2016年12月4日日曜日

滋賀VS京都は傍から見ている限り面白い

 わしが知る限り、二つの都道府県の県庁所在地間が最も接近しているのは、京都市と滋賀県大津市です。地理的にも隣りどうしなので、JRなら10分、車でも30分くらいで簡単に行き来できます。
 「近江」という地名は、京の都から一番近い「海」であることに由来しているように、古代から琵琶湖の存在は京の繁栄と一体化しており、その関係の古さ、近さ、深さ、ゆえに滋賀県民には京都に対するいわく言い難い複合観念があることが知られています。
 この問題を斬新なアイデアで漫画化した作品が人気を集めているとのことです。
 滋賀県在住の漫画家 さかなこうじ氏が、ネットの漫画サイト「くらげバンチ」で公開を始めている 三成さんは京都を許さない ―琵琶湖ノ水ヲ止メヨ― がそれです。(12月3日付け 京都新聞)
 一介の小姓から豊臣秀吉に召し抱えられ、その片腕となって出世の道を驀進し、最後は関ヶ原の戦いで徳川家康に敗れ命を奪われた石田三成。
 その三成が、どういうわけか現代に蘇って滋賀県庁に入庁し、「打倒京都」のために秘策を練る、という物語です。


 物語は、耐え難い悪臭が漂い職員がざわついている滋賀県庁からスタートします。滋賀県名物と言われながら、特有の強烈な発酵臭のため県民でさえも食べられない人が多い「鮒鮨」を誰かが持ち込んだのです。
 右往左往するばかりの県職員の中に、いかにも切れ者という風体のスーツ姿で現れた三成は、「素人が鮒鮨に手を出すなど愚の骨頂」と切り捨て、臭いの元となる発酵米を取り除き、薬味と朝宮茶をかけた「お茶漬け」にすることで、初心者でも濃厚なうま味がさっぱりと味わえるようにたちまち解決してしまいます。
 この手際の良さに感心するばかりの職員に対して、三成は「もっと滋賀県民の誇りを持て」と気合を入れますが、口々に出る反応は

・滋賀県は電話で千葉県や佐賀県とよく間違えられる
・琵琶湖しか取り柄がない
・住民から見てもパッとしない
・旅行ガイド雑誌には県民の誇りである比叡山延暦寺さえもが「京都のお寺」として紹介されている
 
 などというものです。

 これに対して、三成はデータを駆使して論理的に反論し、滋賀県が地味で、目立たず、県民さえもがそのような意識に陥っている諸悪の根源は「京都」の存在であるとして、京都をボッコボコに完全討伐するための狼煙を上げるよう職員たちを団結させます。

 プライドが高く鼻持ちならない京都・大阪の人に対して滋賀の人が「琵琶湖の水、停めたろか!」と凄むのは近畿地方では定番のギャグですが、これを実行に移そうというのです。
 同じくタイムスリップして現在は滋賀県庁広報課に勤務している大谷吉継も加わり、昭和12年竣工の国登録有形文化財にして巨大迷路のように複雑な内部構造を持つ滋賀県庁本館を舞台に物語が進んでいきます。

 わしの住む三重県は、関西のヒエラルキーから言えば間違いなく「滋賀県以下」であり、そもそも関西(近畿)ですらないという意見も有力です。このように、オブザーバーに徹することができるポジションから見ると、滋賀対京都のこの争い、見えていてなかなか面白いものです。
 こっちはライバルと思っているけど相手は全然そう思っていないという圧倒的な力の差は、かつて賑やかだった大阪対東京を想起させますが、これはすでに完全に決着がついたので、ややスモール版ながら滋賀の健闘ぶりを三重の片隅から応援しておきます。

■くらげバンチ  http://www.kurage-bunch.com/

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