2016年10月23日日曜日

尾鷲病院交差点が金融街に?

先日、尾鷲に行っていました。国道42号沿いのおわせお魚いちば おととの駐車場に車を止めて休憩していた時、ふと道路の反対側(東側)をみると、大きなビルの新築工事をやっているのが目に入りました。看板を見ると「紀北信用金庫センタービル新築工事 清水建設」とあり、尾鷲市に本店を置く紀北信用金庫の、おそらくは事務センター(情報処理センター)の新築移転のようです。
 紀北信金は現在でも、このセンタービル工事現場の南隣に古戸支店という旗艦店があり、さらに北隣には昨年12月にやはり旧市街地から移転新築した岡三証券尾鷲支店があるので、この尾鷲病院交差点の一角はちょっとした 金融街 に姿を変えることになります。
 尾鷲市街は、平成26年3月に紀勢自動車道が尾鷲北ICまで全線供用となり、事実上、全国の高速道路ネットワークの一端に組み入れられて以来、ファミリーマート、ケーズデンキ、コメダ珈琲などのナショナルチェーンが次々出店するなど大きく変貌しています。


 金融機関が「古戸町金融街」に移転しているのは、尾鷲の旧市街地は津波のリスクが強いために高台に移転してきた面があるのでしょうが、それにしても、おそらくは数億円規模の新規投資を、ややもすれば少子化・高齢化が進み、林業や水産業、建設業といった地場産業も低迷している尾鷲市で行うことには、もちろんそうするだけの意義があるからだと見なければなりません。
 地方は衰退していると言っても、「金融」の機能は引き続き重要ですし、むしろさらにその重要性は増すと考えられるからです。

 一つには、高齢化している地域ほど、資産を持っている人の割合は高まっていると考えられることがあります。
 貯金や資産(土地建物や株式など)の保有額と年齢は高い相関関係があります。「家計の金融行動に関する世論調査(平成26年調査)」によると、30代の世帯では平均貯金額は370万円、平均金融資産保有額は656万円ですが、60代では平均貯金額は1,342万円、平均金融資産保有額は2,515万円です。非常に大きな世代間の格差があります。(今すぐはじめる貯金! より)

 もっとも、これはあくまで平均値という数字のマジックです。ごく少数の大富豪がいれば庶民を含めた全体の平均値が上がってしまうわけであり、大事なのは中央値(メジアン)なのですが、それにしても一般論としては、今まで働いてきた対価として、それなりの貯金を築き資産を持っている割合は若年者より高齢者に多いのは間違いないでしょう。

 二つ目には、高齢者がますます長寿命化し、核家族化(独居化)も進む中では、貯金や資産を適切に管理する重要性が高まっており、地域に密着した金融機関である信金や、資産運用に関わる証券会社はこうした地方・地域において大きな役割を果たしているということです。

 今後は、さらに一歩進んで、超低金利の環境の中、積極的に資産を運用したいというニーズとか、特殊詐欺や身近な人の不正などから高齢者の資産をきちんと守り管理してほしいというニーズをさらに取り込んでいくことは重要になるでしょう。
 わしが思うに、世間でよく聞く一般的な「地域の活性化」「地方の活性化」などの掛け声からは、こういった「地域高齢住民の資産を守る」とか、「資産を運用する」といったような必要性がそもそも議論されない ~考慮されない~ ケースが多いのです。
 田舎のおじいちゃん、おばあちゃんは、つつましやかに暮らしている人ばかりでは決してなく、若いころに蓄財したり、先祖から受け継いだりしてそれなりの資産を持っている人は多いはずです。こうした資産の悩みはあまりひと様に言うものでないし、信頼できる相手でないと相談もできないので、日本国内の多くの「地方」で今後この問題は顕在化してくるのではないかと思います。

 尾鷲は地域資源活用ビジネスで全国にも知られている先進地と言っていいと思いますが、過疎化、高齢化しているがゆえの資産保全、資産活用についても、金融機関や金融当局が連携して他地域を先導するような社会モデルが構築できないものだろうか…などと思います。

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