2016年12月20日火曜日

国交省が高速道路にワイヤー式柵を試験設置へ

 高速道路の中央分離帯がない2車線の対面通行区間について、国土交通省は多発している正面衝突事故を防ぐためワイヤロープ式の防護柵を試験的に設置することを決めたそうです。
 高速道路は本来、片側に走行車線と追い越し車線の2車線がある上下4車線であるべきです。しかし実際には、建設費や工事期間の関係から、暫定的に片側1車線の上下2車線で運行供用を開始する、いわゆる「暫定区間」が多数存在しており、その区間は高速道路全体の延長の3割に当たる2500km近くもあります。
 これらの暫定区間は比較的交通量が少ない地方部の区間が多く、時速70キロという速度制限はあるものの、対面車線は樹脂製のポールで仕切られているだけです。
 このため、対向車が反対車線に飛び出す事故が頻発しており、去年は全国で334件も発生し、このうち死亡事故に至った率は一般的な中央分離帯がある区間に比べて2倍近くにものぼります。
 三重県内では紀勢自動車道の勢和多気JCTから尾鷲北ICの間の約55kmがこの暫定2車線区間であり、尾鷲市と熊野市を結ぶ自動車専用道路「熊野尾鷲道路」(国道42号バイパス)の約19kmも全区間が対面通行であるなど、県南部には何カ所かこのような区間があります。
 この安全対策は急務と言ってよく、わしも以前このブログにその必要性を書いたことがあります。(はんわしの評論家気取り やっぱり怖い暫定二車線(2015年10月26日)


 このたび高速道路の中央に設置される予定なのは、5本のワイヤロープを使った防護柵です。
 独立行政法人土木研究所によると、強靭なワイヤーロープと比較的強度が弱い支柱によって構成され、車両衝突時の衝撃に対してワイヤーロープの引張りで抵抗するもので、支柱が設置できる空間があれば、容易に設置や撤去が可能なため、既存道路への設置も可能です。
 同様のものはすでにスウェーデンやアメリカで導入されているほか、日本でも道央自動車道などの一部区間で設置されているとのこと。(写真は(独)土木研究所 寒地土木研究所の資料から転載しました。)


 今回の方針では、来年の春から100キロ分の2車線区間に試験的に設置されることになりますが、それが具体的にどの区間かはまだ発表されていません。

 この高速道路の安全対策は、当然ながら暫定2車線区間を抱えている全国の自治体で、国への要望や独自対策などが講じられています。中でも鳥取、島根の両県の官民で構成する「山陰両県高速道路安心安全強化推進協議会」なる団体は「高速道路の安心安全を強化-命を守るプロジェクト」に取り組んでおり、安全対策を求める3万5千人近くもの署名を集め、国土交通大臣に要望を行ったりしています。
 
 これに対し、三重県内では残念ながらそのような動きが官民含めて低調のようです。ネットで調べても、交通事故対策全般への情報発信が少ないうえに、紀勢自動車道の暫定区間をどうするのかといった議論もあるのかないのか、とにかくほとんど情報を得ることができません。
 これは由々しきことで、東紀州地域(三重県南部の、尾鷲市、熊野市、紀北町、御浜町、紀宝町の2市3 町からなる地域)の物流をはじめ、救急搬送、観光誘客などにも重要な役目を果たしているのですから、関係機関は一丸となって紀勢自動車道へのワイヤーロープ柵設置を要望していくべきだと思います。

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