2017年1月30日月曜日

SIB自治体職員向けセミナー

 日本財団や京都地域創造基金などからなる「ローカルSIB調査研究・普及プロジェクト」が、ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)に関する自治体職員向けのセミナーを全国で開催するようです。
 SIBとは、貧困とか医療、教育といったような社会的な課題をビジネスで解決する事業、いわゆるソーシャルビジネスに関する資金調達の一つの手段です。
 こうした社会システムの先進事例は残念ながら日本発のものはほとんどありません。SIBもイギリスで編み出され、世界で普及しているシステムで、有名な事例としては「元犯罪者の更生」への投資というものがあります。
 アメリカのある州(だったか?)が、刑務所の受刑者や出所者を更生させるプログラムの財源のためにSIBを採用しました。必要額は銀行で債券化されて一般投資家が購入します。州はこの資金でプログラムを実行し、その結果、再犯率が低下すれば、本来は必要であったかもしれない防犯や治安維持のための経費が不要になるので、その金額を「配当」として出資者に分配したというものです。

 なかなか凄いアイデアだし、こんなふうに本当に実現できれば、ソーシャルビジネスによって効率よく地域課題が解決されるようになるかもしれないし、財政難に悩む自治体にとっても有力な選択肢になるでしょう。
 しかしSIBを日本で実行するには課題というか、よくわからない部分も多くあります。

 まず、法制度がどうなっているのかという問題があります。実現可能性がない目的のために不特定多数から金利をつけてお金を集めると、即、出資法に違反します。金融機関の介在がどうしても必要ですが、そうするとSIBで投資するソーシャルビジネス(なり、行政機関による政策)によっていくらの収益が上がり、あるいは社会的費用が抑制できるのかの事前見込みや、事後の成果評価が不可欠になります。

 ソーシャルビジネスの収益性を目利きするのは極めて難しいし、事後評価を正確に行うこともかなり難しいのではないかと思います。現段階では、誰もが使える事業評価の共通ルールや共通手法のようなものがないのです。

 また、仮にそれによって、かかると見込まれていた費用が浮いてきたとして、それを投資家に「配当する」などということは、真面目で堅実な人が多い日本の国民性から言って簡単に合意が得られるとも思われません。
 そもそもSIBの債権を引き受ける投資家が、国内にたくさんいるとも思えません。

 あれやこれや考えるとわからないことだらけです。

 そうした、SIBに関心はあるものの使いこなすだけの知識が不足しているという地方自治体職員向けのセミナーがまさに今回の企画です。
 
 セミナーは2月から3月にかけて、大阪や名古屋など10カ所で開かれます。深尾昌峰氏(龍谷大学政策学部准教授・公益財団法人京都地域創造基金理事長)によるSIBの概論のほか、実際にSIBを行った兵庫県尼崎市役所や滋賀県東近江市役所の取り組み発表などがあるようです。
 非常に時宜にかなった、有益なセミナーである予感がします。
 詳細は下記でご覧ください。

■ソーシャル・インパクト・ボンド 自治体向けアンケート&セミナーのお申し込みページリンク
  

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