2016年10月20日木曜日

最近、つらいこと

 店の前を通りがかり、おや、今日は休業かな、と思ったのは初夏のころだったでしょうか。わしもよく面識がある、その地域の主婦仲間が立ち上げたレストランです。みなさん妙齢に差し掛かっており、子供は手が離れ、時間にゆとりが出てきた。そんな中で、地域の人々が気軽に集えるような場を作りたい、というお話があり、郷土料理 ~よそ行きでない、娘がお母さんから伝えてもらうような~ や、地域の食材を使ったメニューを提供するレストランを開業するというコンセプトが決まった頃に、ほんの少しだけお手伝いをしたことがあったのです。もう10年くらい前のことです。
 その後、このお店の経営は順調で、その当時、国や県が旗を振っていた「ベンチャーブーム」に乗って、あるいは、やはり世間の関心を集めるようになっていた「地域資源の活用」という流れに乗って、時おりマスコミにも取材されるようになっていました。
 わしも時々は食べに行っていたですが、自宅から遠隔地であることもあって知らず知らずに足は遠のいてしまい、思い起こせば最後に行ったのは5年ほど前のことだったと思います。
 今日、その店の前を通ったら、完全に看板が外され、駐車場にはロープが渡され、一見して無人のさびれた感じになっていました。あの主婦の皆さんは今もお元気だろうか、前向きな、晴れ晴れとした最後だったのだろうか、などと思いを巡らせました。


 一説によると、起業・創業してもそのお店や事務所がビジネスを続けている「生存率」は10年で半分くらいだそうです。つまり、半分の経営者は10年以内に撤退しているわけで、これには様々な原因があるのでしょう。予想ほどお客さんが集まらなかった、思っていたほど売り上げが得られなかった、経費が膨らんでしまった、などなど。中には経営者自身が健康を害したり、転居を余儀なくされたりといったこともあるでしょう。
 気になるのは、このレストランのようなスモールビジネスの起業に、すくなからず行政の支援が入っており、先ほど書いたようなベンチャーブーム、地域資源活用ブームが一服した今、まさに今年あたりが、そのころに創業された経営者の優勝劣敗がぼちぼち明らかになってくるタイミングであるということです。

 ベンチャーブームについては、失われた10年の景気低迷が続いている頃、「アメリカはマイクロソフトのようなベンチャー企業が経済を牽引している。日本もこれからはベンチャーだ!」という発想で経済産業省が巨額予算をぶち込んだ「ドリームゲート」が立ち上がったのが平成15年(だったか?)。
 大学発ベンチャーを1000社作るとか、1万人を起業させるとか、そのために様々な補助金が作られ、融資制度が作られました。

 また、農産品や特産品、観光地などをその地域の「地域資源」として国が認定する地域資源活用促進法が平成19年に制定され、地域資源を活用するビジネスを始めようとする人や企業に対して、やはり様々な補助金や融資制度が作られ、販路開拓支援が行われました。

 ちょうど今から10年前に、こうした起業支援によって地域経済を活性化しようという試みがあったのです。
 そして、わしもそれを夢見た一人でした。

 その当時にビジネスを始めた人とは今でもけっこうお付き合いがあるし、事業が順調に拡大している人も、大化けとはいかないけれどそこそこ成り立っている人もたくさんいます。
 みなさん異口同音に「起業してよかった」と言うし、ありがたいことに、あの時、県に支援してもらって本当に助かった、とい言ってもらう方もたくさんいます。

 しかし、いずれにしろ、ビジネスは非常に厳しいものです。果敢にチャレンジした主婦グループは、残念ながら市場からの退場を余儀なくされました。
 そうやって、チャレンジする人がおり、やめていく人もいて、そうした競争によって経済は活性化するし、地域に活力が生まれるのでしょうが、しかしまた同時に、退場した人たちは今何を考えているのか、そして、次に続こうとしている人たちに、その当時「支援」したわしたちに、どんなメッセージを伝えたいのだろうか、とも思います。


2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

支援したと仰いますがその資金は元々国民から搾りとった税金なわけで、なにか恩着せがましいですよ
民間は大きなリスクと苦労を覚悟して起業しますが、行政の立場としては「あ~、ダメだったか~」で済むんですからいいですよね

匿名 さんのコメント...

それ言っちゃうと、解決策は公的な支援をなくすしかなくなります。それで税金が減るといいですね。
(もしくは担当者を連帯保証人にする制度にするとか。非現実的ですが。)

はんわしさんはつらいと書いているし、批判するなら恩着せがましいとか感情的なものではなく、支援に必要な目利きの能力が担当者に不足しているのでは?とか言ってみるのはどうでしょうか。

予算消化のために補助金出した案件もあったんじゃないの?とか。