2016年9月3日土曜日

ユーグレナが三重県内に実証施設を建設へ

 ミドリムシ(藻の一種)を培養して食品や燃料を製造する研究を行っている、日本を代表するベンチャー企業といえる株式会社ユーグレナが、三重県多気町内に研究開発の実証施設を建設することが明らかとなりました。
 このプロジェクトは中部電力関連会社の(株)中部プラントサービスが多気町内で稼働している木質バイオマス発電所の隣に、ユーグレナがミドリムシ培養プールを建設し、発電所から出る二酸化炭素や排熱を利用して、ミドリムシを大規模・低コストに生産する技術を研究開発していくもので、「バイオ燃料用藻類生産実証プロジェクト」と命名されています。
 財源として資源エネルギー庁の微細藻類燃料生産実証事業費補助金(1億5千万円)が投入されますが、これはここで研究されるミドリムシは、最終的に航空機用燃料として実用化させる目的であるためです。
 実験は今年10月から開始され、31年3月まで行われます。平成30年には面積が3千平方メートル以上と燃料用ミドリムシの培養プラントとしては国内最大級になる予定だとのことです。
 資源のない日本にとって、国内で製造可能なエネルギーの開発は大変に重要な課題です。ユーグレナは世界で初めてミドリムシ(ちなみに、この英語名ユーグレナが会社の名前の由来だそうです)の大量培養技術の確立に成功した会社であり、技術的にアドバンテージがあります。
 また、ミドリムシ培養には大量のCO2が必要なため、バイオマス発電所に隣接した今回の立地も優位性が生かせるでしょう。

©いらすとや
 ところで、なぜミドリムシから航空機燃料(通常の、石油から精製された燃料はケロシンと呼ばれます)ができるのでしょうか。

 ミドリムシは、虫という名前ではありますが実際には「藻」であり、体長はわずか0.05ミリほどしかありません。植物なので光合成によって糖分を作りますが、光と酸素の供給を止めると糖分を分解して油脂を作り出すことができます。

 ミドリムシから精製された油脂は、軽くて燃料効率のよいジェット燃料やディーゼル燃料になるそうで、ユーグレナでは昨年12月に、伊藤忠エネクス、いすゞ自動車、ANA(全日空)、そして石油プラント工事大手の千代田化工建設と共同で、東京オリンピックがある平成32年に向けた、国産バイオ燃料の実用化計画を発表しています。

 これは横浜市内に30億円投資して実証プラントを建設し、年間125キロリットルのバイオ燃料製造を目指すもので、ユーグレナといすゞ自動車では、すでに昨年の7月から神奈川県内でユーグレナ製のバイオディーゼル燃料を使ったバスの定期運行試験も行っています。
 さらに来年には、羽田空港の近くに、アジアで初めてとなるミドリムシ由来の油脂をジェット燃料に精製する施設を建設することも発表しています。

 まさにユーグレナは怒涛の進撃ですが、最も懸念されるのはコスト、つまり価格に競争力がある燃料が作れるかどうかという点です。
 ミドリムシの航空機燃料の値段はケロシンの10倍も高く、実用化には程遠いのが現状なのです。
 その大きな理由の一つは、ミドリムシの培養には広い水面が必要なことです。よくあるたとえ話として琵琶湖全部でミドリムシを育てたとしても、日本国内の石油燃料消費量の1日~2日分ほどの生産しかできません。実用化に当たっての培養施設は広大な水面が確保できる海外に建設せざるを得ませんが、そこからタンカーで日本に運ぶのにも高い輸送費が必要となります。
 さらにミドリムシからの精製についても独自技術が必要なためコストが高く、これらをどう技術革新で解決していくかが大きな問題です。精製技術についてはアメリカの大手石油会社・シェブロンの子会社と提携して開発を行っていくとのことですが。

 今回の多気町での実証実験は、ミドリムシの培養量を効率的に増やすための重要なもののようです。
 木質バイオマス発電所を中心に、木材から電力、熱、そしてバイオ燃料の生産ができれば、地域のエネルギー自給にも大きな貢献となるでしょう。今後を期待したいと思います。

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