2016年10月16日日曜日

起業家の声を虚心坦懐に聞く

*****起業家、経営者の方以外には関係ない内容です*****

 先週から、県内の経営者や起業家(創業して間もない経営者、これから創業しようという人)などが出席するセミナーや交流会にいくつか参加する機会がありました。わしはサラリーマンなのであくまでオブザーバーで、勉強させていただく立場ではあるのですが、県庁が行っている産業振興策などに対して多くの質問をいただくので、何かの参考になるかもしれないと思い、いくつか共有しておきます。
 なお、当然ですが、これはわし個人の見解・感想であって、公式見解でも何でもありません。あくまで参考までにお気に止めていただければ結構です。

問1
 県が起業を支援しているというが、具体的に何をしているのか。
答1
 経営に必要な資源は、人、モノ、カネ、情報、ですが、行政の支援はこれらすべての要素に対して支援ツールがあります。



人 ・・・ 行政の人材確保の面と、学生や求職者の就職支援の面から、インターンシップの仲介や合同面接会などによるマッチングをやっています。(ただし個別の職業仲介ではなく、あくまでもいい人材に出会えるきっかけを作っているだけです。)
モノ ・・・ 商品開発のための技術支援(測定、性能評価)や、販路開拓支援(商談会の開催)などを行っています。
カネ ・・・ 補助金や低利融資などの制度があります。
情報 ・・・ ホームページやメルマガによる情報提供、セミナーや交流会などをかなり頻繁に開いています。
 ただし、これら支援策は膨大な数があって、実施主体も、県、県産業支援センター、商工会議所、商工会、中央会、市町、中小企業基盤整備機構、ハローワーク、銀行、信用金庫、大学などなどさまざまです。忙しい経営者は、どこのどの支援策が最適なのかはなかなか判断できないので、まずは付き合いがある金融機関や税理士、社労士などに「自分が使える支援策はなに?」と聞いてみるのが一番早道でしょう。

問2
 当社では他にない素晴らしい商品(製品やサービス)を持っている。ぜひ県で買ってほしい。
答2
 県に限らす行政機関はすべて「予算」が決まっているので、予算計上のない支出はできません。しかもご承知のように財政の状況は大変厳しいので、予算不足には拍車がかかっています。さらに、行政の購買は、通常は、民間と同様に口座(行政の場合は調達基準)がある相手先からだけですので、そもそも新規参入自体が非常に難しいのです。
 また、行政の担当者は、先例とか他の自治体の導入状況を非常に気にするので、まずは民間企業への納入実績を重ね、そのうえで行政に相談してみることが必要です。(アポなしで行政の窓口にセールスに行ってもほとんど効果はありません。) 

問3
 補助金に申請したが、落ちてしまった。(企画提案コンペに応募したが、不採択となった。)
答3
 補助金の審査は、ほぼ公正・厳正に行われていると思います。審査が点数化されている場合などは、採択された企業は何点で、うちは何点だったか、もし聞けるなら、どういう部分がマイナスの評価を受けたのか、について担当者に聞いておくほうがいいと思います。次回の参考にするためです。申請書の内容に説得力がなかったのか、表現が専門的過ぎて審査員に伝わらなかったのか、そもそもやろうとしていることが世間の趨勢から見て外れていることだったのか、数字の積み上げが間違っていたのか、資料が不十分だったのか、などなど。
 注意を要するのは、補助金とか委託事業には必ず「事業の目的」があります。これを正確に理解して、その内容に沿った、対案となる申請なり提案なりをしないと、いかに申請書を作り込んでも方向性が違うので徒労に終わるのです。わしが思うに、意外にこの「事業目的」を理解されていない申請者が多いのです。

問4
 新しいお客さんを見つけたいが、誰に相談すればいいのか。
答4
 建前の答えとしては、商工会議所や商工会、よろず支援拠点などにお気軽に相談ください、ということになります。しかし、アドバイスを受けるというのは、「誰からアドバイスを受けるか」という「相性」の問題が非常に重要です。商工会議所などにも信頼できる人はもちろん多いですが、基本的に実際に自分が経営者だった経験のある人はいませんので、起業家の相談に対してピント外れなアドバイスが返ってくることも少なくないと聞きます。
 なので、まずは先輩起業家、要するに、実際に起業して数年ビジネスを続けている経営者に聞いてみるのが一番ドンピシャリの答えがもらえるかもしれません。先輩を探すのは起業家交流会や、セミナーでの名刺交換会、懇親会などに出て、ウマがあう人を探すしかないと思います。

問5
 今、募集されている○○○補助金に応募したい。
答5
 補助金は非常に有効なツールですが、お金を「くれる」(もちろんタダで)ことは、それにまつわる責任(義務)も重いので、そのことをよく理解し、ハラに落としておいてください。
 よくある誤解の1つは、入金のタイミングです。補助金は前払いや中間払い(出来高払い)はなく、原則として事業全部が終了した後で、一括精算で支払われます(多くの場合、翌年の5月ごろ)。したがって、事業期間中は企業がお金を立て替えなければなりません。
 よくある誤解の2つ目は、書類管理の手間が膨大なことです。たとえば、補助金でモノを発注して購入するためには、①社内の購入稟議書、②見積もり依頼書、③見積書、④社内の発注稟議書、⑤発注書、⑥契約書または注文請書、⑦納品書、⑧検収書、⑨請求書、⑩支払い確認書の10種類の書類が日付順に必要です。モノを100個買う場合は、当然この書類が100個分必要です。
 事業が終わっても、これらの書類が整っていないと補助金は支払われません。また、補助金が振り込まれた後も、書類一式は5年から10年、原本を保管しなければいけません。
 この事務作業は膨大なので、経営者が一人でやる場合は、よほど頼もしいパートナーがいないと途中で投げ出してしまうことになりかねません。

(参考)
■はんわしの評論家気取り
  【読感】地方自治体に営業に行こう!! (2015年3月3日)

  中小企業補助金のジレンマ(2014年12月3日)

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