2017年1月22日日曜日

四日市あすなろう鉄道に乗ってみた

  四日市市の中心部と、南西部の郊外を結ぶローカル鉄道である、 四日市あすなろう鉄道に乗ってきました。
 かつて近鉄内部線・八王子線として運行されていた全国でも珍しいナローゲージ(線路の幅が762ミリと、JR線などの半分くらいしかない)の路線ですが、利用者数の低迷による慢性的な赤字のため、平成27年4月からは新しく設立された「四日市あすなろう鉄道株式会社」により運行が引き継がれているものです。
 ローカル鉄道は全国各地で経営難に苦しんでおり、第三セクターに転換する路線も多くみられますが、四日市あすなろう鉄道は、近鉄に代わって四日市市が線路や電車を所有し、それを株式会社であるあすなろう鉄道に無償で貸与したうえで運行するという、いわゆる「公有民営方式」であることが大きな特徴です。
 初年度となる平成27年度の収支は、運賃の値上げなどを行ったことから利用者がさらに減少し赤字となると見込まれましたが、実際には約5400万円もの黒字。ローカル鉄道再生の事例として全国から注目が集まっていました。
 そんな中、さらに鉄道ファンを狂喜させたのは、新会社となった早々の27年9月に新型車両260系が投入されたことと、それが鉄道愛好者団体の「鉄道友の会」が優れた鉄道車両に贈るブルーリボン・ローレル賞を受賞したことです。


 旧近鉄時代も含めて約30年ぶりの投入という話題の電車。1年以上経ってややタイミングを失したとはいえ、やっとわしも乗ってきました。

 近鉄四日市駅の高架下にある、あすなろう四日市駅のホームにその新車は停まっていました。これは260系の第二弾として投入された262編成です。


 ナローゲージということで普通の電車よりもチンチン電車とかバスに近いイメージです。
 乗り込んでみると、以前の近鉄色の赤いロングシートタイプのノスタルジックな感じから、すっかりモダンで清潔なイメージに変わっていました。


 窓ガラスはUVカット仕様。連結部の上には路線図や駅名、運賃を示す大きな液晶パネルがあります。


 また、やはり連結部には、トイレのようなスペースがあるのですが、これは冷房装置とのことで、限られたスペースを有効に使う工夫だそうです。その横にはこの写真のような、イスというのか背もたれというのか、ちょっと腰を下ろせるスペースもあったりしてなかなかしゃれています。
 旧車両のような激しい揺れも騒音もなく、出発して10分で八王子線の終点、西日野駅に到着。
 四日市は一週間前に大寒波に襲われており、雪がまだたくさん残っていました。


 西日野駅を折り返し、乗換駅である日永駅で下車。今度は内部線の電車に乗り換えます。
  

 線路がY字に分岐しているので、ホームもそれに合わせて三角形になっている、不思議な感じの駅です。
 途中、窓からははるか向こうにコンビナートの高い煙突が立ち並んでいるのがよく見えました。 


 日永駅から10分ほどで終点の内部駅に到着。
 ここで折り返し運転を約30分待つことになるのですが、車両の入れ替えがあり、祝ローレル賞受賞と表示された260系が入線してきました。こちらはブルーの塗装です。



 でもって、約15分揺られ、出発点の四日市駅に戻ってきました。待ち時間含め1時間半ほどの小旅行でした。ワンデイフリーきっぷは550円なので、手軽にトライできます。なお、manacaやtoicaのような交通系ICカードは使用できません。


 しかしまあ、率直に言って、当初わしが抱いていたイメージとやや違う印象を持ったあすなろう鉄道でした。
 発足の経緯から考えて、もっとお客にフレンドリーな姿勢というか、どんどんお客を増やして儲けていこうという姿勢があるかと思ったのですが、駅員や乗務員を見ている限り、そんな印象は受けませんでした。
 安全運転、定時運行こそが最大ミッションであって ~これは鉄道会社として当然ではありますが~ それ以外のお客(ファン)サービスなど優先度が低い業務であるという認識が垣間見えました。
 あすなろう鉄道のウエブサイトにはタオルやキーホルダーといったグッズが紹介されているのですが、四日市駅にも実物が展示されているわけでなく、グッズのカラープリントが改札口の窓に張り付けられているだけ。どうみても五十がらみのいい年齢の駅員さんに、グッズをちょっと見せてくださいと言い出せる雰囲気ではありません。

 報道によると、あすなろう鉄道では今後順次、車両を更新していくとのことですが、ナローゲージの特殊性から他の私鉄の中古車を転用することができず、すべてナロー専用の新造車になるためコストが高くなり、相当な巨費が必要になるはずです。(しかし、260系の新造にはいくらかかったのでしょうか? 3両編成で3億円くらい?)
 しかも窓から沿線を見ていると、いずれの駅舎もかなり老朽化しており、早晩建て直しは避けられないでしょう。こうした設備投資を運賃収入で償却していくのは並大抵のことではないと思います。
 いかに健全経営を進めていくのか、これからのあすなろう鉄道に注目したいと思います。

■四日市あすなろう鉄道   http://yar.co.jp/

■はんわしの評論家気取り

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