2017年1月12日木曜日

出生率が2.81だという奈義町って?

 先日の日経新聞に「出生率2.81に急上昇 岡山・奈義町の子育て施策」という記事が載っていました。
 奈義町は岡山県の東北部に位置し、人口約6千人。面積は約70平方kmという小さい町です。いわゆる平成の大合併では、住民投票によって合併をせず単独で生き残る選択をしたものの、長らく人口の減少は止まりませんでした。
 このままでは町が消滅する…という危機感から、平成24年に「子育てするなら奈義町で」というキャッチフレーズを掲げ、「子育て応援宣言」と称した様々な子育て施策を打ってきました。
 子育て関連の予算はそれまでが町予算全体の2%強だったものが、平成28年度には3%強の1億2600万円まで増額し、その結果、平成17年に「1.41」だった合計特殊出生率は、平成26年には「2.81」にまで急上昇したとのこと。
 ちなみに、出生率の平成26年度の全国平均は1.42なので、奈義町は何とその2倍!
 全国で見れば奈義町並みに出生率が高い町村もいくつか存在しますが、ほとんどが九州南部や沖縄の離島の自治体であり、本州にあってこれほどの高い自治体は極めて異例だそうです。

 なお、奈義町が少子化対策とした行った主な施策は以下のようなものです。
1)出産祝い金
 第一子に10万円、第二子には15万円、第三子20万円、第四子30万円、第五子に40万円
2)不妊治療助成
 岡山県からの助成を引いた額の2分の1以内で、年20万円を限度とし、通算5年間まで
3)不育治療助成
 不育症と診断された夫婦に、1年間の治療費等で30万円を限度に
4)乳幼児及び児童生徒医療費助成
 高校生までの子どもの医療費のうち、保険診療にかかわる自己負担分を町が負担(入院、通院)
5)保育料多子軽減
 保育料は第一子を国基準の55%に軽減。第二子は半額。第三子以降は無料

 また、新たな世帯の町への流入増加にも力を入れています。町内で住宅を新築したり購入する人には50万円を交付。町営住宅にも若者専用住宅を21世帯分用意しました。働き口の確保策として奈義町役場の職員採用にも県外移住者枠を設け、「演劇型グループ面接」といったユニークな採用方法で優秀な人材の獲得に成功しているそうです。

 奈義町の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を見ると、「人口6000人の維持」が大目標として掲げられており、出生率は2.6まで引き上げることとして、町民満足「量」の向上や、新たな産業おこし、移住・定住化率の向上などための施策が列記されています。
 「まち・ひと・しごと創生総合戦略」はともすると、国からの地方創生交付金をもらう手段として即席で策定してしまう市町村が多いと言われ、目標設定がそもそも過大であるとか、施策の内容も今までの焼き直しばかりで工夫がないなど散々な評価のものが多い ~そのせいか、自分たちの市町村の戦略を読んだことがない住民がほとんど~ のですが、奈義町は例外的に有言実行となっているようです。

 地図を見ると奈義町は岡山市などの大都市から遠く、鉄道も高速道路もありません。この地理条件での成功は、全国から注目されるのも当然かもしれません。
 
 しかし一方で、奈義町には陸上自衛隊の日本原駐屯地があり、数百名の隊員が在住しています。広大な演習場もあって、このために防衛関係の地方交付税収入が潤沢であるなどの特殊要因はあるようです。
 また、出生率は見かけ非常に大きいのですが、絶対数で見ると新生児の数は60名程度です。人口数千人の町ならではの成功と言ってしまえばそれまでの面はあり、これを人口数十万人の都市にスケールアップできるかといえば不可能で、都市は都市なりにまた別の独自の工夫が必要なようです。

 ところで一番気になるのは、子供はすぐに成長してしまい、進学などで(一時的にせよ)町外に流出してしまうであろうことです。つまり、切れ目なく子育て世代を取り込まなくてはなりません。
 町当局もそれは見通しており、教育面で幼稚園から中学校までのアクティブラーニング(能動的学修の意味だそうですが・・・なんのこっちゃ?)などに着手しています。
 子供の出生前から大学卒業まで切れ目のない支援をするとのことで、この間に、いかに生産性が高く、生活に十分な収入がられる産業を育成するかが新たな課題となりそうです。

 たくさんの子ども達の笑い声が溢れている山の中の町。うーん、行ってみたい気もする。

■Youtube 奈義町PR movie    https://youtu.be/2kG_-sEgbfM

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