じています。(リンクはこちら
 熊野尾鷲道路は三重県南部の尾鷲市と熊野市を結ぶ自動車専用道路で、平成25年9月に尾鷲南IC~熊野大泊IC間の18.6㎞が開通しています。
 本来は高速道路(紀勢自動車道)と一体となって高速道路ネットワークを形成すべきものですが、実際には高速道路の終点である尾鷲北ICと尾鷲南ICの間5.4kmは未完成となっており、地元からは「ミッシングリンク(未開通区間)の一刻も早い解消を」との声が上がっていました。
 紀南新聞によるとⅡ期工事の総事業費は260億円。(したがって、Ⅱ期工事区間の建設費は1メートル当たり約480万円という超高コスト道路となります。)
 トンネルは4つが建設されますが、尾鷲北トンネルは長さ718mで、事業費は17億7552万円。平成30年2月の完成が予定されています。


 工事を発注している国土交通省紀勢国道事務所によると、熊野尾鷲道路と紀勢自動車道の開通によって
1)紀勢自動車道・熊野尾鷲道路の高速ネットワークの段階的な形成に伴い、交通量が増加。観光入込客数も増加している。
2)紀勢自動車道・熊野尾鷲道路が国道42号の代替路として機能を発揮している。
3)尾鷲総合病院への熊野市内の新規患者数が40%増加するなど地域医療に変化が表れている。
4)国道42号沿線の主要観光施設の入込客数が大幅に増加するなど、観光客数の増加で地域が活性化している。
 などの効果が顕著に表れているとしています。
 
 この日の安全祈願祭でも塚原浩一中部地方整備局長が、「さらなる経済効果や、南海トラフ地震や集中豪雨などの災害時の緊急輸送路として期待されている」などと、また、地元選出の三ツ矢憲生代議士は「この10年で、東紀州地域の観光入込客は確実に増加している。紀伊半島一周の高速道路をどうしても完成させなければならない。」などとあいさつし、期待の高さをうかがわせたそうです。

 わしも元尾鷲市民として、また、仕事で熊野尾鷲道路開通以前の国道42号の矢ノ川(やのこ)峠と佐田坂を通って熊野市の間を数え切れないほど往復した経験から、本当にこの自動車専用道路の開通はありがたかったし、利便性、安全性、快適性が飛躍的に向上したことを体感した人間の一人です。その意味で、Ⅱ期工事の完成に期待する面があるのは確かです。

 しかし、これと同時に、現在は高速道路と自動車専用道路が直結しておらず、高速からはいったん必ず尾鷲北ICで下道(国道42号)に降りて尾鷲市街地を走り、再び尾鷲南ICから自動車専用道路に乗る、という不便さが、結果的に尾鷲市内の通行量を増加させ、観光客の立ち寄りや地元客の買い物などを誘発していた面があることも考慮しなくてはならない思いが募ります。
 この効果は全通によってほとんど失われてしまうでしょう。交通の便が良くなって、かえって衰退した観光施設や道の駅があることは経験上わかっています。尾鷲市内の関係者が、この教訓をいかに自らのものとして対策を講じていくのかが問われているといえるでしょう。

■はんわしの評論家気取り

  一般国道で行く「道の駅」めぐり(不定期連載)(2014年8月31日)

  一般国道で行く「道の駅」めぐり(紀南編)(2014年11月14日)

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

 駅前やICの近くなど人の流れがある場所に出店するのが客商売の常識です。
 新しい道路が開通して人の流れが変われば店も移転しますよね。
 人の流れが変わったのに以前の場所に客を引っ張ろうと言うのは非常識と言うか無謀と言うか・・・
 人を呼ぶために採算は採れなさそうな施設を公金を投入して作るのだけは止めて欲しい。
 高速開通で客が増えたと言われている施設も、採算がおそらく取れないほどの民間ならしないような
投資を公がした施設ばかりなんですよね。どこまでが高速の効果でどこまでが採算度外視の豪華施設
の効果なのか判然としませんわ。

半鷲(はんわし) さんのコメント...

 おっしゃるように民間は採算性をよくよく見通してから投資するので、単に高速ができたからと言ってブームに浮かれることもないし、逆にここで勝負に出るところもあるでしょう。これは自己責任です。
 その一方で、(これは尾鷲市など東紀州に限らず)地方に行くと、高速道を「活性化の起爆剤」に「活用」せよ。これは民間にはできないので、行政が箱モノを作って運営えよ、という要求が地元から噴出し、行政としてはそうせざるを得ない面もあるわけです。
 どちらがいいかは一概には言えませんが、それでも一般的には行政がらみの不採算施設は「ジリ貧」に陥るケースが圧倒的です。市民、住民はよくよく先例を研究し、自分の生末は自分でよく判断されるべきと思います。