2016年9月9日金曜日

継続は力なりではあるが

 総務省と全国の過疎地域を抱える地方自治体の団体が、このたび、今年の「過疎地域自立活性化優良事例」を選定しました。この表彰は、地域の自立と風格の醸成を目指した過疎地域の取組を奨励するために、創意工夫によって過疎地域の活性化に取り組み、優れた成果をあげた先進的・モデル的な事例を、有識者の委員会で選出し表彰するものです。
 今年は総務大臣賞に5事例(5地域)が、全国過疎地域自立促進連盟会長賞に4事例(4地域)が選ばれています。総務省の報道資料では取組内容の詳細まではわかりませんが、おそらくいずれの事例も熱心な地域住民が支えている、素晴らしい取組なのでしょう。敬意を表したいと思います。
 ただ、そう感じる一方で、こういった「地域の宝探し」と「ブラッシュアップ」、そして「外部への情報発信」という定石ともいうべき内容とか、「高齢者が来訪者のおもてなしのために立ち上がった」という定番のような内容を見ると、心のどこかでデジャビューに襲われるのも正直なところです。
 毎年毎年このように、同じような取組みが全国で行われ、優れた事例が表彰される。しかし、全国的に見て過疎地域の衰退はまったく止まりません。
 このような取り組みはいったい何を目標に置いて、いつまで続けるべきなのでしょうか。
 それとも地域おこしに終わりはなく、永遠に誰かが続けていかなくてはいけないのでしょうか。


 このような疑問は、たとえば、つい先日、三重県内のある地域 ~やはり過疎化、高齢化に悩んでいる市町~ で行われた、「大学生と地場産業の現場との交流会」というものにも感じます。
 地元の市役所と町役場が、就職活動を控えた大学生30名ほどを大学の仲介によって地域に招き、企業の現場を訪ねて経営者と意見交換することで、大手の就職情報サイトでは得られないような地場企業の魅力を発見しようという趣旨です。
 学生たちの反応はおおむね好評であり、訪問を受けた企業や生産者の側も、良い刺激を受けていたようです。わしは、このような事業にかつて関わったことがあったし、こうした交流をやる意義は十分にわかっているつもりです。

 しかしやはり、こう感じざるを得ません。
 市役所と役場、それに大学が一生懸命に旗を振って、学生たちもその時は感動したであろうけれど、では本当にこの地域で就職する学生が何人いるのだろうか? もっと言えば、このように熱意に燃えている若者たちを使いこなせる経営者が果たしてどれほどいるのだろうか? と。

 大手の就職情報サイトには数十万円単位の費用が掛かります。企業がこれだけの高額を払ってでもエントリーするのは、それによって有能な人材が集められるからです。つまり、経済行為としてペイするのです。
 一方、過疎地域の地場産業の経営者や生産者は経営基盤が弱く、情報サイトは経済的にペイしません。だからこそ行政が主導(支援)するのだという理屈にはなるのですが、これには持続性がありません。自立性もありません。財源がなくなれば、たちまち交流会の継続は不可能になるのです。
 多くの場合、行政の施策は「3年以内に見直す」、といった終了期限があらかじめ決まっているサンセット方式です。このため、このような交流会(この事例と言うわけではなく、一般的な話として)も過去から似たような事業は何回も行われてきたし、今でも行われていますが、その結果として、実際に地場産業の企業に就職した学生が輩出した例はほとんどありません。

 それではなぜ実際の就職につながらない大学生交流会をやるのか。
 厳しいことを言えば「やること」に意義があるのだと信じられていて、成果の検証がなされていない、手法の検証もなされてない、というのがわしの仮説です。
 ただ、地元行政、経営者、生産者、大学とも、善意と熱意で取り組んでいるので、それに水を差すような厳しいことが誰にも指摘できないという状態になってしまっているのではないでしょうか。
 それとも、これも過疎地域の表彰と同じように、事業に決して終わりはなく、永遠に誰かが続けていくべきなのでしょうか。

2 件のコメント:

まろ さんのコメント...

地方創生の名のもとに加速された地域おこしは、地域の実情を見えにくくさせており、本質的な対策が取れないまま突っ走っているように感じます。しかし実態は確実に悪化しており(指標としてはやはり人口です)、残った成果は大学の研究論文だけになってしまうことを危惧しています。

半鷲(はんわし) さんのコメント...

 個人的にただ単純に知りたいだけなのですが、いろいろな大学がゼミ合宿とか地元住民との交流会をやっていますが、その時の学生による「成果報告」のうちで、何か一つでも実現して、かつ今も持続しているものってあるのでしょうか。少なくともわしはあまり知らないし、受け入れ自治体側でも成果を検証する議論が出てこないのが不思議です。