2016年10月22日土曜日

全国で2番目の女性会頭が誕生へ

 中部経済新聞などによると、鈴鹿商工会議所で新しく女性の会頭が就任する見込みとなりました。現在の山本会頭の後任として、現副会頭で病院理事長の田中彩子氏が昇格するもので、今月末に開かれる臨時議員総会で正式に決定されるとのことです。
 全国には515の商工会議所があるそうですが、トップである会頭に女性が就任しているのは千葉県の浦安商工会議所があるのみで、鈴鹿商工会議所が全国で2番目となります。
 この、商工会議所の会頭、というポジションが重要です。商工会議所の第一義的な使命は地域の産業の総合的な発達改善を図ることであり、女性の能力活用が我が国挙げての重要課題となっているなか、田中会頭の就任によって鈴鹿市の産業界のみならず、三重県における女性の社会進出に弾みがつくことが期待されると思います。
 ところで、今までのわしの説明には補足が必要かもしれません。多くの人は、「商工会議所」という名前は知っていても、実際に何をやっているのかは知らないケースが多いでしょうし、行政関係者でも多くは「商工会」と「商工会議所」の違いが分かっていないからです。


 市にあるのが商工会議所で、町村にあるのが商工会だと思っている人がいますが、全く違います。この2つの団体はそれぞれ別々の根拠法令があって、それを読むと、商工会議所と商工会の役割の違いが明らかになります。

 商工会議所法によれば、商工会議所の目的は「その地区内における商工業の総合的な改善発達を図り、兼ねて社会一般の福祉の増進に資すること」とされています。(第6条)
 これを達成するため、どのような事業を行うかが第9条に列記されています。条文を見てみると、
1  商工会議所としての意見を公表し、これを国会、行政庁等に具申し、又は建議すること。
2  行政庁等の諮問に応じて、答申すること。
3  商工業に関する調査研究を行うこと。
4  商工業に関する情報又は資料の収集又は刊行を行うこと。
5  商品の品質又は数量、商工業者の事業の内容その他商工業に係る事項に関する証明、鑑定又は検査を行うこと。
 などと続きます。上述のように、商工会議所の最も重要な使命は行政に対する具申や建議であることに注目してください。
 6番目以下に、輸出品の原産地証明とか、施設の設置・維持運用、講演会又は講習会の開催、技術又は技能の普及又は検定、などと続きます。
 一般の人がイメージすることが多い珠算とか簿記の検定などの業務は9番目、中小企業からの経営相談業務はなんと13番目にやっと出てきます。
 これは、商工会議所の前身が戦前の「商業会議所」であって、地域の大企業や有力地場産業の経営者のサロンであるとともに、外貨獲得のための性格の組織だったことが遠因のようです。

 これに対して、商工会の根拠法である商工会法によると、商工会の目的は「その地区内における商工業の総合的な改善発達を図り、あわせて社会一般の福祉の増進に資することを目的とする。」と商工会議所とほぼ同じです(第3条)が、行う事業の内容がかなり違っています。
 第11条によると
1  商工業に関し、相談に応じ、又は指導を行うこと。
2  商工業に関する情報又は資料を収集し、及び提供すること。
3  商工業に関する調査研究を行うこと。
4  商工業に関する講習会又は講演会を開催すること。
5  展示会、共進会等を開催し、又はこれらの開催のあつせんを行うこと。
 と列記が続き、「商工会としての意見を公表し、これを国会、行政庁等に具申し、又は建議すること」は7番目、「行政庁等の諮問に応じて答申すること」は8番目です。端的に言えば、中小企業の経営相談に乗り、改善を図ることが主要業務だと言えます。

 ただし、それでは商工会議所は商工会に比べて中小企業への経営支援業務は弱いのかと言うとそうではなく、実際には会議所の中に「中小企業相談所」というセクションが設けられていて、そこで業務にあたっています。これは国が定めている「経営改善普及事業」と言うものの一環で、中小企業、特に家族経営のような小規模企業の、多忙な経営者を支援するために経営や行政施策に精通している経営指導員という職員を配置し、小規模起業からの相談に応じることになっています。

 まあ、細かなマニアックな話はともかく、このように商工会議所と商工会の役割はやや違っているので、商工会議所の立場として、女性活用や地域コミュニティの強化、外国人との共生など、地域としてこれから進めていかなくてはいけない課題に対し、産業界で議論を重ね、自主自立の精神で地域をリードしていくことがますます求められると思います。
 今回の鈴鹿商工会議所の女性新会頭がどのような指導力を発揮するのか、ぜひ注目したいと思います。

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